記事・レポート
アジア最貧国の闇と光を考える
日本元気塾セミナー ~映画「アリ地獄のような街」上映会~
更新日 : 2010年08月11日
(水)
第4章 映画で、国の問題に興味を示さない一般人の関心を引く
米倉誠一郎: 「映画をつくる」というのは、エクマットラの設立当初から決めていたのですか?
渡辺大樹: はい。エクマットラができたのは、私とシュボ(シュボシシュ・ロイ)との出会いが大きかったんです。私は子どもたちに対して何かしたいと思っていて、シュボは映像を通じて人々に働きかける仕事をしたいと思っていました。それがマッチして、「じゃあ、その2つをやっていこうじゃないか」と。
格差が大きく開いてしまったバングラデシュで、一本の価値観をつくっていこうと思ったら、やるべきことは2つでした。1つは底辺に住む子どもたちに対して教育やチャンスを提供して、彼らをモチベートしていくという上向きのアプローチ。もう1つは、自分の国のこうした問題に対して関心を示さない富裕層や中流層の人に、意識を向けてもらうためのアプローチです。
ですのでエクマットラは、ストリートチルドレンにチャンスを提供するための青空教室やシェルターホームの運営と、映画をつくって一般の人々に見てもらう啓蒙活動の2つを形にしたものになりました。
米倉誠一郎: それで映画『アリ地獄のような街』ができたわけですね。ストリートチルドレンのための教育のほうでは、今「エクマットラアカデミー」という学校をつくろうと展開しているそうですね? 学校は参加型で建築していると聞きましたが、どんな状況ですか?
渡辺大樹: ストリートチルドレンを支援する活動運営は3つのステップで展開していて、「エクマットラアカデミー」の建設はその第三段階です。第一段階は青空教室の実施で、識字教育などを行います。第二段階はシェルターホームの運営で、24時間生活を共にして社会生活を学びます。第三段階がエクマットラアカデミーの設立で、これは自立するために必要な技術を身につけて社会復帰するための施設で、今建設を進めているところです。映画を企業で上映したときに資金サポートしてもらったり、上映からの収益で資金を貯めてつくっています。
参加型で建てているというのは、バングラデシュではこの映画をすでに25回上映して、1万2000人ぐらいの学生に観てもらったのですが、学生たちが熱いんですよ。映画が終わると「この映画が描いている現実をもっとたくさんの人間が知るべきだ。俺たちは何か行動しなきゃ!」と言うんです。「じゃあ、一緒に行動に移そう」と声をかけて、建設現場で一緒に穴を掘ったり、知り合いの学生の大学で上映してもらったり、どんどん広げてもらっています。
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http://www.academyhills.com/note/opinion/10071404GenkiAri.html
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該当講座
渡辺大樹(NGOエクマットラ顧問)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター長・教授)
バングラデシュのストリートチルドレンの現実を描いた映画「アリ地獄のような街」の自主上映セミナー。映画上映後には映画を制作したバングラデシュでストリートチルドレンの支援活動を行うNGOエクマットラ共同創設者(現在顧問)渡辺大樹氏をゲストに迎え、なぜこの映画を作ったのか、この映画で伝えたいメッセージ、バングラデシュの子どもたちに対する想いを、直接お伺いします。
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