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アークヒルズライブラリー シェアラウンジトーク
宇宙人はいるの?火星に移住って実現するの?宇宙のいろいろ、教えて岩田さん!
~開催レポート
更新日 : 2019年02月19日
(火)

世界で初めて?
平成最後のお正月、2019年1月3日。中国の無人探査機「嫦娥(じょうが)4号」が世界で初めて月に着陸しました。世界で初めて?はい、初めてです。
月にはすでにアポロ宇宙船などが着陸していますが、それは全て月の表側。今回、嫦娥は月の裏側に史上初の着陸を果たしました。実は地球から見えている月はいつも表側でした。(表側を向けた状態で地球に沿って回転しているため。)私たちはウサギの形のように見える海と言われる部分だけしか常時見ていなかったのです。人類にとって最も身近な星である月。その月ですら、表側しか見えていなかったという事実。宇宙に対する未知を実感するストーリーです。
宇宙のエキスパート・岩田さんによるシェアラウンジトーク
2月6日(水)にアークヒルズライブラリーで行われたシェアラウンジトーク。今回のテーマは宇宙です。身近になりつつも、実はあまりよく分かっていない広大な宇宙について、アークヒルズライブラリー1の宇宙博士に解説を乞う、そんなイベントが行われました。博士の名は岩田勉さん。東京大学とハーバード大学で学ばれ、宇宙開発事業団(現在のJAXA)に入社された岩田さんは1972年に開設された筑波宇宙センターのセンター長を務められていました。筑波宇宙センターのミッションはJAXAの推進する活動のうち、①人工衛星の開発・運用およびその観測画像の解析、②日本実験棟「きぼう」を用いた宇宙環境利用や、宇宙飛行士養成と活動推進、③ロケット・輸送システムの開発と、技術基盤確立のための技術研究推進などなど。つまり、日本の宇宙開発における中枢の役割を果たしています。
宇宙のエキスパート・岩田さんによるシェアラウンジトーク
2月6日(水)にアークヒルズライブラリーで行われたシェアラウンジトーク。今回のテーマは宇宙です。身近になりつつも、実はあまりよく分かっていない広大な宇宙について、アークヒルズライブラリー1の宇宙博士に解説を乞う、そんなイベントが行われました。博士の名は岩田勉さん。東京大学とハーバード大学で学ばれ、宇宙開発事業団(現在のJAXA)に入社された岩田さんは1972年に開設された筑波宇宙センターのセンター長を務められていました。筑波宇宙センターのミッションはJAXAの推進する活動のうち、①人工衛星の開発・運用およびその観測画像の解析、②日本実験棟「きぼう」を用いた宇宙環境利用や、宇宙飛行士養成と活動推進、③ロケット・輸送システムの開発と、技術基盤確立のための技術研究推進などなど。つまり、日本の宇宙開発における中枢の役割を果たしています。
そんな筑波宇宙センターでセンター長を務められていた岩田さんはまさに宇宙のエキスパート!当日は宇宙に関心のあるライブラリーメンバーが集まり「宇宙人はいるの?火星への移住って実現するの?」というテーマで岩田さんのお話を聞きながら、宇宙に関する素朴な疑問を解決するお時間となりました。

宇宙人はいるの?
まずは「宇宙人はいるの?」です。広大な宇宙に、地球と似た星、生命を宿す星は他に無いと考えるか、あると考えるか。これには「無いと考える理由がない」というのが岩田さんの答えです。では、その生命を宿す星の条件とは何なのでしょうか?
まずは水です。地球における生命維持に不可欠なものとして、水の存在を岩田さんは最初に指摘します。私たち生命体はそのほとんどを水で構成しています。またその生命体が生命を維持できる環境、地球の温度調整にも水が大きく貢献しています。
さらに生命体ではない鉱物についても水は重要な役割を果たしているそうです。岩田さんのお話では、例えば金や銅といった鉱物も水によって凝縮されており、水が無い状態では高品質を維持できず、つまり鉱物としての価値を生まないそうです。この広い宇宙に生命体が地球にしかいないという断定、それはできないと考える一方で、生命が存在するためには、水を含めた多くの諸条件が必要で、そのような偶然が幾重にも重なる事でしか得られない奇跡が「地球」であり「生命」である、そんな認識が参加メンバーの中にジワジワと浸透していきます。
まずは「宇宙人はいるの?」です。広大な宇宙に、地球と似た星、生命を宿す星は他に無いと考えるか、あると考えるか。これには「無いと考える理由がない」というのが岩田さんの答えです。では、その生命を宿す星の条件とは何なのでしょうか?
まずは水です。地球における生命維持に不可欠なものとして、水の存在を岩田さんは最初に指摘します。私たち生命体はそのほとんどを水で構成しています。またその生命体が生命を維持できる環境、地球の温度調整にも水が大きく貢献しています。
さらに生命体ではない鉱物についても水は重要な役割を果たしているそうです。岩田さんのお話では、例えば金や銅といった鉱物も水によって凝縮されており、水が無い状態では高品質を維持できず、つまり鉱物としての価値を生まないそうです。この広い宇宙に生命体が地球にしかいないという断定、それはできないと考える一方で、生命が存在するためには、水を含めた多くの諸条件が必要で、そのような偶然が幾重にも重なる事でしか得られない奇跡が「地球」であり「生命」である、そんな認識が参加メンバーの中にジワジワと浸透していきます。

火星への移住について
次に「火星への移住について」。火星に限らずですが、宇宙での生活は色々な困難を伴います。特に宇宙線といわれる、放射線が大きな障害です。岩田さんのお話では宇宙飛行士や宇宙船が受ける宇宙線の破壊力は極めて大きく、宇宙線を考えない宇宙計画は成り立たないそうです。
一例として、宇宙飛行士に関して。生殖細胞へ悪影響を与えるため、若い世代は候補から外れるそうです。また一度宇宙に渡った人も数年のスパンを設けるなど、宇宙線を起因とする暗黙のルールが存在するそうです。そして、距離。火星に行くには往路だけで早くて6~8か月。人が往復でき、生活できるだけの物資を輸送するには大型の宇宙船が必要ですが、現在の技術ではその開発は難しいようです。さらに火星は平均気温は-53度という極寒の世界。大気が無いため、温室効果がありません。火星への移住。これはそう簡単な話では無さそうです。
次に「火星への移住について」。火星に限らずですが、宇宙での生活は色々な困難を伴います。特に宇宙線といわれる、放射線が大きな障害です。岩田さんのお話では宇宙飛行士や宇宙船が受ける宇宙線の破壊力は極めて大きく、宇宙線を考えない宇宙計画は成り立たないそうです。
一例として、宇宙飛行士に関して。生殖細胞へ悪影響を与えるため、若い世代は候補から外れるそうです。また一度宇宙に渡った人も数年のスパンを設けるなど、宇宙線を起因とする暗黙のルールが存在するそうです。そして、距離。火星に行くには往路だけで早くて6~8か月。人が往復でき、生活できるだけの物資を輸送するには大型の宇宙船が必要ですが、現在の技術ではその開発は難しいようです。さらに火星は平均気温は-53度という極寒の世界。大気が無いため、温室効果がありません。火星への移住。これはそう簡単な話では無さそうです。
「地球」と「生命」という二つの奇跡
およそ46億年前に、何千もの微惑星が衝突し、集合することで生まれたとされる地球。その後700万年前になってようやく類人猿が二足歩行を始めます。多くの環境的変化、生物学的変容を遂げ、今の私たちが存在します。「地球」と「生命」という二つの奇跡。これは46億年という時間と、数えきれない偶然から、私たち一人一人が、今、確かに手にしている、かけがえのない真実なのです。
およそ46億年前に、何千もの微惑星が衝突し、集合することで生まれたとされる地球。その後700万年前になってようやく類人猿が二足歩行を始めます。多くの環境的変化、生物学的変容を遂げ、今の私たちが存在します。「地球」と「生命」という二つの奇跡。これは46億年という時間と、数えきれない偶然から、私たち一人一人が、今、確かに手にしている、かけがえのない真実なのです。
岩田さんは言います。「宇宙から見た地球に国境なんて線は一つも無いよね。地球は小さな青く美しい球でしかない。その星で、無数の幸運により生命を授かった人間が、互いの領地を主張し、争い、時に尊い命を互いに奪いあう事実がいかに愚かで悲しい事か、宇宙から見ればみんなわかるよ。」
岩田さんは平日の日中、アークヒルズライブラリーにて読書や執筆をされています。イベント終了後、「これからも、宇宙に関する質問していいですか?」と聞かれた岩田さん。「いいよ。平日ならライブラリーにいるから。」と微笑みます。今、みなさんが抱えている悩みも、宇宙から俯瞰して見る事で解決の糸口が見つかるかもしれませんよね。

【アークヒルズライブラリー シェアラウンジトーク】
宇宙人はいるの?火星に移住って実現するの?
宇宙のいろいろ、教えて岩田さん!
【文・写真】城所 【開催日】2019年2月6日(水) 宇宙のいろいろ、教えて岩田さん!
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