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アカデミーヒルズセミナー 塾生レポート『岐路に立つジャパンファッション〜グローバル企業ニッポンの今後〜』2007年1月18日

今回のレポーター

大武 史也さん
プロパティ・マネジメントコース / 大武工業株式会社 営業部 取締役営業部長

レポーター写真

太田社長の講演後、米倉塾長は「久しぶりに興奮した。ファッション業界にプロが出てきた」とコメント。
株式会社イッセイミヤケの太田 伸之社長は、現在、経済産業省とファッション業界が協力して昨秋から始まったジャパン・ファッション・ウィーク(JFW)実行委員会の委員とファッション戦略会議委員としても活躍している。

セミナー風景 太田社長はテーラー(仕立て屋さん)の長男として生まれる。しかし大学で経営を学び、マーチャンダイジングを学ぶために渡米。バーニーズニューヨークのバイヤーとして経験を積みながら、ファッションジャーナリストとして、アメリカでジャパンファッションが流行した「東京ブーム」の仕掛人となる。帰国後は東京コレクションの主催元CFD(東京ファッションデザイナー協会)議長に就任し、日本人デザイナーの社会的地位の向上や、意識改革に乗り出す。その後百貨店のシンクタンク専務を経て、三宅一生氏からのすすめで株式会社イッセイミヤケに入る。
生まれもさることながら、さまざまな立場で一貫してファッション業界に身を置き、ファッションビジネスの裏表を熟知している。

昨秋9月初旬にニューヨークやパリに先駆けてジャパン・ファッション・ウィーク(JFW)で東京コレクションを開催した。買い付けのスケジュールを見越した画期的なコレクションとしてスタートした。世界のファッションブランドビジネスではシーズンの前倒し発注が進んでおり、パリコレの2ヶ月前にはすでにほとんどの受注が終っている。だからパリコレクションに参加する意味はマスコミに向けてのPRに終始してしまう傾向にある。それで本当にいいのだろうか。店頭に並ばないユニークな服だけでショーをやっているのでは本当の意味が薄れてしまう。

セミナー風景 しかし日本のブランドはデザイナー兼オーナー会社が多く、80年代のDCブランドブームの成功体験から抜け出せないでいる。これを打破するにはデザイナーのDNAを受け継いだ若手への継承と、マネージメントやマーチャンダイジングのプロの養成が急務となる。こうした業界の現状を見据え、太田社長は「ファッションビジネスはExcel・wordの入ったMacの様なもの」と表現する。また小売業の面白さ、マーチャンダイジングの真骨頂は、「Fashion is the game named business」(ファッションはビジネスという名のゲーム)。発注からセールスまで、ロジカル(論理的)に、しかし楽しんでギャンブルをするべきである、というのがアメリカ時代から培ってきたやり方だ。

ジャパンファッションが世界で勝ち抜くには、どうすればいいのだろう?世界から国境が消え、ボーダレスに向かっているからこそ、文化的国境は今後ますます大切になっていく。日本の良い所や特色をもっと出していく、また国内でしのぎを削り合うのではなく、団結して世界に打って出るという考えもあっていい。世界の一流ブランドは華やかさの一方で、顧客に喜ばれるための研修を重ね、地方への営業も地道に行っている事を認識すべきである。国際競争力をもって海外マーケットに勝ち残っていくには、「世界的プロ」になるべく挑戦が必要だ。

セミナー風景 僕が太田社長を知ったのは昨年の情報番組のインタビューだ。エビちゃんなどの人気モデルと渋谷系ファッションで成功したコレクションイベント「東京ガールズコレクション」のコメントを求められ、「成功して良かったね」と賛辞を贈るとともに太田社長はこう語っていた。彼らの仕事は大雑把な部分もあるが、怖がらずバカにせず自分たちと違うところを積極的に学ぶべきだと。

今回の講演を聞き、太田社長はジャパンファッションの既成概念の打破を出来る方、ファッションビジネスのプロとして世界と戦える経営者だと強く思った。折りしも今年、イッセイミヤケはデザイナーが変わった。これからこの企業が、ないしジャパンファッションがどのように進化していくのか、今後の動向からしばらく目が離せない。