日本元気塾

米倉塾の活動報告

日本元気塾
更新日 : 2010年06月09日 (水)

第17回 2010.3.29(月)

講義レポート

Living in Peace(以下、LIP)は、日本初のマイクロファイナンス(以下、MF)への投資ファンドを作ったことで知られる、経済開発に関心のある20代の金融機関関係者、コンサルタントが中心のNPO法人です。MFの父であるムハマド・ユヌス氏の考えに共鳴した発起メンバーの慎さん以下、3名の活動メンバーを招いて話を聞きました。

米倉塾
Living in Peace理事長 慎 泰俊氏

Living in Peaceマイクロファイナンスプロジェクトリーダー 杉山 章子氏

米倉塾長

[リビング・イン・ピース]プレゼンテーション

●LIPの生い立ち
LIPは、幼少時から貧困に関して思いを巡らすことの多かった慎氏が、ジェフリー・サックス氏の著作「貧困の終焉」に感銘を受け、自らも貧困をなくすため行動を起こそうと2007年に立ち上げた勉強会が始まり。名称のLIPには、「貧困を抜け出すための機会の平等が実現できれば、誰もが自分の運命の主人になる可能性が高まり、そのような自主性の高い人間が集まれば平和な社会になる」との想いがこめられている。
「無知はアクションをやめる理由ではない」「一番大切なのは思いである」ことをベースに、勉強会で何ができるかを検討し、1)社会的に意義がある、2)得意分野(金融)で貢献する、3)他が手をつけていないことから、日本で初めてのMF投資ファンド設立を発起した。商品化にあたっては、事業証券化ファンド会社であるミュージックセキュリティーズと事業提携して、「カンボジア1」というファンドを設計し、2009年9月に個人投資家向けの販売が開始された。

●「カンボジア1」について
マイクロファイナンス(MF)とは、マイクロクレジット(小口融資)を始めとする、貯蓄・保険・送金などの貧困者向けの小口での金融サービスの総称である。2006年には、MFの貧困削減における効果が認められ、グラミン銀行と創設者のユヌス氏がノーベル平和賞を受賞している。マイクロクレジットの潜在的な需要は2,800億ドルとも言われているが、現状では170億ドルほどしか供給されておらず、広く民間からの資金供給が期待されている。従来、日本から直接、支援する仕組みはなかったため、日本初のMF投資ファンドを立ち上げた。投資先であるカンボジアのMF機関「サミック」の選定にあたっては、1)資金が豊富な大手ではないこと、2)返済計画の審査がしっかりしていることを重視して選んだ。一口3万円で個人投資家に販売し、2400万円集めた。

「カンボジア1」から得られた知見をベースに、同様のシステムで2010年には「カンボジア2」を商品化し、1500万円の資金を調達した。

●民間投資で開発途上国を援助
現在の援助を官-民、貸す-あげるの2軸で整理すると下記のようになるが、。今後先進国の経済も低成長が続く見込まれる中、民間による借款を増やすべきである。

●成功の要因
1) 証券化のプロの民間企業と組んだ
2) 勉強会で得た幅広いMF金融機関に対する知見とネットワークがあった
3) 貧困撲滅をテーマにしている中規模のMF金融機関をきちんと選べた
4) カンボジア社会が司法的に安定している

●今後の課題
1) 選定金融機関調査の効率化
2) ファンドの更なる発展(と資金調達)
3) 弁護士、ウェブデザイナー、マーケティング経験者などスキルを持った人の獲得

●社会人だからこそ出来ること
会社員として働きながらNPO活動をすることを「偉い」と言われるが、そんなことはない。一日24時間のなかの一部を自分+友人が割けば、いろいろなことができる。誰でも自分の空き時間を使って社会貢献をすることができ、それは、方法によっては世の中に大きなインパクトを与えられる。自らのアクションの効果を過小評価してしまうことが、社会を閉塞化させる一つの原因ではないか。
実際、LIPの代表も務めながら、趣味のバンドもトライアスロンも続けている。実感しているのは「本業でないから出来ない」はないということ。逆に本業でしっかり稼いでいるからこそ、報酬がなくてもしっかりやれる。
報酬がないからこそ、本業の専門性から離れた好きなことを選べる。
専業でなく一人ではやりきれないから、組織をフラットに、風通しよくする必要がある。仲間との協業が必要になり、深いコミュニケーションが取れる。
安藤忠雄氏の「光の教会」のように、制約条件が創造性をもたらすのだと思う。

●無償だからいいこと
若者主体のNPOだと、初見からは信頼されにくいということはあるが、一方、それを補ってあまりあるメリットが得られる。それは、変な仲間が入ってこないこと。貧困の終焉という志を同じくする気のいい仲間と切磋琢磨して、日本初のファンドを立ち上げるのは、何ものにも替えがたい経験をメンバーにもたらしてくれたし、本業では出会えない仲間との出会いと縁は、人生の長いゴールに向かっての旅に必要だと思う。

感想 -講義を終えて-

授業を担当した荒見さん、清水さんの感想

慎さんたちのお話は、率直で、地に足がついていながら、野心にも溢れており、前向きエネルギーに満ち溢れていて、聞いているだけでいろいろアイデアが沸いてきましたし、元気になりました。また、慎さんの発言にはいくつものSound Biteが含まれていて、リーダーとしての天性の資質感じました。レポートにも入れましたが、
-貧困が人権阻害を生む/-無知はアクションを止める理由じゃない/-誰もが自分の運命の主人になる権利がある/-人生の愉しみのひとつは「そんなの出来っこない」を覆すこと/-子供の自立心は、愛してくれた誰かのおかげで育まれる/-全ての子供に夢をくれる大人との出会いを届けたい/-本業でないから出来ない、はない/-本業でないことができるのがいい/-制約が創造性を生む

米倉先生の「むしろ、パートタイムNPOがこれからの本流って言い切ればいいと思うよ」とのコメントには、塾生一同、大共感し、今後の卒塾課題仕上げにあたっての奮起剤になったと思います。

講師コメント

今回の講義を通じて、どのように感じたのでしょうか?

本業をもちながら、個人がパートタイムで社会に対して力を発揮するひとつの方法として、Living in Peaceの活動を紹介いただきました。 一人一人が、少しずつでも空いた時間を集めれば、大きなことを目指せるというよい例だと思います。もちろん専業でやるという選択肢はありますが、“専業でなければできない”という制限はどこにもないのです。

多くが企業人の米倉塾生とって、慎さん達の話に共感し、刺激となったと思います。

次回以降の卒塾課題発表、多いに期待しています。

定点観測

アンケート集計

※数値はオンラインの出席者アンケートより

日本元気塾では、講義後に出席者へのアンケートを実施しています。出席率、元気度を毎回集計し、報告いたします。

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