日本元気塾

米倉塾の活動報告

日本元気塾
更新日 : 2009年11月11日 (水)

第7回 2009.9.28(月)

講義レポート

NPO法人「育て上げ」ネットの工藤啓理事長、井村良英氏を迎え、開催。前回プレゼン権を獲得した2グループが代表で「育て上げ」ネットの成長戦略についてプレゼンを行いました。

米倉塾

 概要

「育て上げ」ネット(編注:※ニート・ひきこもりと呼ばれる若者たち・その保護者の自立支援サポートをしているNPO法人)の今後の成長の方向性として、下記の2つの軸に重点をおいて提案する。

(1) 新規顧客の増加
(2) 新規受け入れ先、新事業



 塾生による提案の内容

(1) 新規顧客の増加

「育て上げ」ネットの強みは、保護者(母親)を通して要支援者をかなりの確率で引き出せることと、ジョブトレ(若年者就労基礎訓練プログラム)を通して約90%の要支援者が就労自立を果たしている実績があるということ。
しかしながら、収益の柱であるジョブトレ参加者が減っている。これは経営資源が分散されているからではないか。サポートステーション(若者支援施設)以外のその他公官庁などの受託事業を整理して、「育て上げ」ネットの強みを活かし、ジョブトレに集中すべきではないか。(ただし、サポートステーションはジョブトレの集客手段としての機能を持っているので、継続した受注が必要。)
1点目としてジョブトレへの集中を提案する。

一方で、軽症の要支援者はサポートステーションでの活動で自立を果たすため、ジョブトレをスキップする。つまり要支援者のターゲティングを明確に区分する必要がある。2点目としてジョブトレへの支援力と集客力の強化を提案する。


<具体的な提案内容>

ジョブトレへの集中と、支援力・集客力強化に必要な要素

・ メンタルケア・スタッフの増員
強みの源泉であるコアスタッフは、メンタルケア関係の教育機関と提携して意識の高いメンバーを得る。卒業者に対してのカウンセリング業務を強化。

・ バックアップ・スタッフの獲得
強み以外の部分はサポーターにお願いをする。社会活動に関心のある人材は多くいるが、社会活動への参加の方法がわからない人が多い。だから募集告知には具体的に必要な人材を伝える。また、ボランティア希望者と、ボランティアを必要としているNPOのマッチングをするNPO法人サービスグラント等を活用。

・ ジョブトレ拠点の多様化
立川の商店街での活動を応用して、サポートステーションの知名度を利用することによりサポートステーション拠点の商店街をジョブトレの場に活用。商店街設備を非固定的な拠点と位置づけて、接触可能な要支援者数を増やせる。

・ ジョブトレへの集客手段は商店街から
商店街は情報とヒトのるつぼ。母親へのジョブトレの伝達手法はレトロな方が効果大だと考える。ならば、商店街の情報発信力を利用しない手はない。


(2)新規受け入れ先、新事業の検討
ジョブトレの新規受け入れ先として、福祉分野は要支援者の「育て上げ」に効果があり、「人手不足」感の強い事業所がまだあるのではないか。
福祉分野の中でも、
1.求人倍率は安定的 2.相手が児童である 3.首都圏では保育所数が不足している
以上、3つの理由から特に『児童分野』が新規の受け入れ先に適しているのではないか。

元気塾のグループで行った児童施設現場スタッフへのアンケート結果でも、「保育の有資格者以外でも手伝って欲しい場面はある」と回答するスタッフは多かった。

そこで、例えば保育園から会費をいただき、「育て上げ」ネットは要支援者に保育の仕事を紹介する、さらに要支援者は保育園へ業務のお手伝いをして充実感を感じられるという、新規ビジネスモデルを作ってはどうか。


「育て上げ」ネット 工藤理事長
「育て上げ」ネット 工藤理事長
「育て上げ」ネット 若年支援事業部 地域担当部長 井村氏
「育て上げ」ネット 若年支援事業部 地域担当部長 井村氏
 工藤理事長のプレゼンテーション

若者の自立を支援していくことを「社会投資」と捉え、未来の日本を支える人材の育成であると考えている。日本では15歳~34歳を若者と定義する。この年代は国民年金を支える年代でもある。その意味では今、国の収支のバランスは急速に壊れつつある。それを元の姿に戻すためにも若者支援は必要だと考える。
そのためにも要支援者を税金の消費側から支払側に回すことは社会的意義がとても大きい。

「育て上げ」ネットはここまでは創設期から発展期に抜けて従業員数、給与とも一般水準に達してきた。
これからは事業の多角化などで展開期になる。
今後はニート支援だけではなく女性支援や発達障害者への支援もしていきたい。地方展開やアジア展開も見逃せない。特に韓国では若年無就労者問題が表面化している。恐らく世界的に見て適正な支援方法がないので、日本での例はワールドスタンダードになる可能性もある。

「育て上げネット」の課題としては、 組織としての研修制度が未整備であることが挙げられる。
(1) マネジメントができる人材の「育成」および「確保」
 事業規模を広げたいが、ニートを支援したいスタッフたちはマネジメントに回ることは、現場から外されたと捉えてしまう。一人の能力を他に分散することによってより多くの要支援者の支援につながるという発想にならない。
(2) バックオフィスのシステム化
(3) 事業PackagingおよびScale Outのノウハウ欠如
今までやってきたことをパッケージ化してよそに売り出す、誰でも出来るというレベルまで引き上げられていない。

  質疑応答

Q.なぜ企業への就職ではなくNPOを選択したのか
A.若くして中央官庁に提言できる立場となりたい、という想いから。
現場からの発信を継続すれば、少しずつだが政策に反映していることを実感している。

Q.その他やりたいことはあるか、
A.地域商店街への貢献も念頭に、定食屋をやってみたい。
出前も行い、高齢者などへは人も派遣して食事中の話し相手になってあげることができる。
立川のサポートステーションの立ち上げにより、近くのコンビニの売上が年間数百万円レベルで上がったという事実から、商店街への経済効果も出していける。
メジャーなお弁当チェーンが地域から消えて、困っている人たちがいるし、ニートの自立支援としての新事業の可能性で、自分たちにもメリットがある。これらのことから、自分たちで定食屋をやるという点に至った。

Q.行政を変えるとしたら何がしたいか
A.最低時給300円などの特別制度を作りたい。
 300円ぐらいなら働けるというようにハードルを下げたい。

Q.ネットを見やすく活用してはどうか
A.ターゲットは母親。母親への訴求効果が強いのはネットより紙媒体と考える。
またネットは掲示板などで誹謗中傷をうけるケースが多いのでそこは気をつけたい。


<米倉塾長から当日の総評>
「私達はこういうアイデアがある」というレベルなら学生でも言える。これまでお話ししているように、元気塾は自分たちの社会での実経験、スキル、人脈を使って「私達はここまで御社のために出来る」という行動レベルまで落とし込んだプレゼンをすべき。
また、要支援者の側からお金を取るより、どちらかというとBtoBのコンサルで企業からお金を出してもらう等お金があるところから取っていくビジネスモデルを開拓するのが好ましいと思います。

感想 -講義を終えて-

レポート担当者、今井さんの所感

工藤理事長、井村様とも沢山のアイデアを持っていて、それがどれも実現の可能性が高く、ニート支援や社会貢献のために効果的で魅力的なアイデアを持っていらっしゃった。

ビジネスマンをしたことがないのでビジネスマンのお力を貸して欲しいとおっしゃっていたが、ビジネス感覚も非常に高いものを持っているように思われる。

しかし、それらのアイデアを実現させるためには私達がご提案したように社内組織の強化が必須であると思う。
塾長のおっしゃるとおり、アイデアだけでなく行動を起こして実際にイノベーションを起こす。そのための一歩になれるよう今後も「育て上げ」ネット様とはお付き合いを続けていき、塾生で協力して多くのイノベーションを実現していきたい。

講師コメント

今回の講義を通じて、どのように感じたのでしょうか?

「私達はこういうアイデアがある」というレベルなら学生でも言える。

これまでお話ししてきているように、日本元気塾は自分たちの実経験、スキル、人脈を使って、時間もお金も人材もないNPO/NGOに「私達ならこれが出来る」という行動レベルまで落とし込んだプレゼンをすべきでしょう。

また、要支援者の側からお金を取るより、グーグルのようにBtoBのビジネスモデルで企業に便益を与えて、その収益から要支援者に比較的安価なサービスを提供するビジネスモデルを開拓するのが好ましいと思います。

定点観測

アンケート集計

※数値はオンラインの出席者アンケートより

日本元気塾では、講義後に出席者へのアンケートを実施しています。出席率、元気度を毎回集計し、報告いたします。

米倉塾の活動報告 インデックス