日本元気塾

米倉塾の活動報告

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更新日 : 2009年09月08日 (火)

第4回 2009.8.3(月)

講義レポート

株式会社ベンチャーリパブリック代表取締役社長 柴田啓氏を迎えて開催しました

米倉塾 ベンチャーリパブリック 代表取締役社長 柴田啓

塾生による提案の内容

・ ベンチャーリパブリック(以下、VRG)の業績は順調に伸びている。しかし、購買支援サイトの競合である価格.comと比較して規模・成長性で劣っており、広告宣伝費の投入量でも大きな差をつけられている。
・ 他業界の業界3~4番手企業の躍進事例を参考にすると、カテゴリ拡大戦略よりも、ある一定層でナンバーワンを目指す道を模索するほうがよいのではないか。

具体的な提案内容は2点:
1.専門性×コアユーザー
「情報感度が高く」、「自分らしさを求める」、「30~40代男性」に対して、VRGの専門家社員の専門性を生かした商品・セット提案を行う。
2.メタ購買支援サイトの構築
急速に増加しつつある「賢い消費者」に対して、質の高い購買支援サイトを提供する。具体的には、「新品」「中古」「リアル店舗」「レンタル」といった異なる購買形態に横串を指して商品情報を提供する、「メタ購買支援サイト」を構築する。

日本元気塾 ベンチャーリパブリック 代表取締役社長 柴田啓
日本元気塾 ベンチャーリパブリック 代表取締役社長 柴田啓氏

 柴田社長によるプレゼンテーション

・ 購買支援サイトのビジネスモデルは図の通り:

欧米では、比較サイトを訪れるユーザーの75%は検索エンジンを経由して訪れる。購買支援サイトは、検索エンジンに対して広告を出し、EC店舗にユーザーを誘導し、EC店舗からは訪問一回につき広告料を課金する。図では広告料20円の払い出しに対して、30円の受け取りとなっている。購買支援サイトの運営とはつまるところ「鞘取りゲーム」とも呼べ、VRGは広告宣伝では原則リスクを負っていない。

・ 購買支援サイト業界において重要なのは、規模である。商品カテゴリ・点数を増やし、サイトのトラフィックを増やすことにより、鞘取りゲームでの勝者を目指すことが王道ともいえる。

・ 一方で、検索エンジン及びECサイトが力をつけてくることによって、購買支援サイトが「通り道化」していく可能性がある。そうした事態になることに備え、ブランド力を上げていくことを課題と認識としている。専門家社員の活用による、価格情報以外の商品情報の提供によって、サイトの質的な価値も高めていきたい。

・ 塾生からの提案にあった、専門家社員による商品提案に関しては否定的な意見。新聞・雑誌業界の苦境を見る限り、コンテンツは売れない時代になってきており、人件費をペイできない可能性が高い。

・ 一方で、「メタ購買支援サイト」の考えには共感。Yahoo!オークションとは提携済であり、中古品情報の提供は既に開始している。ここで一番難しいのがリアル店舗の情報を取り込むこと。技術的に課題はあるが、ここはまだ誰も手をつけていない分野であり、中長期的課題として取り組んでいきたい。


 質疑応答

Q. 検索エンジン対策というと、広告出稿に加え、オーガニックな検索エンジン対策とがあるが、どちらを重視しているのか。
A. 両方重視している。統計上、検索エンジン対策は無料のトラフィックのために利益率が高い。その一方で、広告からきたユーザーのほうが購買につながる可能性は高いとの認識もある。加えて、検索エンジン対策は検索エンジン側が算出ロジックを変更してしまったらすべてご破算になってしまうというリスクもあり、近年は広告にも力を入れている。

Q. 競合である価格.comとの成長率の差はどこから来ていると認識しているか。
A. カテゴリ拡大スピードの差、知名度(わかりやすい名前)、クチコミ掲示板

Q. ECサイトへ進出する考えはあるか。
A. 現段階では考えていない。ECサイトへの進出は大きなビジネスモデルの転換を伴うため、あくまでも「購買支援」というミッションを追及していく。

Q. B to Bへの今後の展開は。
A. 今後強化していく予定。B to Bに強い日経BP社と提携したのも、その一環。中小企業やSOHO向けが狙い目だと認識している。規格化・標準化しやすい商品分野はB to B向きだと考えられる。

Q. 今後力を入れていく分野は。
A. 運営しているサイトの中で、旅行分野では Hotel.jp を含めた国内旅行分野、商品分野では coneco.net に力を入れており、ブランド力を高めるべく動いている。カテゴリ拡大と同時に、より専門性を追求した作りにしていく。専門家社員はVRGの強みであるが、さらにニッチな分野に進出するために新しいスタッフも雇っている。現在は在宅ワークの需要が極めて高い。在宅勤務者であれば、完全歩合制にすることも可能であり、人件費負担も軽い。

Q. 今回ユーザーとして利用してみたとき、VRGが強みとする専門性は見えにくかったのだが。
A. 購買支援サイトでは製品マスタの登録をスタッフが全て手作業で入力している。カテゴリあたりのマスタ登録数では、他の競合サイトを凌駕する水準にあり、特にマニア層からは大きな支持を得ている。一方で、専門家の活用という面においては、経営としても課題として認識しており、彼らをどう活用していくかについて真剣に検討を行っている。

Q. 特に集中して攻略するセグメントはあるか。
A. 「30代男性」というように、攻略すべきセグメントを定義してはいない。性別・年齢といった画一的な尺度ではなく、むしろユーザーを興味領域ごとに分類し、そのグループに対して、真に心を掴むことのできるサービスを提供していくことが重要であると考える。

Q. 10年後の消費はどのような姿になると考えるか。
A. グローバル化、ボーダレス化は続く。現在はB to Bの世界がメインであるが、B to Cの世界でも当たり前になるだろう。また、「消費者は消費の前に、必ずネットで調べてから買う」時代は目前に迫っていると考える。

Q. ベンチャー経営者として、物事がうまくいかなかった経験はあるか。
A. 毎日がうまくいかないことの連続。そもそも、起業した当時インターネットは常時接続ではなかった。NTTのテレホーダイですらあまり普及していない中、ネットで買い物をする人間などは皆無であった。時には苦しみながら事業を続けてきたが、起業当初に思い描いていたインターネットの将来像は、やがて時の経過とともに現実となってきた。

日本元気塾 米倉塾 米倉誠一郎
日本元気塾塾長 米倉誠一郎氏
 米倉塾長による講評

「消費者のための購買支援」という企業理念と、「カテゴリ拡大」という戦略の間に矛盾がある。カテゴリ拡大は現実的な判断に見えるが、企業理念との乖離が生まれているようにも見える。一度企業理念に立ち返り、戦略を見つめ直してもよいのではないか。

業界3~4番手の企業が飛躍するためには、DeNAの「モバゲー」のようなキラーコンテンツが必要だと思う。ビジネスチャンスは「やるのが難しいところ」にこそ存在する。本気で消費者目線に立ったモデル、あるいはまったく新しい日本発のビジネスモデルを創り上げていってもらいたい。

感想 -講義を終えて-

レポート担当者、山田さんの所感

今回1ヶ月に渡るリサーチを経て、塾生代表として柴田社長に向けて提案を行った。柴田社長には、時折深い相槌を打っていただけたことから、少なからず共感していただけた部分があったものと考える。長い間共同作業をしてきた1班・2班のメンバー、お疲れさまでした。

米倉塾一同反省すべき点としては、恐らく我々の誰一人として、購買支援サイトの競争環境について正しい理解をしていなかったというところであろう。ひょっとしたらVRGや競合他社の従業員に聞けば得られる知識だったかもしれず、情報収集の甘さを痛感した。購買支援サイトという市場におけるゲームのルールは、まずはカテゴリを増やしてキャッシュを稼ぎ、同時並行でサイトのブランディングをしていくことであるとのこと。VRGにおいては、そのブランディングの手段が専門家社員なのである。柴田社長のこの考えに触れ、思わず「なるほど」と思ってしまった。

一方で、競争論の世界において業界3~4番手が取るべき戦略は「集中化」や「差別化」である。VRGの戦略は業界大手やアメリカの購買支援サイトが採用している戦略と、大まかな方向性としては一致している。そのような環境下においては、資本力のある上位企業が有利となる可能性は高い。仮にそうであるならば、今ある「購買支援サイト」という市場で血みどろの戦いを繰り返すのではなく、今はない新しい市場を自ら創り出す。そして、そこで確固たる地位を築くというブルーオーシャン戦略こそが、目指すべき姿なのではないかという考えが浮かんだ。

今回VRGを中心に、価格.comを含めた購買支援サイト市場や、IT市場全般、また業界3~4番手企業の復活例等に関する調査ができ、個人的に学ぶ部分は非常に多かった。今後ともVRGの動向を見守るとともに、この市場においてどのようなイノベーションが産まれていくのか、常にアンテナを立て、見守っていきたい。

講師コメント

今回の講義を通じて、どのように感じたのでしょうか?

柴田社長は、忙しい合間をぬって本当によく来てくださいました。ありがとう。
しかし、与えられるだけの日本元気塾であってはならない!
社長に来てもらうからには、何かお土産を持ち帰ってもらおう、ということで、塾生諸君は短期間で課題の抽出、提案までよくやったと思います。
今回代表プレゼンに選ばれなかったチームは、次回リベンジを狙ってください。

定点観測

アンケート集計

※数値はオンラインの出席者アンケートより

日本元気塾では、講義後に出席者へのアンケートを実施しています。出席率、元気度を毎回集計し、報告いたします。

関連リンク

今回の塾で扱われたトピックのリンク集です

  株式会社ベンチャーリパブリック

柴田啓氏が代表取締役社長を務める、ベンチャーリパブリックのサイト

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