日本元気塾

髙島塾の活動報告

日本元気塾
更新日 : 2010年02月17日 (水)

第7回 2009.11.09(木)

講義レポート

スペシャルゲストにタイラー・ブリュレ氏を招いて“Team Takashima”によるバイリンガルセッション。第6回の髙島塾においてチームで発表したプランを集約し、エアラインに精通するゲストに直接問いました。

髙島塾
<図1>
髙島塾
<図2>

<図3>

<図4>
JAL GROUP “I’m Sorry” Campaign! 『ごめんなサイ』

<図5>

《第1部》  “Team Takashima”プレゼンテーション

「JAL GROUP Revival Plan」

1. JAL再生問題の現状と要因
・競争力低下:高燃費、低効率、多機種・旧式機材の保持と利用率低下
・官僚主義的な組織体制、労働組合・年金問題などによる過去の再生計画の頓挫

2.新しい航空ビジネスの分析
現状のニーズから、航空会社は主に路線距離によって3つのパターンでビジネス展開している
・長離路線(大陸横断的)
・短距離路線(アジアなどの地域)
・国内路線中心のサービス

以上から、集中すべき市場(路線と顧客層)を明確にすることがJAL再生の糸口になるのでは。
<図1>


“Team Takashima”が提案する再生プロジェクト(案)

JALブランドの二極再構築と特徴あるサービスの展開
「短距離専門」か「長距離専門」に特化することで収益性を向上させる

1.長距離国際線ブランド: JAL SMART

日本人のためのエアラインから外国客も対象に含めたの「おもてなし」エアラインへ
自国文化のショーケースとして、「ホスピタリティ」「カルチャー」「テクノロジー」をPRする
・日本の伝統色「紫紺」をメインカラーに、「和」モダンテイストの内装
・120%サイズアップのシート、シート数削減とスペース拡大
・携帯デバイス(DS,PSP)でのオンデマンドサービス、TOTOネオレストによる快適なレストルーム
・駅弁形式の自由選択制ミールサービス、酒類の自販機設置
・イッセイミヤケのハイテクプリーツ素材のCA制服

<図2>

2.短距離,国内主体ブランド: JAL SIMPLE
徹底的な「シンプル」サービス・および国内プロモーションの提案

<図3><図4>


タイラーさんのコメントは塾生とは一線を画する点が多く、これらはJAL再生プロジェクトだけでなく、海外に進出すべき全ての企業・事業にとっても非常に参考になるものでした。

彼が繰り返し言及していたことのひとつに広告・宣伝の重要性があります。

日本人は年々海外に行かなくなっているのにも関わらず、インバウントを重要視してないように思える。国際的なブランディングが重要。例えば大韓航空のCMキャンペーン(1980~90年代BBC,CNNで展開)で欧米での認知度がアップしましたが、JAL・ANA共にそのような活動は行っておらず、イギリスから日本へ向かうフライトの選択肢の一つとなり得ていないのが実情のようです。

また、世界で1、2位を争うホスピタリティーの高さなど、日本や日本の航空会社の良さもまだまだ伝えきれていません。それらをPRする前提で、日本国内への集客方法を考えることが非常に重要とのこと。
例えば日本人は直行便のこだわりが強いようですが、その概念を捨て、フライト時間の短縮につながる乗り継ぎ便の利用提案などで海外からの乗客を誘導し、利用者を増やすことなどを強調されていました。


タイラー・ブリュレ氏
タイラー・ブリュレ氏

《第2部》 タイラー氏自身による過去プロジェクト紹介

<図5>
スイス国際航空の再生プロジェクト
カナダPorter Airlinesブランディング

【タイラー・ブリュレ(Tyler Brûlé)氏 プロフィール】
ブランディングデザイン会社「Winkreative」代表。
2007年創刊のグローバル情報誌『MONOCLE』編集長。
ジャーナリストであり、ブランディング、クリエイティブディレクターとして活躍中。

Winkreative: www.winkreative.com
MONOCLE: www.monocle.com

補足
後日、『Financial Times』紙のタイラーさんのコラムにて、当日の模様を含めた記事を書いてくれました。
“Young dragons take to the skies”

講義を終えての所感

講義レポートを担当した、櫻井さん、福本さんによる感想は…

(櫻井さん)
JALの再生問題は、我々日本人にとって国内問題の意識が強く、その解決プランも日本人の一利用者としての視点でアプローチすることが全てでした。
今回のJAL再生プランの端緒として、企業体質の見直しはもちろんのことですが、世界を相手にどうしたら良いのか、ビジネス全体をデザインしていくことが肝要ではないかと思います。とりわけ国外顧客へ向けてのプロモーションに重点を置き、質・量ともアウトプットを増やしていかなければならないでしょう。外国のことを「海外」と表現するように、我々日本人には外国を(辿り着けない)海の向こうとして捉え、意識が及ばない面が多々あります。自身も含め、知らず知らずのうちに「外から目線」というものを感じ取られなくなっている感覚を、反省とともに再認識させられました。髙島さんは常々「見方を変えれば、既存のビジネスでも、新しい価値・モデルを創り出すことができる」とおっしゃっています。Tylerさんのアイデアにはそれと同質のマインドが底流にあり、まさに「目からウロコ」。センスあるヴィジュアルデザインも、コンセプトから製作過程におけるご苦労など直接伺うことができて大変刺激的なひと時でした。

(福本さん)
地理的な条件から日本はそもそも国内線利用の利点が少なく、国民全体が飛行機を使い慣れていないことが今回のJALの経営破綻の一因であることをTyler氏の話を聞いて感じました。欧米では国内またはEU内の移動に飛行機を利用することが一般的・日常的なことに対し、日本人にとっての飛行機利用は移動の手段のひとつではなく旅行のイメージが先に立ちます。
そのため国内線は電車か飛行機かの選択になり、国際線は対極で長距離と時差の影響で直行便に拘る傾向があり、海外からの利用客を増員する方法として、ロンドン⇔シドニーの移動が日本を経由したほうが飛行距離が短くなることを思いつかないため、当然そういった有利なPRができません。このことは今回のJAL再生プロジェクトだけでなく、海外進出をめざす日本の企業に必要な視点だと感じました。思いつかないことを調べることは至難の業ですが、グローバリゼーションには必要不可欠であり、Tyler氏のコメントを聞いて私たち塾生と全く異なるスコープでの意見は非常に参考になりました。

講師コメント

前回、塾生にはグループに分かれてJAL再生についてアイディアを出してもらいました。

今回のセッションでは、塾生代表3名にJAL再生プランを直接タイラー氏にぶつけてもらいました。事前にタイラー氏には、「塾生には、プランについて率直な感想を言って欲しい」と伝えていました。タイラー氏からは、世界から見たJALや日本に対する意見をもらい、航空会社に限らずグローバルなコンセプトやデザインが日本にはまだまだ足りないということを実感できたセッションになったと思います。

定点観測

アンケート集計

※数値はオンラインの出席者アンケートより

日本元気塾では、講義後に出席者へのアンケートを実施しています。出席率、元気度を毎回集計し、報告いたします。

髙島塾の活動報告 インデックス