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<チーム・ポリシー・ウォッチ>2017年の政治・経済・政策を斬る~日本で働き方改革は本当に進むのか~

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更新日 : 2017年03月13日 (月)

第1部 2017年の世界情勢・日本経済・金融市場、そして日本の政策の論点は?

講座タイトル:チーム・ポリシー・ウォッチ「2017年の政治・経済・政策を斬る」
~日本での働き方改革は本当に進むのか~
開催日:2017年1月26日(木)19:00~21:15 

<司会>
・竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/東洋大学教授/慶應義塾大学名誉教授)
<スピーカー>
・冨山和彦 (株式会社経営共創基盤代表取締役社長)
・Robert Alan Feldman (モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社 チーフ・エコノミスト)
・野村修也 (中央大学法科大学院教授)
・松原聡 (東洋大学経済学部教授)
・奥谷禮子 (株式会社ザ・アール 会長)
・八代尚宏 (昭和女子大学 グローバルビジネス学部長・特命教授)
・原英史 (株式会社政策工房 代表取締役社長)
・岸博幸 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授) 


2017年1月26日に開催された本シンポジウムでは、竹中平蔵理事長の総合司会のもと、第1部では2017年の世界情勢、日本経済や金融市場はどう推移するか、日本の政策の論点は何かといったマクロ視点からの議論が行われ、第2部では、アベノミクスの現下の最重要課題である働き方改革に焦点を絞って議論を行い、安倍政権の下で本当に必要な改革が進むのかを考えました。

第1部: 2017年のマクロ経済は?

(左から)竹中平蔵氏、富山和彦氏、ロバート・フェルドマン氏、松原聡氏


まず第1部は、株式会社経営共創基盤代表取締役社長 冨山和彦氏、モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社 チーフ・エコノミスト Robert Alan Feldman (ロバート・フェルドマン)氏、東洋大学経済学部教授 松原聡氏と、総合司会としてアカデミーヒルズ理事長/東洋大学教授/慶應義塾大学名誉教授 竹中平蔵氏が登壇。アメリカではトランプ政権がスタートし、イギリスがEUから離脱するなど世界が大きく動く中で、2017年のマクロの経済・政策はどうなっていくのかという議題に対し、それぞれの見解が共有されました。

トランプ政権・米国経済に関しては、インフラを整備する点、政策をねじれのない共和党下において、短期間で実行に移すことができる点については3名とも概ね評価。一方マイナス点として挙げられたのは、保護貿易主義に関してでした。保護貿易主義に走ることでアメリカの成長率が下がり、インフレが加速するという懸念が共通の意見として挙がりました。
また冨山氏は、産業界がこれから直面する問題として第四次産業革命(AI革命)を挙げ、これにより垂直統合型モデルが衰退し、いわゆる水平分業とスマイルカーブ現象が一層進む点を指摘。この状況下において鍵となるのは構造転換で、日本については現状経済状態が良好なので安心してしまうが、その分構造改革が遅れてしまうと日本経済の成長の足を引っ張る可能性があり、自動化を進めることの制約とならないよう、むしろ先行して進めていくべきだと提言しました。

竹中氏はこのシンポジウムの数日前までダボス会議に参加しており、ダボス会議は、「ひとことで言うと “戸惑いのダボス会議” だった」と共有。トランプ大統領が登場した点、トランプ政権の政策がどういう方向へ行くのかわからない点、三権分立が確立しているアメリカにおいて、トランプ政権の政策が実際どのように実現されるかわからない点、そして保護主義へ進むかもしれない点がこうした戸惑いを生んでおり、「短期的に世界経済は相当良いという意見で一致はしているものの、ただしこれは保護主義が行き過ぎなければという条件つき。それが多くの人が共有している認識だと思います。」とまとめ、今年注目していくべき点について、議題を移しました。



2017年に注目していくべき点として、各登壇者からは次のような意見が出ました。

フェルドマン氏
●米国の貿易相手国が、保護貿易措置に対しどういった行動を取るか。どこまで強く反応を示すか。
●トランプ政権内からの、中間選挙を意識したことによる人離れがいつ起きるか。

松原氏
●米中関係。アメリカと中国が手を握った時に、日本の立ち位置がどうなるのか。5月の米中戦略会議におけるアメリカと中国の関係構築にも注目したい。
●米露関係。アメリカとロシアの関係により、極東に位置する日本は両大国の間で相当大きな影響を受けるのではないか。

冨山氏
●こうした状況下においては、どう振れても良いように経営する必要がある。
●最も安全なのは、自国や地域において極めて緻密なサプライチェーンを作り出すこと。また、リスクヘッジの基本は分散化なので、グローバルに色々な事業を分散化するということも検討するポイントとなる。


アメリカ、世界の乱気流を意識しながら、日本の取るべき政策は?
第四次産業革命というチャンスをどのように取り入れていくべきか。



続いて、こうしたマクロ経済状況下において、日本はどういった政策を取るべきか。特に第四次産業革命(AI革命)を意識した時、日本はどう進んでいくべきかについて議論がなされました。

松原氏は、AI革命は構造改革・規制改革とセットであり、日本が規制改革でおよび腰となり、その流れに乗り損ねた場合、数年後に相当な経済へのダメージになることを懸念。改革姿勢をもっと打ち出していくべきとしました。
3名とも構造改革を積極的に進めていくべきという意見でしたが、冨山氏はさらに、人手不足社会において、構造改革のポリティカルキャピタルは比較的少なくて済むため、積極的に進めていくべきと述べました。
また、フェルドマン氏は、一番構造改革を進めるべきはエネルギー業界で、技術は開発されているが有効に活用されていないと指摘しました。

こうした構造改革の動きについて竹中氏は、「今の内閣は改革を進めており、例えば国家戦略特区の成果として、2年間という短い期間で都市計画審議会の問題をクリアでき、こうした大型プロジェクトが今東京で25動きはじめています。ただ、今の改革は全部 “点”。 “面” に広がっていくには規制改革会議、経済財政諮問会議の努力が必要であり、それらの強いリーダーシップが求められます。」と述べました。

さらに議論は、第四次産業革命(AI革命)の推進について進みます。冨山氏は、第四次産業革命(AI革命)を推進するに、いくつか基本的な法体系を改正する必要があると、著作権を例に挙げて説明。ディープラーニングで開発するすべてのアウトプットが、日本では著作権違反となる可能性が高いため、法改正が進まなければ日本に優秀な人材が残らなくなると、法体系の改正の重要性を指摘しました。

第四次産業革命(AI革命)は、終身年功制の雇用体系とは相性が良くないとし、日本の中で人的資源をどれだけ厚みをもって活性化できるような仕組みにするのか、様々な社会システムを見直し、多様性や非連続性を社会の中にビルトインしていかないと絶対にうまくいかないと訴えました。

松原氏も人材については不安があり、日本の公教育は、「20年後に無くなる職業」に向けた人材を育成しているのではないかと問題提起。こうした教育部分も改革の視野に含める必要性があるとしました。フェルドマン氏は、そうした危機があるということをもっと声にしていくべきで、そのためにも、流動性の高い労働市場を作るべきと述べました。

「政策の批判をするということはすごく簡単なことなんですよね。でもどれか1つを変えようと思っても、ものすごく1つ1つが大変で、全てを変えることなんてとてもできない。まずこれを変えたら波及効果があるのではないかというような、いわゆるボーリングのセンターピンのようなもの、まさに選択的アジェンダをうまく探し出すということが、現実的に考えると極めて重要ではないかと思います。」と竹中氏は第1部を締めくくりました。

該当講座

2017年の政治・経済・政策を斬る
2017年の政治・経済・政策を斬る

2017年の世界情勢、日本経済や金融市場はどう推移するか?日本の政策の論点は何か?そして、安倍政権の下で本当に必要な改革が進むのか考えます。
竹中平蔵/冨山和彦/ロバート・フェルドマン/野村修也/岸博幸 ほか多数


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