academyhills Note
オピニオンアーカイブ
いま、環境の何が問題なのか
環境問題を取り巻く世界の動向と、問題の本質を捉える
更新日 : 2009年06月24日
(水)
第1章 環境問題における国際交渉のリアリティを語る
環境は大切——。解かっているつもりでも、CO2削減量が数字合わせのように語られる今、問題の本質が見えないと思いませんか?
そこで今回、環境省で「京都議定書目標達成計画」策定を主導した小島敏郎氏に、環境問題を取り巻く世界の動向と問題の本質を語っていただきました。日本はいかに対応するべきかがわかります。
ゲスト講師:小島敏郎(地球環境戦略研究機関特別顧問/前環境省地球環境審議官)
講師:竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学教授 グローバルセキュリティ研究所所長)
竹中平蔵: 気候変動と地球環境の問題は、皆さんの関心の高い問題だと思います。小島さんは行政官として、水俣などの環境問題が私たちの目の前に現れてからのほとんどの問題を経験されました。現在は退官され、今年(2009年)の4月からは青山学院大学の教授として、国際政経学を教えていらっしゃいます。
夏にG8サミットを開催する議長国の首相や大統領は、1月のダボス会議で講演をしてアジェンダを打ち上げ、そこからプロセスをスタートさせると言われます。だからこそ日本国の総理大臣にぜひダボス会議に行っていただきたいという思いで、そのお膳立てをしたのが当時の小島地球環境審議官です。
福田康夫元首相がダボス会議で非常に明快なスピーチをなさり、議長国日本の面目を保ちました。その陰で、いろいろとご苦労があったと思います。
それでは、小島さんにお話をいただきます。
小島敏郎: 私は、主に国際交渉のリアリティという観点からお話をさせていただきたいと思います。現在話題になっている「不況対策とグリーン・ニュー・ディール」、「国際的なルールをつくっていくことに対する日本のポジション」、「気候変動の国際的ルール」、「国際的な政策はどういうふうにつくっていくのか」、現在の日本の「意思決定の方式はそれに対応しているのか」、の5つです。
まず「不況対策とグリーン・ニュー・ディール」ですが、100年に1度と言われている世界的な大不況の中で、日本でもグリーン・ニュー・ディール政策が唱えられています。この政策についてどう考えるか、というテーマ設定をしました。
韓国でも今、李明博大統領が「グリーン・グロース(緑の成長)」という経済政策をやっています。オバマ大統領の気候変動政策は、パッケージとしては去年(2008年)の秋にスピーチされたものですが、それには次の5つのポイントがあります。
夏にG8サミットを開催する議長国の首相や大統領は、1月のダボス会議で講演をしてアジェンダを打ち上げ、そこからプロセスをスタートさせると言われます。だからこそ日本国の総理大臣にぜひダボス会議に行っていただきたいという思いで、そのお膳立てをしたのが当時の小島地球環境審議官です。
福田康夫元首相がダボス会議で非常に明快なスピーチをなさり、議長国日本の面目を保ちました。その陰で、いろいろとご苦労があったと思います。
それでは、小島さんにお話をいただきます。
小島敏郎: 私は、主に国際交渉のリアリティという観点からお話をさせていただきたいと思います。現在話題になっている「不況対策とグリーン・ニュー・ディール」、「国際的なルールをつくっていくことに対する日本のポジション」、「気候変動の国際的ルール」、「国際的な政策はどういうふうにつくっていくのか」、現在の日本の「意思決定の方式はそれに対応しているのか」、の5つです。
まず「不況対策とグリーン・ニュー・ディール」ですが、100年に1度と言われている世界的な大不況の中で、日本でもグリーン・ニュー・ディール政策が唱えられています。この政策についてどう考えるか、というテーマ設定をしました。
韓国でも今、李明博大統領が「グリーン・グロース(緑の成長)」という経済政策をやっています。オバマ大統領の気候変動政策は、パッケージとしては去年(2008年)の秋にスピーチされたものですが、それには次の5つのポイントがあります。
1つ目は「温室効果ガス削減の明確な数値目標の設定」です。2050年までに80%を削減、その達成に至る強力な年次削減目標を設定し、さらに、2020年までに1990年水準±0%の義務的な目標を設定するというものです。
2つ目は、「100%オークション排出量取引制度」。これは非常に画期的なことです。これまでキャップ&トレードという排出量取引は、費用効率的な経済的手法(最も安くCO2を削減する方法)として検討されていましたが、ここでは、石炭や石油を使う会社に対して排出をする権利を与えるのではなくて、ポリューターに支払わせる、つまり「汚染者負担の原則」に次元が移行していることが画期的です。
3つ目は「経済を移行させる明確な認識」。現在の化石燃料を基本とした経済から、化石燃料に依存しない経済に移行させるという強い意思が見られます。移行にはいろいろな痛みや困難があるので、うまく移行できない若い人たちに対して職業訓練を行なったり、地域によっては連邦政府の投資を集中して行ったりします。
4番目は「明確なビジョン」。一時的な不況対策ではなくて、未来の強いアメリカをつくるという目標に向かってやっていくということです。
5番目は、「石油に依存しない経済・社会をつくるのは安全保障」であるということです。日本では経済の観点からのみ議論する傾向がありますが、イギリスやアメリカは「気候変動問題は安全保障の問題」ととらえています。各国の防衛省、国防省が集まって気候変動の議論をする国際会議も、すでに何回か開かれています。日本にはそういう認識が広まっていませんが、そんな時代が来ているのです。
2つ目は、「100%オークション排出量取引制度」。これは非常に画期的なことです。これまでキャップ&トレードという排出量取引は、費用効率的な経済的手法(最も安くCO2を削減する方法)として検討されていましたが、ここでは、石炭や石油を使う会社に対して排出をする権利を与えるのではなくて、ポリューターに支払わせる、つまり「汚染者負担の原則」に次元が移行していることが画期的です。
3つ目は「経済を移行させる明確な認識」。現在の化石燃料を基本とした経済から、化石燃料に依存しない経済に移行させるという強い意思が見られます。移行にはいろいろな痛みや困難があるので、うまく移行できない若い人たちに対して職業訓練を行なったり、地域によっては連邦政府の投資を集中して行ったりします。
4番目は「明確なビジョン」。一時的な不況対策ではなくて、未来の強いアメリカをつくるという目標に向かってやっていくということです。
5番目は、「石油に依存しない経済・社会をつくるのは安全保障」であるということです。日本では経済の観点からのみ議論する傾向がありますが、イギリスやアメリカは「気候変動問題は安全保障の問題」ととらえています。各国の防衛省、国防省が集まって気候変動の議論をする国際会議も、すでに何回か開かれています。日本にはそういう認識が広まっていませんが、そんな時代が来ているのです。
いま、環境の何が問題なのか インデックス
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第1章 環境問題における国際交渉のリアリティを語る
2009年06月24日 (水)
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第2章 日本のグリーン・ニュー・ディールが陥りやすい落とし穴
2009年07月10日 (金)
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第3章 国際交渉に必要な意思と判断力
2009年07月27日 (月)
-
第4章 国際的ルールをどのように合意に導いていくか
2009年08月10日 (月)
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第5章 国内政策の方向性と意思決定方式
2009年08月21日 (金)
-
第6章 アメリカの環境政策の実現可能性
2009年09月03日 (木)
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第7章 なぜ「外圧」による「Change(政策転換)」しかできないか?
2009年09月17日 (木)
-
第8章 国際社会で求められる日本という国の意思決定
2009年10月05日 (月)
該当講座
小島 敏郎(前環境省地球環境審議官)×竹中 平蔵(アカデミーヒルズ理事長)
地球温暖化問題が注目を集める中で環境関連の情報が氾濫しており、本質が見失われがちな現在、改めて「環境問題」とは何かを小島氏と竹中理事長に議論していただきます。
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