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「世界のアンドー」の発想力と実行力はどこから生まれたのか

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更新日 : 2008年02月19日 (火)

第6章 「海の森」は「地球の森」、地球にもっと好奇心を

安藤忠雄

石原慎太郎都知事は2016年のオリンピック誘致に向けて、グランドデザインの総監督を安藤忠雄に要請した。安藤は石原都知事に、代々木体育館などの 1964年の東京オリンピック時に使用された施設を補修して使うことを提案。その根底には「既存ストックを有効に利用していくかは地球規模の課題」という問題意識がある。新たにつくる施設については、世界の若手建築家を集めてコンペをし、安藤自身は審査に当たりたいと考えている。

米倉誠一郎_安藤忠雄
また、石原知事に「海上に浮かぶ森をつくりたい」とも提案した。東京湾のゴミ埋め立て地100ヘクタールを緑の森に再生するという壮大な構想である。実現すれば、明治神宮や皇居と同じくらいの面積の森が誕生する。安藤は今、このプロジェクトの実現に向け、国内外を精力的にまわり1,000円募金を呼びかけている。「日本人がゴミ捨て場を緑の森に変え、地球の森をつくる」という夢にかけているのだ。

安藤の夢に世界中のいろいろな人が共感し、賛同して動いてくれているという。そのなかには、ロックシンガーのボノもいる。2006年11月に安藤の事務所をたずねてきたボノは、安藤の設計した「光の教会」で感極まり、突然アメージンググレースを唱い出したという。また、ダブリンの自宅の設計を安藤に依頼した。

韓国では講演会に集まった1,500人のうち、600人がひとり1,000円の募金に協力してくれたという。韓国の人々が、歴史的な問題や国境を越えて日本の海の森プロジェクトの推進に募金してくれたというのは凄いことだ。「アジアはひとつ、世界はひとつ」という気持ちがなくてはこんなことはできないだろう。

環境問題に高い関心を持つフランスのシラク大統領も、協力を約束してくれたという。ちなみにシラク大統領は、愛犬に「すもう」と名前をつけたほどの親日家だそうである。

大きな夢と高い志をもてば、多くの人々を動かすことができる。安藤の行動はそれを示している。

(文・フリーライター 太田三津子)


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