記事・レポート
ライフスタイルサロン ~遊びをせんとや生まれけむ『ぼくの複線人生』~
カルチャー&ライフスタイル
更新日 : 2008年02月25日
(月)
第2章 私の人生に影響を与えたもの「蘭」「ダ・ヴィンチ」「流線型」
福原義春: 表紙(※編注:著書『ぼくの複線人生』)に載せたのは、私の人生に影響を与えたもの、ということです。
1つめは蘭の花の写真ですが、子どものころからずっと、父を手伝って洋蘭の栽培を一緒にしていました。今はもうやりませんけれど、10年20年前は自分で交配をしていました。表紙にあるのはカトレヤという種類で、私が交配をして「カメガオカ」という交配種名で英国の王立蘭協会に登録したものです。
なぜ「カメガオカ」かといいますと、鎌倉には鶴岡八幡宮がありますが、私は神奈川の逗子に住んでいて、氏神さまが亀ヶ岡八幡宮なんです。私が交配した蘭にはすべて三浦半島の地名を付けていますので、この種類は「カメガオカ(亀ヶ岡)」というわけです。
それから、レオナルド・ダ・ヴィンチ。1452年から1519年まで生きていた方で、絵や彫刻、それから土木や建築など、あらゆることをされました。慶応幼稚舎に通っていた小学6年生のときに、上野の池之端に産業館というところで、レオナルド・ダ・ヴィンチの展覧会を観て、衝撃を受けました。
この展覧会は、オリンピックの開催中止に替わって開催されたものでした。1940年に東京でオリンピックをするという計画があったのですが戦争が近づいてきたので中止になってしまいました。そうなると政府としては、国民に対して何かそれに替わるものをしなければならないということで、枢軸国のドイツ、イタリアから探してきて、イタリアの援助を受けてレオナルド・ダ・ヴィンチの展覧会をやったのです。
小学校6年生のときに、そこにクラスで連れて行かれたわけです。揚水機からヘリコプターまで発明のスケッチをしていて、絵も描いていて、一人の人間がこんなにいろいろなことをやるというということにびっくりしました。それから「人は一人でいろいろなことができるんだ」という漠然とした想いをずっと持ち続けてきたのです。レオナルド・ダ・ヴィンチになろうと思ったわけではないし、なったつもりもないのですけれど、生き方に影響を受けたということになると思います。
ダ・ヴィンチの展覧会は、この後もいろいろな所で観ることになるのですが、イタリアでデッサンの展覧会を観たことがあります。その中に「大気」、空気ですね、そういうシリーズがありました。靄(もや)、霧、雨、嵐、それから竜巻、そういうものをデッサンで描いていました。靄をデッサンで描けるなんて、私には信じられませんでした。このとき初めて、「普通の人には見えないものも、ある種の人々には見えるようになるんだ、あるいは普通の人に見えないものを見えるようにすることができるんだ」と感じました。
表紙に、ダ・ヴィンチの下に載せたのは、これも僕に影響を与えた、ナバホ・インディアンの石でつくった小鳥です。ナバホ・インディアンというのはご存じのとおり、自然を信仰の対象にしている、自然と深い関わりのある人々です。
私が中学生のころに日本は敗戦したのですが、大学のころには進駐軍の人たちが周りにいましたので、軍属の1人に英語を習っていました。その人が転勤をすることになったのですが、日本の進駐軍の軍属から、何とナバホ・インディアンの国務省のオフィサーといいますか、管理主幹になったのです。後で会社に入ってアメリカに行ったとき、週末にその方の新しい勤務地に寄って、ナバホの人たちの話を聞き、生活を伺いました。そのときに持ち帰ってきたのが、このナバホ・インディアンの石の小鳥です。
その下にあるのは、特急つばめを牽引していたEF55です。子どものころ、「流線型」というデザインが流行っていました。昭和のモダンデザインで、これはものすごく私の印象に残ったスタイルでした。
1つめは蘭の花の写真ですが、子どものころからずっと、父を手伝って洋蘭の栽培を一緒にしていました。今はもうやりませんけれど、10年20年前は自分で交配をしていました。表紙にあるのはカトレヤという種類で、私が交配をして「カメガオカ」という交配種名で英国の王立蘭協会に登録したものです。
なぜ「カメガオカ」かといいますと、鎌倉には鶴岡八幡宮がありますが、私は神奈川の逗子に住んでいて、氏神さまが亀ヶ岡八幡宮なんです。私が交配した蘭にはすべて三浦半島の地名を付けていますので、この種類は「カメガオカ(亀ヶ岡)」というわけです。
それから、レオナルド・ダ・ヴィンチ。1452年から1519年まで生きていた方で、絵や彫刻、それから土木や建築など、あらゆることをされました。慶応幼稚舎に通っていた小学6年生のときに、上野の池之端に産業館というところで、レオナルド・ダ・ヴィンチの展覧会を観て、衝撃を受けました。
この展覧会は、オリンピックの開催中止に替わって開催されたものでした。1940年に東京でオリンピックをするという計画があったのですが戦争が近づいてきたので中止になってしまいました。そうなると政府としては、国民に対して何かそれに替わるものをしなければならないということで、枢軸国のドイツ、イタリアから探してきて、イタリアの援助を受けてレオナルド・ダ・ヴィンチの展覧会をやったのです。
小学校6年生のときに、そこにクラスで連れて行かれたわけです。揚水機からヘリコプターまで発明のスケッチをしていて、絵も描いていて、一人の人間がこんなにいろいろなことをやるというということにびっくりしました。それから「人は一人でいろいろなことができるんだ」という漠然とした想いをずっと持ち続けてきたのです。レオナルド・ダ・ヴィンチになろうと思ったわけではないし、なったつもりもないのですけれど、生き方に影響を受けたということになると思います。
ダ・ヴィンチの展覧会は、この後もいろいろな所で観ることになるのですが、イタリアでデッサンの展覧会を観たことがあります。その中に「大気」、空気ですね、そういうシリーズがありました。靄(もや)、霧、雨、嵐、それから竜巻、そういうものをデッサンで描いていました。靄をデッサンで描けるなんて、私には信じられませんでした。このとき初めて、「普通の人には見えないものも、ある種の人々には見えるようになるんだ、あるいは普通の人に見えないものを見えるようにすることができるんだ」と感じました。
表紙に、ダ・ヴィンチの下に載せたのは、これも僕に影響を与えた、ナバホ・インディアンの石でつくった小鳥です。ナバホ・インディアンというのはご存じのとおり、自然を信仰の対象にしている、自然と深い関わりのある人々です。
私が中学生のころに日本は敗戦したのですが、大学のころには進駐軍の人たちが周りにいましたので、軍属の1人に英語を習っていました。その人が転勤をすることになったのですが、日本の進駐軍の軍属から、何とナバホ・インディアンの国務省のオフィサーといいますか、管理主幹になったのです。後で会社に入ってアメリカに行ったとき、週末にその方の新しい勤務地に寄って、ナバホの人たちの話を聞き、生活を伺いました。そのときに持ち帰ってきたのが、このナバホ・インディアンの石の小鳥です。
その下にあるのは、特急つばめを牽引していたEF55です。子どものころ、「流線型」というデザインが流行っていました。昭和のモダンデザインで、これはものすごく私の印象に残ったスタイルでした。
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