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「アメリカ大統領選挙から、アメリカ社会を考える」

更新日 : 2008年06月10日 (火)

第12章 ヒラリーを強く支持しているのは、45歳以上の女性

ジェラルド・カーティスさん

ジェラルド・カーティス: ヒラリーが強いのは、ヒスパニックとブルーカラーの白人です。オバマは黒人と、教育水準の高いプロフェッショナルの人たちからの支持が圧倒的に高い。年齢層では、ヒラリーはお年寄りたちの支持が、オバマは若い人たちの支持が多い。

面白いのは女性です。女性のヒラリー支持者は非常に多いのですが、ただそれは45歳以上の女性に限ります。今までの予備選挙を全部合わせてみると、大体投票する人の60%が女性で、40%が男性でした。こういうことは今までありませんでした。女性の投票参加が男性より多く、その女性の60%以上がヒラリーを支持しています。ただ、それは中年以上の女性で、若い女性はそんなにヒラリーを支持していません。

考えてみれば当然です。私には娘が2人いるのですが、2人とも仕事をしていて、「才能があって頑張れば男に負けない、同じチャンスがある」と思っています。今の若い女性たちは「女性に大統領になってもらわないと、女性の身分がよくならない」なんて考えもしないのです。

しかし40歳を過ぎているアメリカの女性は、いろいろな恨みを持っています。ビジネスで何かプロフェショナルになりたかったけれど、若いときにお父さんから「女なんか大学に行くもんじゃない」と言われたとか。そういうことを言うのは日本だけではないんです。アメリカのお父さんもよく言っていました。

そういう目に遭った女性は、大学に行きたかったのに行けなかったことをずっと恨んでいて、せめて自分の娘は大学に行かせて自分より自由な生活をでき るようにする。あるいは大学に行って仕事はしたけれど、結婚して仕事を辞めて主婦になった女性たちも、そうすることで人生に満足したいという気持ちを持つ。日米に共通するところがあるでしょう?そういう女性にとっては、女性が大統領になることに対しての期待が驚くほど高いのです。ですからデータではっきりしていますが、45歳以上の女性は圧倒的にヒラリーを支持しています。

オバマがどこまで女性の票をとれるか、これが大統領候補者になれるかどうかの大きなポイントです。最近、彼の支持者がだいぶ多くなっていますが、ただ、この選挙は非常に流動的なので、どうなるか分かりません。来週の火曜日(4月22日)のペンシルベニアでヒラリーが圧勝しなかったら、大体決まると思 います。(※編注:結果はヒラリーが約53%を獲得)ただ、彼女はやめないんですよ。どんなことがあっても、最後まで頑張りますね。

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