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『カタログからネットへの通販改革~「ベルメゾンネット」の成功にみる総合型ECサイト運営の鍵~』

BIZセミナーオンラインビジネス
更新日 : 2008年08月12日 (火)

第2章 デジタル化の課題と、ユーザーの進化への対応

中山茂さん

中山茂: 「インターネットはすごい技術だ!」とは思いましたが、回線環境は一画面を表示するのに30秒なら「すごく早い」と言われた時代です。主なユーザーは男性のマニアックな人たちで、世の中にはアナログデータしかない。しかも買い物のフローに参考になる案件が日本に全くありませんでした。

どうしたものかと考え、海外通販サイトなどを見ながら、「カートというものに一旦入れたあと、個人認証するんだな」「その前にはリストが要るんだな」というように一から構築していきました。そうして2000年に、オンラインショッピングサイトの『ベルメゾンネット』を本格オープンさせました。

このあと、アナログのデータをデジタルに変更しなければいけないという問題にぶつかりました。カタログ製作はほとんどアナログデータなのです。ただ、現社長が「これは将来のためにやらなければだめだ」ということで、かなり早い時期からアナログの印刷のフローをデジタルに変換する取り組みを始めることができました。

当初、アナログのカタログをスキャンするなどして、データベースを構築していたのですが、カタログの画像をそのまま使うことができませんでした。例 えば、Tシャツを10色展開していても、実際撮影しているのが3色だったら、色のキャプチャーをつけなければいけないなど。また、データベース上では別な ディレクトリに入っている商品でも、セットで売っているものは同じ画面でしっかり見せるなど、今でこそ当たり前なのですが、当時は関連商品を表示する仕組 みが非常に面倒でした。

その後、回線状況か向上し、特にADSLが普及した2003年のあたり、ぐんとスピードがアップして、直接女性にコンテンツをアピールし出してか ら、一気に売上と会員数が伸びました。2004年から2006年頃の変化が我々としては非常に大きかった。一番飛躍的だったのはユーザーの進化です。検索 エンジンやユーザー同士の情報交換から自分にとって有益な情報を見出すなど、インターネットをツールとしてどんどん使い出したのです。

カタログ時代はカタログ発刊数も企業の優位を決める大きな要因だったのですが、インターネットは完全にフラットな世界ですから、数の論理が利かな い。良質の情報でないとお客さまが反応しなくなりました。押しつけではだめで、お客さまにいかに引っ張っていってもらえるか、といった状況に変化したのが その頃です。

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