記事・レポート

日本発「無印良品」から世界の「MUJI」へ
~ケロッグ経営大学院 モーニングセッションより

地球規模で「消費の未来」を見通す

更新日 : 2015年10月14日 (水)

第4章 海外第1号店はロンドンに


 
海外展開の現状

鈴木啓: 以下はすべて2014年12月現在のお話となりますが、国内は408店舗、海外は25カ国・地域で295店舗を展開しています。同年3月末の段階から54増えており、その大半が海外店舗です。海外で最も多いのは中国の121店舗で、先日は四川省の成都に世界旗艦店となる「無印良品 成都遠洋太古里」もオープンしています。

北米ではニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコのほか、2013年末にはハリウッドの大型SCに米国旗艦店を出店しており、先日はカナダ・トロントでも同国第1号店をオープンしました。欧州では11カ国で61店舗、そのほかオーストラリアのメルボルン、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、UAE、クウェートなどにも展開しています。

また、有楽町店にある「Meal MUJI」のように、海外でも飲食事業を行っています。最初に出店した香港では、お酒を飲まずに食事をされる方が多い現地の食習慣とも合致し、大成功しています。成都店にも「Café & Meal MUJI」を出店しています。

このように、現在はグローバルに展開している無印良品ですが、その第一歩となったのが、1991年に出店したロンドン店です。当社が独立した企業となったのは1989年、その2年後には早くも海外第1号店を出していたわけです。

当時と現在では会社の規模はまったく異なります。しかし、先輩方は「独立会社となった以上、今後は海外でも活躍できる会社にならなければダメだ」という高い志を持ち、ノウハウやインフラもない中で出店に踏み切ったそうです。

実はロンドン出店の前年、パリで行われた日本関連のイベントの中で、現地の大手百貨店ギャラリー・ラファイエットに期間限定の店舗を出しました。それが非常に好評だったこと、さらに、青山の国内第1号店が海外の方々から高く評価されていたことも、1つのきっかけだったと思います。

先輩方に話を聞いたところ、当初からある程度の自信はあったそうです。ある方は「無印良品のコンセプトは、欧州の先進国のように一定水準以上に成熟したマーケットでは必ず理解される。そうした国では、ブランド志向よりも、個人の価値観でモノを購入する人が多いからだ」と話されていたのがとても印象的でした。

事実、当時の現地の新聞記事などを見ると、ロンドンの第1号店については、クリエイターの方々を中心に高い評価をいただくことができていたようです。このように当社は、会社を設立して間もない頃から海外に目を向けていました。



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日本発「無印良品」から世界の「MUJI」へ ~MUJIのグローバル展開に学ぶ~

鈴木 啓(株式会社 良品計画 取締役・執行役員/生活雑貨部長)8年半にわたる海外事業の第一線でのご経験を交えながら、良品計画のグローバル展開についてご紹介いただきます。


日本発「無印良品」から世界の「MUJI」へ
~ケロッグ経営大学院 モーニングセッションより
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