記事・レポート
“感動”を生む組織づくり
ディズニーに学ぶ、企業価値を高めるCS向上のヒント
BIZセミナー経営戦略キャリア・人ビジネススキル
更新日 : 2014年12月15日
(月)
第3章 CS成功企業の6つの要件
CSを向上させるサイクル
鎌田洋: 第1に、「理念・哲学を伝える」。社員はもちろん、パートやアルバイト、派遣されたコールセンターの担当者など、すべてのスタッフに企業の理念を伝えます。皆で理念を共有し、心をひとつにするのです。
第2に、「仕組みを整える」。想いが浸透するシステムを整えます。社内のあらゆるシステムを理念とリンクさせ、理念が深く浸透していくようにするのです。
たとえば、「食を通じて人を幸せにする」という理念を掲げる企業があるとします。安全・安心な食材を求めて、生産者のもとに直接出向き、自分たちの目で確認する。調理は工場ではなく、必ずお店で行い、鮮度を保つ。衛生管理も徹底する。そして、嘘偽りない商品を開発する。「なぜ、このプロセスが必要なのか?」と問われたとき、理念がその答えになるシステムをつくる。実現するには、時間も手間もコストもかかりますが、理念を浸透させる効果は非常に高いのです。効率よりも効果性を優先することを心にとめて、システムを作ることです。
第3に、仕組みをつくると、理念に共感し、具体的な行動に反映しようとする人が現れます。しかし、自分勝手に判断・行動されては困りますから、軸となるものが必要です。ディズニーには「SCSE」という行動規準があります。Safety(安全)、Courtesy(礼儀正しさ)、Show(ショー)、Efficiency(効率)。この順番は、そのまま優先順位を表しています。非常にシンプルです。
第4は、「プライドの喚起」。企業の理念と具体的な行動が一致するようになると、働く人々の中にプライドが芽生え始めます。私は、プライドが喚起される要件を考えてみました。
たとえば、ユニーク性や本物志向。「ウチの会社は他社とは違う。独特だし、本物感がある」と感じると、プライドが喚起されます。ディズニーランドのショップ名には必ずバックストーリーがあり、どのような想いが込められているのか、すべてのキャストに伝えられます。想いを理解すると、「自分は単なる販売スタッフではない。それ以上の何かを提供しているのだ」と、自分の仕事にこだわるようになり、ゲストに対しても誠実な対応ができるようになります。
第5が、「真のニーズを読み取る」。潜在的なウォンツを察知し、お客様の想像を超える提案をする。仕事に対するプライドが生まれると、一人ひとりが創意工夫するようになり、「もっとお客様の気持ちを知りたい!」と考えるようになります。丹念に追究していくと、真のニーズを察知できるようになる。しかし、ニーズをそのまま具現化するだけではダメです。お客様の期待を超える新しい価値として具現化し、提案してこそ、感動が生まれるのです。
そして、以上の5つのポイントも大切ですが、どれほど仕組みを整えても、個人がやる気を持たなければ、CS向上はなかなか難しい。
第6の「主体性の喚起」はとても重要です。優れた企業の特徴は、従業員に積極的な提案を促し、それを実現できる仕組み、評価する仕組みがある。こうした組織文化があれば、個々人が精神的に自立し、主体性を発揮するようになります。ちなみに、ディズニーには「I have アイデア」という誰でも提案できる制度があり、いまや大人気となったキャラクターのポップコーンケースも、ここから生まれています。
たとえば、ユニーク性や本物志向。「ウチの会社は他社とは違う。独特だし、本物感がある」と感じると、プライドが喚起されます。ディズニーランドのショップ名には必ずバックストーリーがあり、どのような想いが込められているのか、すべてのキャストに伝えられます。想いを理解すると、「自分は単なる販売スタッフではない。それ以上の何かを提供しているのだ」と、自分の仕事にこだわるようになり、ゲストに対しても誠実な対応ができるようになります。
第5が、「真のニーズを読み取る」。潜在的なウォンツを察知し、お客様の想像を超える提案をする。仕事に対するプライドが生まれると、一人ひとりが創意工夫するようになり、「もっとお客様の気持ちを知りたい!」と考えるようになります。丹念に追究していくと、真のニーズを察知できるようになる。しかし、ニーズをそのまま具現化するだけではダメです。お客様の期待を超える新しい価値として具現化し、提案してこそ、感動が生まれるのです。
そして、以上の5つのポイントも大切ですが、どれほど仕組みを整えても、個人がやる気を持たなければ、CS向上はなかなか難しい。
第6の「主体性の喚起」はとても重要です。優れた企業の特徴は、従業員に積極的な提案を促し、それを実現できる仕組み、評価する仕組みがある。こうした組織文化があれば、個々人が精神的に自立し、主体性を発揮するようになります。ちなみに、ディズニーには「I have アイデア」という誰でも提案できる制度があり、いまや大人気となったキャラクターのポップコーンケースも、ここから生まれています。
“感動”を生む組織づくり
インデックス
-
第1章 すべては“そうじ”からはじまった
2014年12月03日 (水)
-
第2章 顧客に深い満足を提供する
2014年12月10日 (水)
-
第3章 CS成功企業の6つの要件
2014年12月15日 (月)
-
第4章 「ありがとう」と言われて嬉しいのは誰か?
2014年12月17日 (水)
該当講座
鎌田洋 (株式会社ヴィジョナリー・ジャパン 代表取締役)
鎌田 洋(ヴィジョナリー・ジャパン代表取締役)
成熟市場の中でも成長を続けるディズニー。驚異のリピート率の要因は?オリエンタルランドで全部門キャストの指導育成に携わり、顧客との関わりを追求してきた鎌田氏。ディズニーでの経験から、顧客満足(CS)向上のために欠かせない6つの要素と、企業の使命を再確認することの重要性や、ビジョンを理解し行動レベルに落としこむ現場リーダーの育成ポイントをお話いただきます。
BIZセミナー
経営戦略 キャリア・人 ビジネススキル
注目の記事
-
03月26日 (火) 更新
動的書房 ~生物学者・福岡伸一の書棚
目利きの読み手でもある生物学者の福岡伸一による、六本木ヒルズライブラリーのための選書書棚「動的書房」。2024年3月に新たに21冊が並びまし....
-
03月26日 (火) 更新
本には、人生を変え、時代を創るパワーがある!
2023年4月から2024年2月まで全6回で開催したシリーズ「編集者の視点〜時代を共に創る〜」。モデレーターの干場弓子さんと何度も企画会....
シリーズ編集者の視点〜時代を共に創る〜 <編集後記>
-
03月26日 (火) 更新
【重要】「アカデミーヒルズ」閉館のお知らせ
「アカデミーヒルズ」は、2024年6月30日をもって閉館させていただくこととなりました。これまでのご利用ありがとうございました。閉館までの間....
現在募集中のイベント
-
開催日 : 04月09日 (火) 12:00~12:45 / 04月09日 (火) 19:00~19:45
ゆる~くつながろう!メンバー雑談
テーマなし!年齢制限なし!ライブラリーメンバーなら誰でも参加できる雑談イベントです。肩の力を抜いて楽しく、そしてリラックスした45分を過ごし....
-
開催日 : 04月19日 (金) 19:00~20:30
地図・絵画・日記が語る
江戸時代は厳格な身分制社会の一方で、身分や職業を超えた文化交流の場が形成され、技術と文化の発展を促しました。その中で「浮世絵」は情報メディア....
江戸の「街づくり」「モノづくり」の遺伝子
-
開催日 : 05月02日 (木) 見学ツアー11:00〜12:00/オルガン・プレコンサート13:40~/コンサート14:00〜16:00頃
【メンバー対象イベント】日本フィル&サントリーホール
平日2時のクラシックコンサート「にじクラ~トークと笑顔と、音楽と」のリハーサルを体験しませんか?俳優・高橋克典さんがナビゲーターとなり、上質....
「にじクラ」リハーサル見学・ロビーツアー&昼公演鑑賞