記事・レポート
これからの時代に求められる学びのスタイル:茂木健一郎×波頭亮
私塾がコモディティ化しない人材をつくる
グローバルキャリア・人ビジネススキル政治・経済・国際
更新日 : 2012年11月16日
(金)
第5章 日本の学生と社会人に欠けているのは「努力の総量」
波頭亮: 茂木さんが皆さんの心を熱くブーストしてくださったので、私はコンサルタントらしく、「何をやらなければいけないのか」という話をしようと思います。
構造的な問題を短期間で解決するのは難しいので、一人ひとりが突き抜けていくしかありません。だから「どうやったら突き抜けられるか?」という話になるのですが、実は既に10年ぐらい前から、こうした相談を学生さんや、若手のビジネスマンや、ベンチャー企業の方から受けてアドバイスしています。でも、アドバイスしても、みんなやらないんです。
例えば、就職活動。今、学生さんが何百社にもエントリーシートを出して、何百社も受けていますよね。それが自分の望む就職につながる合理的な行為かというと、そんなわけがありません。何百枚もエントリーシートを書く暇があったら、20冊でも30冊でもいいから、きちんとした本を読むほうが合理的です。
僕は学生によく言うんです。「3カ月間で、学術書やハードカバーじゃなくていいから、新書でいいから100冊読みなさい。その100冊のタイトルと著者名を頑張って暗記しなさい。それが辛かったら、100冊読んだうちの30冊でいいからタイトルと著者名を覚えて、そのうちの5冊でも3冊でもいいから、内容を語ってコメントできるようにしておきなさい。そうすれば、今あなたが目指しているところより、ずっといい企業に入れるから」と。
でも、誰もやらないんです。みんなおそらく、僕の話を聞いたらキーワードがわかって、そのキーワードをパスワードとして打ちこんだら、オートマティカリーに就活で合格できる、なんて思っているのでしょう。
学生さんに限らず、ビジネスマンも含めて、今の日本の若い人は、努力の総量が足りません。いくら方法を教えてあげても、努力しなければ意味がありません。野球だって、ゴルフだって、練習でせめて1,000発とか3,000発とか打たないと上手くならないのに、「教わった通り10発打ったんですけれど、なかなか上手くならないんです」と言っているようなものです。
こういう定性的な話だけでは気持ちが熱くならないだろうと思ったので、データを探してきました。見つかったのは、雑誌のインタビュー記事や教育調査の一部ですので、あまり科学的なデータではないのですが、ざっくり言うと、アフタースクールの勉強時間数は、日本の大学生が平均1.5時間なのに対して、アメリカは7.5時間。日本の大学生は4年間で100冊しか本を読んでいませんが、アメリカの大学生は学術書だけで400冊読むそうです。これがハーバードやイエールなどのトップスクールになると1,000冊。日本の10倍です。
構造的な問題を短期間で解決するのは難しいので、一人ひとりが突き抜けていくしかありません。だから「どうやったら突き抜けられるか?」という話になるのですが、実は既に10年ぐらい前から、こうした相談を学生さんや、若手のビジネスマンや、ベンチャー企業の方から受けてアドバイスしています。でも、アドバイスしても、みんなやらないんです。
例えば、就職活動。今、学生さんが何百社にもエントリーシートを出して、何百社も受けていますよね。それが自分の望む就職につながる合理的な行為かというと、そんなわけがありません。何百枚もエントリーシートを書く暇があったら、20冊でも30冊でもいいから、きちんとした本を読むほうが合理的です。
僕は学生によく言うんです。「3カ月間で、学術書やハードカバーじゃなくていいから、新書でいいから100冊読みなさい。その100冊のタイトルと著者名を頑張って暗記しなさい。それが辛かったら、100冊読んだうちの30冊でいいからタイトルと著者名を覚えて、そのうちの5冊でも3冊でもいいから、内容を語ってコメントできるようにしておきなさい。そうすれば、今あなたが目指しているところより、ずっといい企業に入れるから」と。
でも、誰もやらないんです。みんなおそらく、僕の話を聞いたらキーワードがわかって、そのキーワードをパスワードとして打ちこんだら、オートマティカリーに就活で合格できる、なんて思っているのでしょう。
学生さんに限らず、ビジネスマンも含めて、今の日本の若い人は、努力の総量が足りません。いくら方法を教えてあげても、努力しなければ意味がありません。野球だって、ゴルフだって、練習でせめて1,000発とか3,000発とか打たないと上手くならないのに、「教わった通り10発打ったんですけれど、なかなか上手くならないんです」と言っているようなものです。
こういう定性的な話だけでは気持ちが熱くならないだろうと思ったので、データを探してきました。見つかったのは、雑誌のインタビュー記事や教育調査の一部ですので、あまり科学的なデータではないのですが、ざっくり言うと、アフタースクールの勉強時間数は、日本の大学生が平均1.5時間なのに対して、アメリカは7.5時間。日本の大学生は4年間で100冊しか本を読んでいませんが、アメリカの大学生は学術書だけで400冊読むそうです。これがハーバードやイエールなどのトップスクールになると1,000冊。日本の10倍です。
関連書籍
突き抜ける人材
波頭亮, 茂木健一郎PHP研究所
関連リンク
これからの時代に求められる学びのスタイル:茂木健一郎×波頭亮
インデックス
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第1章 「私塾」は人材の陳腐化に対する自衛手段
2012年11月09日 (金)
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第2章 タコツボ化した日本の学問にグローバル・アジェンダは解けない
2012年11月12日 (月)
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第3章 なぜ日本から世界的なネットベンチャーが誕生しないのか?
2012年11月13日 (火)
-
第4章 生徒のやる気を出させる「適塾」システムのすすめ
2012年11月15日 (木)
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第5章 日本の学生と社会人に欠けているのは「努力の総量」
2012年11月16日 (金)
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第6章 傑出した能力を育てるポイントは、累積の努力の量とその中身
2012年11月19日 (月)
-
第7章 1,000時間、正しい努力をすればレベルアップできる
2012年11月20日 (火)
-
第8章 世の中の問題に文系・理系の線引きはない
2012年11月22日 (木)
該当講座
私塾がコモディティ化しない人材をつくる
~これからの時代に求められる学びのスタイル~
茂木 健一郎(脳科学者)
波頭 亮(経営コンサルタント)
いま求められるコモディティ化しない人材を育成するためには、これまでの標準的な人材を生んできた教育システムでは限界があります。本セミナーでは、「今までのやり方と古い常識にとらわれずに自分で考え、自分で行動することができる」人材を育てる一つの試みとして、私塾の可能性に注目します。新しい時代に即した私塾とは?茂木氏と波頭氏が議論します。
グローバル・アジェンダ
政治・経済・国際 キャリア・人 ビジネススキル
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