記事・レポート
フリー、シェア、ソーシャルを活用して企業が成功するポイント
メディア化する企業はなぜ強いのか? 小林弘人氏が解説します
BIZセミナーオンラインビジネス
更新日 : 2012年07月30日
(月)
第7章 やってはいけない「冷やし中華マーケティング」
神原弥奈子: プラットフォームやインフラにかけるお金は、紙メディアに比べて格段に安くなりましたよね。でも、きょうのお話にもあったように、どんなコンテンツをつくればいいかというのは、今も企業にとって悩ましい問題だと思います。このギャップをどう埋めればいいのでしょうか。
『マーケティングとPRの実践ネット戦略』の著者、デビッド・ミーアマン・スコットは、衰退している出版社から編集者を雇えばいいと言っています。私もプロの編集者が必要だと思うのですが、小林さんはどうお考えですか?
小林弘人: 答えはイエスでもあり、ノーでもあります。余力があれば、プロを雇うのは重要です。しかし『エンパワード ソーシャルメディアを最大活用する組織体制』という本で紹介されたHERO社員(Highly Empowered and Resourceful Operatives=大きな力を与えられ、臨機応変に行動できる従業員)を企業がどう支援するかにかかっていると私は思います。
前田建設工業で「前田建設ファンタジー営業部」をつくったようなユニークな社員は、本当はどの会社にも探せばいるはずです。そういう人をまずは活用して、それでダメだったらプロの編集者を雇うというのもありだと思います。
神原弥奈子: そういう社員を見つけ出すポイントはありますか?
小林弘人: そこでもソーシャルメディアが活かせます。実は、社内ソーシャルメディアとしてFacebookを導入している企業がいっぱいあって、「社内にこんなにおもしろいやつがいたんだ」みたいな発見がなされているんです。それによってプロジェクトが立ち上がった例もあります。
神原弥奈子: そういうプロセスを経て、社内にコンテンツクリエイターを発見できたとしても、その社員にコンテンツを任せるというのは、企業の意思決定として勇気が要ることですよね。
小林弘人: リスクを小さくするなら、最初はイントラでやればいいと思います。ネット上にBarCamp(バーキャンプ)という、誰でもテーマを設けられる、いわばフリーのカンファレンスがあります。TwitterやUSTREAMで内容を可視化するという約束だけ守れば、誰でもBarCampの名前でカンファレンスを主催できます。このBarCampのようなものをイントラでやり、プロジェクトまではいかない放課後の勉強会を勝手にやらせればいいんです。そのとき周りは「何をやっているんだ、お前たちは!」とは言わないことです。
僕が知っている限り、成功しているプロジェクトというのは、HERO社員が勝手に始めてすごいPV数を稼ぐようになって、後から会社として仕方なく認めました、みたいな感じが多いんです。逆に言うと、そこに行くまでに会社がオーソライズしなかったり、社内の嫉妬にあったりして、孤立しているケースが散見されます。そうした動きにHERO社員が負けないように、組織としてエンパワーして活力を与えてあげることができるかどうかがカギになりますね。
それから、失敗しても怒らないこと。小さな失敗は、逆に重ねさせたほうがいいんです。「炎上しているじゃないか。お前、もう出世はないな」とか「KPIをクリアできなかったから、お前、クビ」みたいなことになるのなら、誰もやりません。小さなことからトライさせて、失敗を知見として貯めることです。ウェブはプロセス文化、ベータ版カルチャーですから、「バグをみつけてください、どこにバグがあるか教えてください。直します」みたいな感じでやっていったほうがいい。長い目で見る必要があります。
神原弥奈子: 四半期ごとの広告キャンペーンのような考え方ではなく、ネットでオープンにユーザーと一緒につくっていくということは、長期的にやる必要が確かにありますよね。それなのに「うまくいかなかったから、やめます」という例もまだまだ見られます。
小林弘人: ソーシャルメディアの基本は対話です。Twitterが流行っているから「Twitter始めました」とやるのは、冷やし中華マーケティングです。夏になると「冷やし中華始めました」、冬になると「終わりました」なんて対話ではあり得ませんよね。対話なんだから「始める」とか「終わる」じゃなくて、対話し続ければいいんです。
『マーケティングとPRの実践ネット戦略』の著者、デビッド・ミーアマン・スコットは、衰退している出版社から編集者を雇えばいいと言っています。私もプロの編集者が必要だと思うのですが、小林さんはどうお考えですか?
小林弘人: 答えはイエスでもあり、ノーでもあります。余力があれば、プロを雇うのは重要です。しかし『エンパワード ソーシャルメディアを最大活用する組織体制』という本で紹介されたHERO社員(Highly Empowered and Resourceful Operatives=大きな力を与えられ、臨機応変に行動できる従業員)を企業がどう支援するかにかかっていると私は思います。
前田建設工業で「前田建設ファンタジー営業部」をつくったようなユニークな社員は、本当はどの会社にも探せばいるはずです。そういう人をまずは活用して、それでダメだったらプロの編集者を雇うというのもありだと思います。
神原弥奈子: そういう社員を見つけ出すポイントはありますか?
小林弘人: そこでもソーシャルメディアが活かせます。実は、社内ソーシャルメディアとしてFacebookを導入している企業がいっぱいあって、「社内にこんなにおもしろいやつがいたんだ」みたいな発見がなされているんです。それによってプロジェクトが立ち上がった例もあります。
神原弥奈子: そういうプロセスを経て、社内にコンテンツクリエイターを発見できたとしても、その社員にコンテンツを任せるというのは、企業の意思決定として勇気が要ることですよね。
小林弘人: リスクを小さくするなら、最初はイントラでやればいいと思います。ネット上にBarCamp(バーキャンプ)という、誰でもテーマを設けられる、いわばフリーのカンファレンスがあります。TwitterやUSTREAMで内容を可視化するという約束だけ守れば、誰でもBarCampの名前でカンファレンスを主催できます。このBarCampのようなものをイントラでやり、プロジェクトまではいかない放課後の勉強会を勝手にやらせればいいんです。そのとき周りは「何をやっているんだ、お前たちは!」とは言わないことです。
僕が知っている限り、成功しているプロジェクトというのは、HERO社員が勝手に始めてすごいPV数を稼ぐようになって、後から会社として仕方なく認めました、みたいな感じが多いんです。逆に言うと、そこに行くまでに会社がオーソライズしなかったり、社内の嫉妬にあったりして、孤立しているケースが散見されます。そうした動きにHERO社員が負けないように、組織としてエンパワーして活力を与えてあげることができるかどうかがカギになりますね。
それから、失敗しても怒らないこと。小さな失敗は、逆に重ねさせたほうがいいんです。「炎上しているじゃないか。お前、もう出世はないな」とか「KPIをクリアできなかったから、お前、クビ」みたいなことになるのなら、誰もやりません。小さなことからトライさせて、失敗を知見として貯めることです。ウェブはプロセス文化、ベータ版カルチャーですから、「バグをみつけてください、どこにバグがあるか教えてください。直します」みたいな感じでやっていったほうがいい。長い目で見る必要があります。
神原弥奈子: 四半期ごとの広告キャンペーンのような考え方ではなく、ネットでオープンにユーザーと一緒につくっていくということは、長期的にやる必要が確かにありますよね。それなのに「うまくいかなかったから、やめます」という例もまだまだ見られます。
小林弘人: ソーシャルメディアの基本は対話です。Twitterが流行っているから「Twitter始めました」とやるのは、冷やし中華マーケティングです。夏になると「冷やし中華始めました」、冬になると「終わりました」なんて対話ではあり得ませんよね。対話なんだから「始める」とか「終わる」じゃなくて、対話し続ければいいんです。
関連書籍
メディア化する企業はなぜ強いのか?—フリー、シェア、ソーシャルで利益をあげる新常識
小林弘人技術評論社
フリー、シェア、ソーシャルを活用して企業が成功するポイント インデックス
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第1章 オウンド・メディアを軸に、トリプルメディアを攻略せよ
2012年07月19日 (木)
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第2章 メディア化の目的は、お客さんにファンになってもらうこと
2012年07月20日 (金)
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第3章 メディアをつくる=コミュニティをつくる
2012年07月23日 (月)
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第4章 ユーザーにどんな情報を提供すればいいのか?
2012年07月24日 (火)
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第5章 メディア化のテクニック
2012年07月26日 (木)
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第6章 メディア化の上級編はオープン・イノベーション
2012年07月27日 (金)
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第7章 やってはいけない「冷やし中華マーケティング」
2012年07月30日 (月)
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第8章 メディアの解釈をちょっと変えるだけで、可能性は無限に広がる
2012年07月31日 (火)
該当講座
メディア化する企業はなぜ強いのか?
~小林弘人氏に聞く、フリー、シェア、ソーシャルを活用して企業が成功するポイント~
小林弘人(インフォバーン代表取締役CEO)
「ワイアード」「サイゾー」などの紙媒体、「ギズモード」などのネットメディアの両方を手がけてきた、出版業界からインターネット業界にまたぐオピニオンリーダー、小林氏をゲストにお迎えします。
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