記事・レポート

「キュレーター」がメディアとビジネスとイノベーションを変える

田中洋×津田大介×勝見明に学ぶ、キュレーション術

BIZセミナーマーケティング・PR教養
更新日 : 2012年05月21日 (月)

第1章 コンテンツからキュレーションの時代へ

キュレーターといってもアートの話ではありません。コンテンツがあふれる今、情報を収集・選別・編集して意味を与える「キュレーター」の役割が注目されています。メディアはもちろん、マーケティングや商品開発、さらにはイノベーションにも有効なキュレーションの概念から方法まで、各分野で活躍する3人が解説します。

講師:田中 洋(中央大学大学院ビジネススクール教授)
講師:津田大介(ジャーナリスト、メディア・アクティビスト)
講師:勝見 明(ジャーナリスト)


田中洋氏

田中洋: きょうのセミナーは、私が監訳した『キュレーション』(プレジデント社)という本がベースになりますが、勝見明さんもキュレーションの本を出されていますし、津田大介さんはキュレーターのような活動をされています。ですので、異種格闘技のようなエキサイティングな議論を展開したいと思います。

『キュレーション』は未来のメディア社会を読むための本です。「ネットで今、起きていることは?」と聞かれれば、SNSやTwitterやFacebookを思い浮かべると思いますが、これらは確かにネットメディアのメインストリームではありますが、全てではありません。この本はそのことに気づかせてくれます。また、こうした今を読むことで、近い将来が見えてくるのです。

著者のスティーブン・ローゼンバウムは「Contents is no longer king, curation is king.(これまではコンテンツが大事だと言われていたが、これからはキュレーションに取って代わられる)」と書いています。また、ソーシャルメディアを活用したPRで有名なブライアン・ソリスは、自身のブログに「情報コマースは3つのC——クリエイションとキュレーションとコンサンプション——が組み合わさってこそ上手くいくのだが、今はキュレーションの果たす役割が非常に大きくなっている」と書いています。

では、キュレーションとは何でしょうか? ひと言で言うと、情報やコンテンツを「収集」「選別」「編集」「共有」することです。まずは情報を集め、その情報を特定のコンテキストや視点を基準に取捨選択し、重要度に従って並べ、最終的にはみんなでシェアする。この一連の流れがキュレーションです。

機械で情報を集めて羅列するサイトもありますが、著者のローゼンバウムは、あくまでも人間が情報を選別・編集しないとダメだと主張しています。キュレーションは単なるコピペとは違います。情報コマースの中で非常に大きな役割を果たしていて、実は我々の多くの仕事がキュレーションになっているのです。

Clip to Evernote

関連書籍

キュレーション 収集し、選別し、編集し、共有する技術

スティーブン・ローゼンバウム【著】田中洋【監訳・解説】野田牧人【訳】
プレジデント社


該当講座

「キュレーター」がメディア、マーケティング、イノベーションの未来を変える
田中洋 (中央大学大学院ビジネススクール 教授 )
勝見明 (ジャーナリスト)
津田大介 (ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)

田中 洋(中央大学ビジネススクール教授)
勝見 明(ジャーナリスト)
津田 大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)
コンテンツ不足の時代からコンテンツ過剰の時代にシフトしている世界で、情報の海のなかから収集し、選別し、編集し、「意味」を与える「キュレーター」が注目されています。本講座では、新しい概念である「キュレーション」について考察します。


BIZセミナー マーケティング・PR 教養