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今だからできる失われた20年からの大転換

~日本のGDPを3%上げる、企業と人を成長させる新しい発想~

経営戦略キャリア・人マーケティング・PRオンラインビジネス
更新日 : 2012年01月26日 (木)

第2章 絶好調な企業は「情報のプラットフォーム」を構築している

石黒不二代氏

石黒不二代: かつて日本が輝かしきころは、大量生産、大量消費、マスマーケティングの時代でした。隣の家がテレビを買えば、わが家も欲しい。街を見ればみんながSHIPSやUCLAのトレーナーを着ているという、今からではちょっと考えられないような、ものすごい時代、変な時代でしたね。当時の消費者は、と言えば、誰もが受け身で均一、みんな同じ物を欲しがっていました。だから、この時代には、大量のものを生産できるハブ、つまり、大きい工場を持っている生産者が強かったのです。コミュニケーションツールも、たくさんの人に一斉に同じことを叫ぶことができるテレビや新聞が最強のツールでした。

しかし今、世の中は非常に変わってきています。総務省のデータによれば、1996年から2006年の10年間で、情報の提供量は530倍になりました。1996年というのはインターネットが商用化されて少し経ったころです。その一方で、情報の消費量は65倍程度です。情報を消費するというのは、例えばテレビCMを見た次の日、商品名を覚えていたということです。なぜ情報の提供量と消費量でこんなに差があるのかというと、人間の能力には限界がって、すべての情報に通じることはできないし、どれだけたくさん提供されても覚えていることはできないからです。

1996年の情報消費量は6.6%でした。これはつまり、新しい商品を出したら15人中1人がその名前を覚えてくれていたということです。これが10年後の2006年には0.8%、125人中1人にまで落ちています。これは広告主や企業にとって、大変なバッドニュースです。

消費者も非常に変わりました。今は誰かと同じ服を着たいという人はいないでしょうし、好きなものがすごくはっきりしていて、多様で多嗜好です。こうなると大きな生産装置を持っているところは、もう強くありません。昔は鉄道や飛行機など、たくさん物を運べるものが強かったけれど、今は行き先が全部違うので自動車のほうが輸送手段として優れているのと一緒です。

しかも消費者は能動的になりました。情報を受け身で得るだけではなく、消費者同士、生活者同士でインターネット上で話をするようになったのです。昔から口コミというのはありましたが、そんなに広まるものではありませんでした。しかしインターネットは伝播力が非常に強いという特性があるので、この口コミは一気に広まります。

生産者にとってはバッドニュースばかりのように聞こえるかもしれませんが、グッドニュースもあります。インターネットは双方向性があるので、サイトのつくり方によっては生産者に消費者の声が返ってきます。声を返してくれる消費者がいるわけですから「双方向性のある何か」を持てば、生産者は強くなれるのです。

これが儲かっているプラットフォーマーがやっていることです。これを「情報のプラットフォーム」と呼ぶことにしましょう。では、情報のプラットフォームで大切なことは何でしょうか?

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石黒不二代 (ネットイヤーグループ株式会社 代表取締役社長兼CEO)

石黒 不二代(ネットイヤーグループCEO)
インターネットの普及でグローバル化が進み、更にビジネス環境の変化が激しくなった時代に、日本企業と個人にとっていま求められる経営戦略と教育、そしてマインドセットとは何か?いま最も元気な女性起業家の一人といわれる石黒氏に伺います。


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