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橘・フクシマ・咲江氏が語る、グローバル人財獲得競争・最前線

~ヘッドハンター第一人者に聞く、世界で必要とされる人財~

アカデミーヒルズセミナー政治・経済・国際キャリア・人
更新日 : 2011年11月18日 (金)

第4章 グローバル・リーダーの要件とは?

橘・フクシマ・咲江氏

橘・フクシマ・咲江: グローバル・リーダーの要件は大括りにすると、3つです。1つ目は「グローバルに国境を越えて活躍できる人財」であることです。これは物理的に外に出て行くだけではなく、マインドセット的に国境を感じないことも意味します。

2つ目は「特定の組織に属さない汎用性の高いプロフェッショナル・スキルを持つ起業家的人財」であることです。日本のようにずっと1社で仕事をした方は、その会社では非常に仕事ができても、ほかの会社に移ったら必ずしもそうではない場合があります。ずっと同じ会社にいると、何か問題が発生したとき「これはAさんに聞けばわかる」「これはBさんに聞けばわかる」ということがあります。これは決して悪いことではありませんが、ほかの組織に移ると、以前のようにAさんやBさんのような答えを提供してくれる人脈がないので問題を解決できないケースがあるのです。

「起業家的」であることが求められる理由は、日本では有名な企業でもグローバルでは全く知られていない企業もありますので、一起業家として腕まくりして行動する必要があるからです。例えば海外に行って部下がいないだけでなく、まずオフィスを開かなければいけない。電話もファクスも自分で入れなきゃいけない。インフラが何もないところでも仕事ができないといけないのです。

3つ目は「変革のための創造的問題解決能力を持つ人財」であることです。今“想定外”という言葉が流行っていますが、経営者に想定外は通用しません。前例のない問題に遭遇したとき、一からその問題を考えて創造的に解決できる能力を持った人でなければいけません。

この3つを総合すると「グローバルなプロフェッショナルのチェンジ・エージェント(変革者)」となります。ここで言う「プロフェッショナル」とは、専門的スキルとマネジメント力の両方を持つ人財のことです。財務でも人事でもマーケティングでも何でもいいので「この領域は誰にも負けない」というコアスキルを持ちながら、戦略性や全体を見ることができ、社長の視点から物事を解決できる人のことです。

なぜ変革者でなければいけないかというと、企業は発展段階によって必要とされるリーダーシップの要件が変化します。創業期は起業家が必要で、一定の規模になると管理者が必要になります。しかし、企業は安定すると成長しなくなるケースが多いので、変革者が必要になります。日本では「大企業病、官僚組織になった」と表現されますが、まさにそのステージになったときに必要なのが変革者なのです。変革者とは、起業家と管理者の両方のスキルを持った、日産のカルロス・ゴーンさんのような方です。

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橘・フクシマ・咲江 (G&S Global Advisors Inc. 代表取締役社長)

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