記事・レポート
橘・フクシマ・咲江氏が語る、グローバル人財獲得競争・最前線
~ヘッドハンター第一人者に聞く、世界で必要とされる人財~
アカデミーヒルズセミナー政治・経済・国際キャリア・人
更新日 : 2011年11月17日
(木)
第3章 日本にはグローバルな人財が決定的に不足している
橘・フクシマ・咲江: 2008年の経済同友会の企業白書「新・日本流経営の創造」によると、グローバル化を推進するうえでの課題として「人財の確保・育成」という回答が最も多くなっています。にもかかわらず、同じ経済同友会が2008年と2010年に実施した採用調査結果では、新卒採用に関して6~7割の企業が「海外留学の経歴は選考の際の評価に影響しない」と回答しています。「グローバルな人財がいない」と言っている割には、アクションをとっていなかったのです。
ところがここ1、2年で急速に「5割は外国籍の新卒を採用する」とか「社内の公用語を英語にする」といった動きが出てきました。なぜかというと「日本の競争力の低下」と「ガラパゴス化」が深刻になってきたからです。
競争力については、スイスのIMDというビジネススクールが毎年発表している「国際競争力ランキング」があります。日本は90年代前半にはトップでしたが、2007年には24位にまで落ちました。その後一旦は多少回復しましたが、2010年は26位。このとき中国は18位、シンガポールと香港はアメリカを追い抜いて1位、2位になっています。日本以外のアジアの国々が急速に伸びてきているのです。
日本のガラパゴス化については、アメリカにおける日本人留学生の数が減り続けていることは、皆さんもよくご存じかと思います。若者が内向きになっているのです。それに加えて、日本はTOEFLのスコアがアジアの主要国の中で最低になっています。世界第3位の経済大国でアジアの主要国であるにも関わらず、英語力が最下位なのです。
私は91年にコーン・フェリーに入社して以来ずっと「日本のグローバル人財の不足」に悩まされ続けてきました。かつては「人財は企業の資産であり、市場価値がある」ということを理解してもらえませんでした。2000年に『売れる人材』という本を出したのですが、当時は「人が売れるって、どういう意味ですか?」と聞かれたものです。
今は日本企業もサーチ・ファームを使って人財を探すようになりましたが、需要と供給にミスマッチがあります。企業がグローバル・リーダーとして「変革者的人財」を求めているのに対して、残念ながら候補者の方たちは「管理者的人財」であることが多いのです。
ところがここ1、2年で急速に「5割は外国籍の新卒を採用する」とか「社内の公用語を英語にする」といった動きが出てきました。なぜかというと「日本の競争力の低下」と「ガラパゴス化」が深刻になってきたからです。
競争力については、スイスのIMDというビジネススクールが毎年発表している「国際競争力ランキング」があります。日本は90年代前半にはトップでしたが、2007年には24位にまで落ちました。その後一旦は多少回復しましたが、2010年は26位。このとき中国は18位、シンガポールと香港はアメリカを追い抜いて1位、2位になっています。日本以外のアジアの国々が急速に伸びてきているのです。
日本のガラパゴス化については、アメリカにおける日本人留学生の数が減り続けていることは、皆さんもよくご存じかと思います。若者が内向きになっているのです。それに加えて、日本はTOEFLのスコアがアジアの主要国の中で最低になっています。世界第3位の経済大国でアジアの主要国であるにも関わらず、英語力が最下位なのです。
私は91年にコーン・フェリーに入社して以来ずっと「日本のグローバル人財の不足」に悩まされ続けてきました。かつては「人財は企業の資産であり、市場価値がある」ということを理解してもらえませんでした。2000年に『売れる人材』という本を出したのですが、当時は「人が売れるって、どういう意味ですか?」と聞かれたものです。
今は日本企業もサーチ・ファームを使って人財を探すようになりましたが、需要と供給にミスマッチがあります。企業がグローバル・リーダーとして「変革者的人財」を求めているのに対して、残念ながら候補者の方たちは「管理者的人財」であることが多いのです。
橘・フクシマ・咲江氏が語る、グローバル人財獲得競争・最前線 インデックス
-
第1章 チャレンジがキャリアを育てる
2011年11月14日 (月)
-
第2章 BRICsの台頭で、グローバルな人財市場は大きく変化した
2011年11月15日 (火)
-
第3章 日本にはグローバルな人財が決定的に不足している
2011年11月17日 (木)
-
第4章 グローバル・リーダーの要件とは?
2011年11月18日 (金)
-
第5章 グローバルなプロフェッショナルの変革者の要件とは?
2011年11月21日 (月)
-
第6章 グローバル・リーダーになるには
2011年11月22日 (火)
-
第7章 実際に成功したエグゼクティブの共通点
2011年11月24日 (木)
-
第8章 必要なのは「外柔内剛」
2011年11月25日 (金)
該当講座
academyhills + Hills Life presents 知の人、知の時間
グローバル人財獲得競争・最前線 ~ヘッドハンター第一人者に聞く、世界で必要とされる人財~
橘・フクシマ・咲江 (G&S Global Advisors Inc. 代表取締役社長)
橘・フクシマ・咲江(G&S Global Advisors Inc.代表取締役社長)
本セミナーでは日本のヘッドハンター第一人者として世界的に知られている、橘・フクシマ・咲江氏をお招きします。世界の人材市場のいまについて、そしてグローバルな視点から日本の人財開発・日本人のキャリア形成に必要なことをお話いただきます。
アカデミーヒルズセミナー
政治・経済・国際 キャリア・人
注目の記事
-
03月26日 (火) 更新
動的書房 ~生物学者・福岡伸一の書棚
目利きの読み手でもある生物学者の福岡伸一による、六本木ヒルズライブラリーのための選書書棚「動的書房」。2024年3月に新たに21冊が並びまし....
-
03月26日 (火) 更新
本には、人生を変え、時代を創るパワーがある!
2023年4月から2024年2月まで全6回で開催したシリーズ「編集者の視点〜時代を共に創る〜」。モデレーターの干場弓子さんと何度も企画会....
シリーズ編集者の視点〜時代を共に創る〜 <編集後記>
-
03月26日 (火) 更新
【重要】「アカデミーヒルズ」閉館のお知らせ
「アカデミーヒルズ」は、2024年6月30日をもって閉館させていただくこととなりました。これまでのご利用ありがとうございました。閉館までの間....
現在募集中のイベント
-
開催日 : 04月09日 (火) 12:00~12:45 / 04月09日 (火) 19:00~19:45
ゆる~くつながろう!メンバー雑談
テーマなし!年齢制限なし!ライブラリーメンバーなら誰でも参加できる雑談イベントです。肩の力を抜いて楽しく、そしてリラックスした45分を過ごし....
-
開催日 : 04月19日 (金) 19:00~20:30
地図・絵画・日記が語る
江戸時代は厳格な身分制社会の一方で、身分や職業を超えた文化交流の場が形成され、技術と文化の発展を促しました。その中で「浮世絵」は情報メディア....
江戸の「街づくり」「モノづくり」の遺伝子
-
開催日 : 05月02日 (木) 見学ツアー11:00〜12:00/オルガン・プレコンサート13:40~/コンサート14:00〜16:00頃
【メンバー対象イベント】日本フィル&サントリーホール
平日2時のクラシックコンサート「にじクラ~トークと笑顔と、音楽と」のリハーサルを体験しませんか?俳優・高橋克典さんがナビゲーターとなり、上質....
「にじクラ」リハーサル見学・ロビーツアー&昼公演鑑賞