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世界経済を支える東アジア経済圏の成長

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更新日 : 2010年06月08日 (火)

第4章 日本社会がアジアと伍していくには、言葉の問題解決が不可欠

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竹中平蔵: ここまで、都市工学の専門家、医療及び医療政策の専門家、日中の経済社会問題の専門家と、違う立場からご発言いただきましたが、そこに共通点がありました。

グローバル化の中で、アジアと中国のダイナミズムに大いに注目すること。その中で都市の時代、都市のダイナミズムを見直すこと。そして、先見の明を持ち、個々人がアントレプレナーシップ(起業家精神)を持たなければいけないということです。

大西さんのキーワードは、「都市の人口に注目」「中国の若い力、若い活力を取り込んでいく」ことでした。黒川さんは、「グローバルコミュニティにおいて積極的に参加していく姿勢と、戦いながら前に向かっていく姿勢が必要だ」と言われました。周さんは、「世界のパラダイムシフトの中に私たちはいる」という趣旨で、中国の都市問題に対する姿勢について話されました。

議論の入り口として、「アジアの活力」とともに、「アジアの弱点」をいかに解決していくかをお話いただけませんでしょうか。

周牧之: 「アジアの活力」には2つあると思います。1つは改革で、パラダイムのシフトに合わせた改革をやったということです。日本の場合、パラダイムシフトを迎えたときに最頂点にいました。成功体験にずっと甘んじてきたのです。改革そのものを好まない風潮が強く、かつて竹中先生が改革を進めたときにも、ものすごい抵抗があったのです。

中国の場合、パラダイムシフトを迎えたとき、すでに計画経済が行き詰り、どん底にありました。だから一所懸命時代の変化に合わせて今日に至った。これが1つです。

もう1つの活力は起業家精神です。中国経済を支えている企業の大半は、この20年間に誕生しました。もしくは20年以上前に誕生していたけれど、当時は取るに足らない存在にすぎなかったのです。この20年間、一所懸命、パラダイムシフトに合わせてビジネスモデル、企業のモデルをつくってきたのです。

日本の場合、この20年間に世界的な企業になった会社はほとんど出てきませんでした。なぜ日本の改革精神、創業者精神が失われたのか、真面目に考えなければいけないと思います。

大西隆: 私の研究室は2つに分かれていて、1つは「国際都市計画・地域計画研究室」という日本人学生と留学生を中心とした従来の研究室です。もう1つは社会人の大学院です。

前者のメンバーの半分以上は外国人で、多いのはやはりアジア人です。そこでは10年ぐらい前から、研究室の公用語を英語にしようと、英語で会議をやっています。

日本社会がアジアと伍していくには、言葉の問題を解決する必要があります。特に研究者や第一線で活躍する人が、結果的に英語になると思いますが共通語を設定し、コミュニケートする習慣をつくっていくことが必要です。

研究室を運営していて、一番悩むのは卒業時です。文科省は「日本で教育を受けた人は、その成果を自分の国を育てるのに使ってください」という考えです。しかし、卒業後も日本で働きたい留学生に門戸を開き、また英語が中心言語という大学院卒業生を受け入れることを前提として社会を再構築することが必要だと思っています。

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