記事・レポート

環境とビジネスは両立するか?

~答えはYes。具体策を提示します~

更新日 : 2009年11月11日 (水)

第1章 世界同時不況が示した、「資源収奪型経済の終焉」

「環境規制は国際競争力を弱める」と日本の経済界は主張します。しかし「企業の成長につながる環境対策がある」と経済・環境ジャーナリストの三橋規宏氏は言います。
果たしてその対策とは? これを読めば具体策はもちろん、日本がエネルギー効率が高いのに世界から評価されない理由もわかります。

ゲスト講師:三橋規宏 千葉商科大学政策情報学部教授/環境・経済ジャーナリスト
講師:竹中平蔵 アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学教授 グローバルセキュリティ研究所所長

竹中平蔵氏

竹中平蔵: 私が環境問題に関心を持つきっかけをつくってくださったのが、本日のゲスト、三橋さんです。三橋さんが主催する『環境を考える経済人の会21』には、日本の財界のそうそうたるトップが名を連ねています。三橋さんは、環境問題に対して日本の経済界が目覚める非常に重要なきっかけをつくり、環境保護を国民運動にしたキーパーソンと申し上げてよいかと思います。

環境問題は総論に反対する人はあまりいませんが、経済との兼ね合いをどうつけるかということになると、環境省と経済産業省の対立や、環境NPOと経団連の対立という形になってしまいがちです。

三橋さんは経済と環境の問題のエキスパートであり、しかも国際関係の中でこの問題を考えられる専門知識をお持ちの方です。環境問題の草分けとして活躍してこられた三橋さんが、昨今の世界の動きや問題をどのように見ていらっしゃるのか、私もお話を伺うのを楽しみにしてまいりました。

三橋規宏: きょうは「環境とビジネスは果たして両立するのか」という問題について、まず問題提起をさせていただき、後半で竹中先生と問題点について議論をしたいと思っております。

リーマンショック後、世界は大変な不況に見舞われています。この不況は単なる循環型の不況ではなく、構造的な不況です。これまでの経済発展は、石油などの化石燃料をジャブジャブ使って物を生産し、有害物質をどんどん自然界に排出するスタイルでした。それが今、世界同時不況の形で終焉を迎えているのです。

この不景気は従来型の公共投資や減税ではとても回復できないということで、アメリカのオバマ大統領は「グリーン・ニューディール政策」を打ち出しました。

「グリーン・ニューディール政策」の中身は、
1.化石燃料依存型の社会から低炭素社会への転換
2.省エネ、省資源、リサイクル分野のイノベーション
3.環境とビジネスを両立させるための制度設計
です。

これまでの自然環境破壊、資源収奪型の経済が破綻したということは、新しい経済をつくり出すチャンスでもあります。「グリーン・ニューディール政策」は、これまで埋もれていたグリーン需要やグリーン投資に光を当て、顕在化させることによって新しい経済をつくり出していくということです。

関連書籍

よい環境規制は企業を強くする —ポーター教授の仮説を検証する—

三橋規宏
海象社


該当講座

環境とビジネスは両立するか
三橋規宏 (千葉商科大学政策情報学部教授/環境・経済ジャーナリスト)
竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学名誉教授)

三橋 規宏(環境・経済ジャーナリスト)×竹中 平蔵(アカデミーヒルズ理事長)
従来は相反すると考えられてきた「環境と経済」をどのようにすれば両立させられるのか、三橋氏と竹中理事長にお話いただきます。


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