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ライブラリアンの書評    2017年11月

毎日続々と新刊書籍を入荷するライブラリー。その数は月に200~300冊。
その書籍を司るライブラリアンが、「まさに今」気になる本は何?



常識をぶっ壊す


先日、本書の著者であり、近畿大学の総務部長である世耕石弘氏の講演を聞く機会がありました。横浜で開催された2017年度図書館総合展。講演のタイトルは「常識をぶっ壊す新図書エリアから発信する近大流広報戦略」。

近大(近畿大学)の広報戦略についての熱を帯びたスピーチは、旧来の大学のあり方に対し、時に非常識ともとれる戦略で、今の大学界の常識に疑問を呈しています。「本当に今のままで良いのか?」という姿勢は、まるで聞き手各々に「あなた自身の業界はどうですか?」と問うているようです。

関西の大学のくくりとして世間に知られている「関関同立(関西大・関西学院大・同志社大・立命館大)」という言葉。近大はその下「産近甲龍(京都産業大・近大・甲南大・龍谷大)」というくくりに位置付けられています。

そんな世間に知られた大学のくくりを打ち破っていこうと、常識を壊していくための広報戦略を次々に展開。結果、近大は2014年度に志願者数日本一になり、そして2017年度まで志願者数4年連続日本一に。さらには世界大学ランキングの私立総合大学のトップ3が「早稲田大・慶応大・近大」になるのです。

そこで近大は世間の常識をぶっ壊しにかかるような広告を打ちます。
「早慶近」。「早稲田大・慶応大・近大」というくくりはどうですか?と。





大胆かつ新しい戦略を次々と


大学にとっての再重要顧客、「18歳」の人口は年々減少するばかり。大学も生き残っていかねばなりません。近大はその顧客獲得のために、大胆かつ新たな広報戦略を次々と打ち立てていきます。

・入学願書の受付はWebで。ネット世代に配慮した「エコ出願」
・卒業証明書は全国のコンビニで発行可能
・大学案内をファッション誌風に仕上げ、読んで楽しいものに
・編集工学研究所の松岡正剛氏をスーパーバイザーとして迎えた図書館をオープン。「超図書館モデルの提供」を目指して24時間利用可能な自習室や2万冊超のマンガを配架し、知的好奇心を導くデザインを施す

近大が持つ広告塔「近大マグロ(近大水産研究所が世界で初めて完全養殖に成功した黒マグロ)」だけではない、世間が驚くような仕掛け、仕組み、インパクト。
それを続けていくうちに、世間が持つ近大に対しての印象は次第に変わり、新たな「近大ブランド」が形成されていきます。その広報戦略の背景には、よく練られたストーリー、奥の深いマーケティング視点があるのです。




「伝えた」ではなく「伝わっているか」


著者の講演の中で印象的だったのが、「伝えた、ではなく、伝わっているかを意識する」という言葉。「伝えたから終わり」ではなく「伝わっているかどうか」をきちんと検証せねばと。ネットやSNSが当たり前であるからこそ、時に多くの批判はありながらも、それはきちんと伝わっている証拠とし、次の広報・広告の戦略に活かしていきます。


ー賛否両論があるなかでひるまずに前進し続けている

ー非常識と常識が入れ替わるのにそんなに時間はかからない
 

その常識は、本当に正しいのだろうか。旧態依然に依存して、思考停止に陥ってはいないか。現代的な視点、新たなテクノロジーを持ってして考察すれば、よりよい方法があるのではないか。

著者の攻め続ける姿勢と気概に、「では自分ができることとは何だろうか」を考え、行動に移したくなるようなパワーにあふれた一冊。そしてタイトルの「革命」が持つ「痛快さ」が読後に響きます。

(ライブラリアン:結縄 久俊)


近大革命

世耕石弘
産経新聞出版


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