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■映画と映像技術
デジタル化の波と文化戦略 秋山 雅和 株式会社IMAGICA映画本部兼テレビ本部部長 |
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一般消費財がつくられた瞬間から価値を失っていくのに比べ、映画は文化的な財になっていく。17世紀、ルイ14世の時代のコルベールという経済相が、戦略としてパリを芸術の中心にし、文化の産業化を図った。20世紀は米国が消費文化を担った。「次の世紀は文化の産業化を成し遂げられないと日本に未来はない」と浜野氏は語る。なかでも映画は情報の中で消費しやすい構造を持ち、新しい映像技術・製作仕様は映画を核にして生まれ、様々な映像商品に派生する。デジタル化の進む映像の世界の第一人者の秋山氏にe(Electronic)-Cinemaの最前線についてうかがった。
■フィルム技術とでデジタル化 映画業界にもデジタル化の波が押し寄せてきている。映画製作は撮影/現像・加工/配給・上映の3つの工程に分けることができる。IMAGICAの役割はこの中間部分であるが、画像処理のデジタル化に伴い、新しいサービスの提供を推進している。 プロセス時間の短縮とアナログ処理ではできない多彩な映像表現を可能としたデジタルSFX技術においても、これまでのノウハウを生かしてフィルムとデジタルの融合を実現した。 デジタル技術は日進月歩であり、映像表現の領域はますます拡大してくる。それだけに、コストパフォーマンスを考えながら最適な方法論をアドバイスできるポスプロコーディネーターが求められる時代である。 フィルム世界の仕組みは完成しているので、基本的には大きな設備投資は必要なく、利益率が高い事業である。デジタル化は事業の根幹を揺るがす大きなインパクトで、対応が急務である。しかし、IMAGICAは様々な側面を持っているので画像処理のみではなく、撮影から興行の全工程においてデジタル化へのアドバンテージを持っている。特にカラーマネジメントの確立には、監督や撮影監督との長年の関係がものを言うと考えている。 ■e-Cinemaの広がり 映画産業の規模は他の産業に比べると小さい。直接劇場に足を運ぶ観客も往時の10分の1であるが、劇場公開の他にビデオパッケージや放送などのマルチ展開があるので、実際には多くの人が映画を観賞していることになる。 また、昨今のシネマコンプレックスの進出で映画館のイメージが変わり、スクリーン数や観客が増加してきている。 デジタル上映が定着するかどうかは、国内2400スクリーンの3分の1を占めるシネコンの動向次第かもしれない。e-Cinemaの広がりについて、推進派は「2年後の『スターウォーズ・エピソード2』の公開の年がテイクオフ」と言っている。しかし、フィルム上映に比べて、大変高価なデジタル上映システムの普及率を考えると、10年後に50%のシェアにいけばいいほうではないかと私は見ている。 一方、ミニシアターにハイエンドのマシンを置く必要はない。昨年ヒットした「ブレアウイッチプロジェクト」のようなビデオソースによるインディペンデント系がドライブになるかもしれない。たとえば上映システムが1,000万円程度になると、外堀からデジタル化が広がる可能性が出てくる。 ■映像のデジタル化のメリット デジタル化によって製作サイドはコストダウンできると思われているが、実際はそうとは言い切れない。たとえば照明が少なくてすむというが、同じライティングがないと迫力のある映像にならない。また、トータルの製作期間が短くなることでコスト削減ができるというより、コストの配分を変えることで、従来できなかったことにチャレンジできるようになると見たほうがよいだろう。 デジタル化の最大のメリットは、撮影後の加工が容易になるということである。このメリットを生かせる作品こそデジタル撮影すべきであり、全ての作品をデジタルで撮影するということではないだろう。ただし、デジタルで製作するインディペンデント系の作品がミニシアターで展開されることで製作の機会が増加し、その中から才能のある人が発掘される環境ができることに期待したい。 ■e-Cinema普及のための課題 画質面では十分実用レベルであるが、高価な上映システムのコストダウン、ダビングによる劣化がないために必要になる海賊版コピー防止の技術開発、スタンダードの統一などが普及のための要件である。その上で、デジタル化によるメリットを全領域にわたって明確にするビジネスモデルの構築が必要である。 一方、フィルムとデジタルの併存によるコストアップをリクープできる新たな収入源の開拓が重要だ。いずれにしても、観客はテクノロジーではなくコンテンツを見に来るのだということを忘れてはならない。 第9回必修講義
テーマ/「e-Cinema」 |
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