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■都市計画制度が変わる 市区町村に権限委譲、住民参加の都市計画に 伊藤 滋 アーク都市塾塾長/慶應義塾大学教授 |
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都市計画の原点は向こう三軒両隣の関係(相隣関係)を良好に保つために、個々の
土地の利用について規制を加える公の権限である。しかし、時代の変革に合わせて見
直していこうという検討が進んでいる。2000年4月には新しい都市計画制度がま
とまり、詳細は建設省の都市計画審議会から出される報告書『新しい都市計画制度に
ついて』で明らかになる予定だが、それに先立って、伊藤塾長が新制度の改正ポイン
トをわかりやすく解説した。
都市計画法はもともと相隣関係を良好に保つために、土地の利用について公が規制 を加えるものであり、建築基準法はその大枠に沿って具体的な建築基準を示したもの である。 変化の少ない時代には既存の街並みを維持するという原則論でよかったが、時代が 刻々と変化する中で、従来の街並みを維持する規制一辺倒では現実に対応できない部 分も出てきた。 たとえば、都市への人口集中が加速すると共に、都市近郊では違反建築が続出した 。地方から出てきた人々が都市でも田舎と同様に一戸建てを求めたため、都市近郊の 農地が宅地転用され、都市計画法や建築基準法を無視した零細な一戸建てが乱立した のである。こうした現実を見据えて、これまでも何度か法制度は改正されている。 現在も、2000年4月を目処に都市計画制度の大きな見直し作業が進んでいる。 その内容をお話しする。 ●市町村がつくる生活都市計画 新しい都市計画制度は地方分権の流れを受け、都道府県の権限を市町村に委譲する というものだ。具体的には、都市計画法に基づく都市計画審議会を市町村に移管する 。用途地域も市町村で決められるようになり、特別用途地域の内容も市町村が決める 。これからは、たとえば武蔵野市と墨田区の特別用途地域の内容が異なるということ も起こるわけだ。 市町村は住民の生活に関わる都市計画(生活都市計画)をつくり、都道府県は市街 化調整区域と市街化区域の線引きや広域道路網、大規模な公園など、地域社会が必要 とする都市施設を決める。両者の役割分担が明確化されるわけである。さらに、市町 村に対して都道府県は後見的関与ができなくなる。 新制度の方向性は基本的に正しいが、都市計画の専門家のいない市町村では相当の 混乱が予想され、作業が滞る可能性も高い。住民と市町村の間を繋ぐ都市計画の専門 家の養成が急務だ。 そこで私は定年退職した人々が都市計画を勉強し、その役割を担ってほしいと期待 している。年配者のほうが住民に安心感を与えるし、じっくり意見を聞く能力が高い と思うからである。 ●住民参加を後押し 新制度では地方自治体が策定した「都市マスタープラン」を都市計画のベースとな る枠組みと位置づけ、マスタープランに沿った都市計画の実行をうたっている。コン サルタント丸投げでマスタープランを策定したような自治体は真剣に見直す必要があ る。 また、新制度では住民の参加を後押ししていく。たとえば住民の大多数が合意した 要望については、市町村は必ず対応しなくてはならない。再開発の手法も地区計画制 度に一本化され、具体的な内容や手法は市町村と住民が相談して決めることになる。 そのほか、市街化調整区域と市街化区域の線引きについても、市町村の事情に応じ て弾力的に検討してはどうかという議論も起こっている。 今まで都市計画が口出しできなかった都市計画区域外についても、乱開発のおそれ があれば土地利用規制の網をかけるようにするべきだといった意見も出ている。 また、規制一辺倒だった都市計画制度に対して、ルールに則り、公共に対してなん らかの社会的貢献をするような土地利用については規制の縛りから除外してはどうか という議論も行われた。このように、2000年4月にまとまる新しい都市計画は、 従来とはかなり大きな方向転換になるだろう。 新制度は市町村と住民の自由裁量を認める方向で検討されており、地域特性に合っ た個性的な街づくりを可能にする制度への改正を目指している。 第2回必修講義
テーマ/「新しい都市計画制度」 |
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