| 情報インフラ整備と情報サービス提供が ビルの価値を決める |
| 情報化時代のビルの付加価値 |
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いま東京では大型再開発計画が次々と進行している。今後、オフィススペースの大量供給に伴い、テ
ナント誘致合戦が激しさを増すのは確実と見られる中、立地条件の良さなどの従来の価値以外に、ど
んな新しい価値を付けられるかが勝敗を分ける鍵になるといわれている。中でも、その切り札といわ
れているのが情報インフラの整備と情報通信 サービスの提供である。 1999年10月18日、森ビルと米大手長距離・国際通信会社MCIワールドコムの日本法人との業務提携が発表さ れた。この提携により、東京・赤坂、六本木地区にある森ビルグループのオフィスビル群は大容量の光ファイ バー網で結ばれ、来年1月には国際通話や高速デー タ通信などのテナント向けサービスが開始される予定だ。 ビル群に敷設される環状光ファイバー網はギガビットクラスの高速・大容量のもの。2000年初頭に「アーク ヒルズ」など10棟が結ばれ、来年夏までには約40棟が結ばれる。さ らに、2001年以降完成予定のビルも順 次ネットワークに加わる予定だ。また、来年半ば に完成予定の日米間の光海底ケーブル「ジャパン-US」を、 環状光ファイバー網内に建設する通信センターに接続する計画もある。 この光ファイバー網の敷設により、海外との通信は、国内外の複数の通信会社を経由することなくシームレス な接続ができ、国際長距離通信コストの削減が期待できる。 また、ビル間及びビル内に敷設される環状の光ファイバー網は、その一箇所で障害が 起きてもループの別方向 へ信号を送るシステムになっていて、通信が切れない仕組み。 既存のNTTなどの地域回線網と併用することに より、通信の安全性をさらに高めることができるという。 森ビルは96年8月から、すでにMII(Mori Building Information Infrastructure)事業として、グループ のビル間を1.5〜10Mbpsで結び、世界最大規模のインターネット地域LANを敷設している。 この7月からはセキュリティーサービスなど特別なサービスを付加しない128Kbps接続については無料で開放 し、赤坂、六本木地区の約40棟では、接続料なしで端末何台でもインターネット接続ができるという通信環境 を提供している。 また、それ以外のサービスについては月額固定制で、通常のプロバイダーと比べるとかなりの低価格が設定さ れている。その料金たるや「他のプロバイダーはこのビルでは 営業活動をする気がなくなる」という内容なの だ。 現在、有料サービスの契約数は約160社、来年中には400社にのぼる見込みだという。「2、3年前は外資系や 情報先端系企業の需要が中心という状況でしたが、今やインター ネットの需要は業種を問わずと言った感じ。 快適な通信環境を低価格で提供することは、いまやビルに不可欠なサービスです」(MII事業室)。 今回のMCIワールドコムとの提携で、MIIはこれまでのインターネット、イントラネットサービスに加え、新た に長距離・国際電話やデータ通信などの総合的なサービスの提供が可能になる。 また、MIIではMCIワールドコムのほかにも、いくつかの新しい通信事業者との提携が検討されていて、さらな るサービスの充実を図る方針だ。「今回の提携はテナントからのニーズはあったものの、従来の地域通信会社 では提供しえない部分を満たすもの。これからもテナン トの様々なニーズに応えられる、充実したサービス体 系作りのために、新しいスキーム を検討していきたい」(同上)という。 今後、多様なニーズに対応できる快適・低価格の情報インフラと情報通信サービスの提供がテナント誘致の切 り札となるのは確実だろう。だが、本格的なオフィススペース の供給が始まる21世紀に、どの程度の規模 の、どんな種類の通信インフラが必要なの か、どんなサービスが求められるのか、その“決定版”はまだ見え ない。 技術革新と利 用者のニーズをにらみながら、ビルの情報武装化は進んでいくことになる。その中で、森ビルの MII事業の展開やMCIワールドコムとの提携は、ビルが高度情報武 装を実現していくための新しい方法と、将 来のビルが提供する情報インフラの一つの“スタンダード”を提案する先取的な試みとして注目される。 |
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