■いまの日本に必要なこと
民主政治の危機意識
〜判断の尺度をどう捉えるか


土井 たか子 社会民主党党首


最近の日本の政治において、ガイドラインに始まり、日の丸・君が代、通信傍受等の法案が、急な速度で法制化の流れになっている。自・社・さから自・自・公への連立政権の違いとは何か。一体、今国会では何が起こっているのか。  ここでは、紋切り型の話ではなく、率直な意見を土井氏と述べ合う場としていきたい。(進行:猪狩章氏)


●国会の現状
国会はどうなっているのか。最近、そう訊ねる人が増えている。批判は毎度のことだが、最近は本当に危ないと思っている。議長時代に国会改革を試みたことがあるが、最近はわからないうちに決まってしまう。中身よりも数で事が進んでしまっている。  まず、内閣の法案の提案は、国会の外で話を決めていて、必ず通るものを出してくる。イギリス議会では与党も論戦に加わり、修正案をぶつけることもある。国会は議論の場のはずなのに、それから遠のいているのが今の現状である。与党では、何月何日に通すということが前提になっていて、時間切れで打ち切り採決になる。野党がしっかりしていないと、侮られて数で押し切られる。  国会内でのルールを重んじていない現状自体も危ない。本会議では、台本を読んではいけないことが法に定められているのに、朗読している。また、論客が少なくなったといわれるが、これには小選挙区制度になって、一つの選挙区から1人が出てすべてに対応するという構図ができたからだ。選挙区の期待に応えるためには、数の多い与党が有利という背景がある。小選挙区制度は総与党化を招く。


●皆で渡れば恐くない?
「先進諸国はみんなやっている、やってないのは日本だけ」という論理がまかり通っているが、それが正しいのだろうか。ものを考えるには、何を尺度にするかが大切なことだ。先進国を尺度にしているが、先進国にもいろいろな苦悩があるはず。しかし、それには目を向けない。  先日、オランダのハーグでNGO主催の100周年を迎える記念の世界平和会議に招かれた。そこでは、コソボ問題でNATO軍の武力行使は、問題を難しくしているという見方だった。「認識すべき尺度を取り戻そうではないか」ということで日本国憲法第9条が取り上げられ、考えている以上に反響は大きかった。参加者は先進国の人々だが、先進国だからというのではなく、立ち止まって考えたときに、第9条は大切なことを示していると捉えていた。


●民主政治のこれから
今の北朝鮮については、日本国政府は過剰反応だ。理解し合う関係をつくるのが大事で、構えるだけでは自ら危ない状況をつくり出すことになる。中国や韓国のほうが外交に関しては対話を意識している。日本の政治は場当たり的で、その時の損得で判断する考えが幅を利かせている。  今、大変なことが起こっているのに、世の中は静かすぎる。沈黙は金ではない。国会の中で起こっていることが周辺に連動しない。若葉を切り取るのは簡単でも、大木になってからでは容易ではない。少数意見を無視する時、民主政治は危ない。数だけで押す、これほど危ないことはない。今、ストップできないと取り返しのつかないことになる。  肝心なのは皆さんで、千載一遇の選挙では、その時にいっていることで判断するのでなく、日々のことをよく見ておいて、その中身で判断していただきたい。(以上:土井たか子氏)
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 ひとり一人が考えて、実行することが今日のテーマの答えになるのではないか。マニュアルはないけれど、現在を読み、過去を学んで未来に至る。日本の将来に関わる大事なことははっきりわかっている。それをどうしたらいいのか。今のあり方でいいのかどうかは、ひとり一人が考えなければならない。(猪狩章氏)





第8回必修講義

テーマ/「いまの日本に必要なこと」
講師/土井たか子(社会民主党党首)
アドバイザー/猪狩 章
(朝日ニュ−スタ−キャスター/ビデオジャーナイスとスクール講師)
日時/1999年7月8日
会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階)


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