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■DNAへの導き 生命はDNA情報である 〜その研究の意義 田畑 哲之 かずさDNA研究所遺伝子構造第2研究室 遺伝子機能第3研究室室長 |
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先端技術産業の国際的水準の研究開発拠点の形成を目指す、かずさアカデミアパーク。その中核施設として、かずさDNA研究所がある。ここでの研究は、産業構造の新分野の創出、健康・医療・地球環境といった人類が直面している問題の解決への貢献として注目されている。DNAについての基礎的な理解から、現状、今後の研究の展開について、田畑氏にお話をうかがった。
●生命活動はDNA情報の相互作用 遺伝子の物質本体をDNA(デオキシリボ核酸)と呼び、ひとつの生物が持つ遺伝子全体をゲノムという。1800年代半ば、メンデルがそれまでの「子は親に似る」という遺伝についてのあいまいな考えを、えんどう豆の実験で遺伝因子として認識した。細胞からDNAが抽出されたのは1869年。DNAが遺伝情報を運んでいる物質であることが証明されたのは1944年で、二重らせんモデルとして1954年に提唱したワトソン・クリックはノーベル賞を取った。 DNAは4種の塩基の配列で、A(アデニン)とT(チシン)、G(グアニン)とC(シトシン)という決まった対をなす。A、T、G、Cを読みとることによって、遺伝暗号を解読する方法も25年前に開発され、その必然的延長としてゲノムプロジェクトが生まれた。その目標とは、ゲノムDNAの情報を読みとり、遺伝子を見つけて働きを明らかにし、産業への利用に繋げるというものである。 現状では、ようやく遺伝子を見つけるための基礎データが得られた段階だが、これらの解析は欧米では非常に進んでいる。たとえばヒトのゲノムは30億塩基対からなるが、その設計図には10万種類の遺伝子の情報が書かれているという。 DNA情報は貴重な資源 なぜ、DNA研究が重要なのか。 それは、遺伝子情報を解読する(生命の設計図を手に入れる)ことによって、生命現象の仕組みや個々の遺伝子の働きと相互作用を理解するといった基礎研究から、病気の治療、有用物質の生産、環境改善(大気、土壌、水)、食糧となる産業動植物の品種改良などの応用研究に繋げるという意味を持つからである。 遺伝子の大量解析が進むと、新たなバイオテクノロジーとして、品種改良(食糧、物質生産)、医療(創薬、治療)、検査(疾病、製品検査、鑑定)の分野に役立てることができる。 我々は日頃感じている以上に、さまざまな生物に依存して生きている。人間の能力を超えたものをさまざまな生物が持っており、私たちは古来からそれらの性質を利用し、その遺伝子を利用してきている。「生き物は人間にとっての貴重な財産」なのだ。 ●DNAとベンチャービジネス 1972〜73年頃、第1次DNAブームを迎えたが、テクノロジーの発展によって欧米では第2次DNAブームが起こっている。アメリカでは、産業振興の特許戦略から、遺伝子資源やそれを見つけ出すためのテクノロジーに注目が集まっている。 今、ビジネスの対象として話題になっているのは、遺伝子ハンティングといわれる分野である。DNAを読みとり、大型コンピュータで遺伝子発見のスピードを上げていこうとするベンチャーは大きなビジネスになろうとしている。アメリカでは、1台4000〜5000万円もする解析機を1社で200〜300台持つベンチャー企業もある。アメリカのセレラ社は、1年前、ヒトのDNAを3年で決めると発表した。特許申請されてしまうと内容が非公開で縛られるため、世界のアカデミアでは、一刻も早くデータを公開し、特許に先駆けようと躍起になっている。 日本では、情報を手に入れても製品に結びつける力がないため深刻に認識されてないが、特許が絡む場合は後になって縛りがかかることになる。このままでは、アメリカとの差は埋められない。それに対抗するには、正攻法で地道に解析の作業を進め、いい遺伝子を見つけていく努力をすることしかない。 第7回必修講義
テーマ/「DNAの導き」 |
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