■デジタル映像技術の
    ビジネスチャンス

VDからみたデジタルコンテンツビジネス

木村 純 前パナソニックデジタルコンテンツ株式会社代表取締役社長 


映像は映画やテレビだけでなく、さまざまなところで消費される21世紀の重要な産業として目されている。ギガ、テラを超えるペタビットのネットワーク構築が視野に入ってきた今、映像の需要はますます増えることが予想される。またデジタル化によって映像ビジネスは大きく変化し、新しいビジネスチャンスも期待される。今回はDVD(Digital Versatile Disc)のソフト事業を手掛ける木村氏に、氏のコンテンツ事業への考えとその経営論をお話しいただいた。


●デジタルノウハウを構築
DVDは1層で4.7GB、2層で8.5GBの大容量をもつディスクメディアだ。これは画質、機能・チャンネル数、収録時間の3つの軸で囲まれる体積がその容量になるという性質のもので、どの軸に重点を置き、どう使いこんでいくかがDVDのおもしろさといえよう。  DVDではデジタル化によってソフトのいろいろな構成が可能になっている。したがって、そのコンテンツづくりにおいては、既存のコンテンツをそのまま移し換えるのではなく、インタラクティブ機能やハイクオリティー、階層構造などのDVDならではの特質を活かしたつくり方をしていくことが重要である。こうした取り組みがデジタルデータをハンドリングするノウハウの構築に繋がり、今後かなりの需要が見込まれるデジタルテレビの番組づくりのヒントになるのではないかと考えている。


●DVD市場の現状と予測
日本におけるDVDプレーヤーの出荷台数は98年3月末累計で50万7000台。2000年には1年間で100万台の出荷が予測されている。一方、アメリカでは98年には累計で150万台、99年には1年間で300万台の出荷が予測され、既にブレイクしたといえる状況だ。  ソフトも99年5月現在、日本で発表されているものは2726タイトル。ここ1年間では毎月100タイトル以上の順調なリリースが続いている。  ソフトの価格は日米で約2倍の格差がある。成長していくためには、書籍程度の手頃な価格にしなければならない。


●日本市場のブレイクは
日本でも年末から来年にかけてDVD市場がブレイクするだろう。 (1)秋ぐらいから日本映画の本格的DVD化が予想されること (2)DVDオーディオの再生可能なプレーヤーが秋ぐらいから市場に出てきて、ハード面での買い控え要素が解消されること (3)DVDレンタルの普及が見込まれることの3つである。  (1)は、これまで日本脚本家連盟や日本監督協会におけるDVDの権利料率規定がなかったために、大手映画会社がDVD化を差し控えてきたが、いよいよその料率が決定されることになったためである。  (3)については、昨年から試験的に、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、ワーナー・ホーム・ビデオ、パイオニアLDCが全国186店で、またTSUTAYAが500店でDVDレンタルを行っている。DVDは単位面積あたりのソフト展示数がビデオの3倍であり、普及促進の一要因になろう。


●デジタル時代のコンテンツ事業
デジタル時代のコンテンツビジネスは、企画開発を行い、制作者・出資者を集め、作品を制作し、マーケティングを行うことにより権利を創造するところから始まる。その権利を、ビデオ、LD、CD-ROM、DVDなどのパッケージ商品として消費者に対して提供したり、配給により映画館、劇場を通して提供したり、放送やインターネット、電話線を通じて、番組として提供するという流れの中で生まれ、成立するビジネスである。  コンテンツビジネスを経営的視点からみると、定常的な形でなく、“何かひと工夫”が必要だ。一方、ヒットを出せば、事業規模を何倍にも拡大できるというおもしろみがある。商機を逃さないためには、スピーディーな決定が不可欠だ。パナソニックデジタルコンテンツが松下電器から独立したベンチャー企業の形をとっているゆえんである。  また同社は、営業や工場をアウトソーシングし、制作のラインプロデューサーやディレクターも作品ごとに契約する。これから大切なのは、企画力や個々の才能をプロデュースする力で、ヒト・モノ・カネをすべて抱え込むことではない。





第3回必修講義

テーマ/「デジタル映像技術のビジネスチャンス」
講師/木村 純(前パナソニックデジタルコンテンツ株式会社代表取締役社長)
日時/1999年6月7日
会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階)


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