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■企業家能力とは何か 企業家育成のシステム構築がポイントに 米倉 誠一郎 一橋大学イノベーション研究センター長・教授 |
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社長訓話などで、よく「企業家精神を持って頑張ってほしい」というフレーズが出てくるが、受け取る側の解釈は十人十色。entrepreneurshipは日本では「企業家精神」とか「起業家精神」と翻訳されているが正しいのか。米倉氏はentrepreneurshipという言葉の原点に戻り、「イノベーション遂行の機能的な能力」、entrepreneurを「イノベーションの遂行者」と定義し、経済発展の新次元をもたらすものとした。
●企業家精神とは何か entrepreneurshipとは「新しい手段を使って新しい企てをする能力」、言い換えれば「現状をイノベーションによって創造的に破壊し、経済発展の新次元をもたらす能力」である。これは「起業」に限らず、既存組織や非営利組織のイノベーションやイノベーターも包括する。 なぜ、今、これが重要かといえば、経済発展の原動力だからだ。ちなみに均衡論をベースにした近代経済学に経済発展の本質はない。減税や商品券などで需要を刺激すれば、供給も拡大するといった均衡論をベースにした政策は明らかに誤りであり、未来を切り開くものではない。 ●イノベーションとは何か イノベーションは、新しい製品、新しい生産手段、新しい市場、新しい原材料・半製品、新しい組織という5つのフェーズの新たな組み合わせであり、それによって経済の新次元を開くものである。 では、逆も真か?世界的な「企業家」を輩出していない日本で、年率10%を超す高度成長がなぜ達成できたのか。 この点について、アバナシー(Abernathy)は、「イノベーションにはプロダクト・イノベーションとプロセス・イノベーションがあり、競争は常にプロセス・イノベーションの部分で起こる」という切り口を示した。彼は1970年代の米国の自動車業界に対して「日本のプロセス・イノベーションの能力を見くびってはいけない」と警鐘を鳴らしたが、日本の高度経済成長は、まさにこのプロセス・イノベーションの積み重ねによって達成されたのである。 ●イノベーターの4つの類型 イノベーションのタイプは「フォーセル・モデル」(図参照)によって4つに類型化される。 第1は既存の技術体系を破壊し、まったく新しい市場を開拓する「構築的革新」。飛行機やコンピュータなどがそれで、このフェーズのイノベーターは「企業家的企業家」である。 第2はアナログからデジタル技術への転換にみられるような「革命的革新」である。既存の技術体系を破壊するような技術体系にありながら、既存の市場を開拓するイノベーションであり、これらの推進者は「技術志向型企業家」といえよう。 第3は技術的には既存技術を用いながらまったく新しい市場を開拓する「間隙創造」。ウォークマンやファミコンなどが代表的なケースである。こうしたイノベーターは「市場志向的企業家」と分類される。 第4は既存技術を強化し、既存の市場を深耕する「通常的革新」であり、「経営管理者的企業家」が推進するイノベーションである。 日本の高度経済成長は「通常的革新」や「間隙創造」によってもたらされたと分析される。 ●企業家能力と組織 この4つのフェーズの最適組み合わせによって成功をおさめた企業の例としては、ソニーの井深大と盛田昭夫、ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫が挙げられよう。 また、entrepreneurを特殊な人間と限定せず、普通の人間がentrepreneurになりうる仕組みを「システム」として持つことが非常に重要なポイントである。 経営情報スクール 第3回イノベーション企業戦略コース
テーマ/「企業家能力とは何か」 |
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