■日本映画界のインフラ整備
映画は商品で客のものだ

仙頭武則 サンセントシネマワークス株式会社代表取締役社長/
映画プロデューサー



仙頭 武則
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アメリカ映画界の報告書によれば、日本の映画界はこれからが儲かるビジネスになるという。映画スクリーン数も2007年には現在の約1.5倍になると予想され、ワーナーをはじめ、UCI、バージンなど、外国資本の日本進出も活発化しそうだ。これまで日本映画界は未開拓の部分が多く、儲からない産業と言われてきた。この業界でもやり方次第でうまくいくことを証明したのが仙頭氏だ。講義では、鉄鋼メーカーの営業マンという異色の経歴を持つ氏の映画ビジネスの新しいアプローチと映画づくりへの思いが語られた。  


●新しいビジネスアプローチ
映画界に入って始めて手掛けたのは、ハリウッド映画が1本買えるくらいのコストで6本の短編映画をつくることだった。6本まとめて出すことでコンセプトイメージを持ったブランドの確立を狙ったわけだ。後に長編化された『月はどっちに出ている』も、この時に制作した1本に火がついたものだった。  私は映画をビジネスと捉えている。これまで30本あまりの作品をつくってきたが、すべて資金回収している。それは、興行レベルから落とし込んで、適正な制作費=回収可能なコストを割り出してきたからだ。予算管理にコンピュータを導入し、徹底的な合理化も行った。日だていくらの現場に、きちんとした契約や成功報酬制度を導入したが、これがスタッフの意識改革に繋がった。  映画を手堅いビジネスにするために、興行、ビデオ、テレビなどの権利をプリセールスする手法もとった。また、1本ずつでなく、4本の企画をまとめて出資者を募る手法でリスク低減を図った。4本のうち1本が当たれば資金回収が可能になる。この手法によって企画への干渉が排除できた。


●映画づくりの原点
日本では映画づくりは監督のものという意識が強いが、映画も商品である以上、客のものであるべきだ。商品には品質管理が重要であり、高い品質を維持しながら合理化も図らなければならない。  制作した映画は自分で金を払って客として見るようにしている。顧客としての心理を持ち続け、その感覚で映画づくりをすることが大切だと思うからだ。  また、「質」の高い作品を生み出すには、「量」を生み出す環境整備が不可欠である。たくさんの映画がつくられて初めてビジネスとしての構造が形成され、産業としての成熟度が高まる。  さらに、国内だけではなく、海外の市場に繋がる流通経路をつくることも重要である。ワールドワイドに展開できれば、制作コストのかかる映画もつくることができるようになる。


●プロデューサーの役割
日本ではプロデューサーの地位が低く、仕事の内容もよく知られていない。これは映画がビジネスと考えられていないことの証拠である。  監督が演出家であり、現場監督であるのに対して、プロデューサーは企画の策定から出資者集め、興行の形態、宣伝戦略、資金回収まで、映画制作のすべてを担う役割を負っている。 プロデューサーに必要なのは、努力と根気であり、極端にアーティスティックでもなく、極端にビジネスライクでもないバランス感覚である。


●新会社でインフラ整備目指す
98年11月に、WOWOW100%出資の映画制作会社「サンセントシネマワークス」の社長に就任した。  会社組織になることで、出資者からは映画1本1本に対してではなく、会社に出資してもらうことができ、制作スタッフの生活の安定や企画の自由が実現する。商品や企業は公共性のあるもので、私腹を肥やすためのものではない。日本映画界はそこのところの勘違いからモノづくりを間違ってしまったのではないか。  新会社をきちんと経営していくことを通じて、日本映画界のインフラ整備のひとつの方法論を示したい。  





経営情報スクール

テーマ/「日本映画界の復活」
講師/仙頭 武則(サンセントシネマワークス株式会社代表取締役社長/映画プロデューサー)
日時/1998年11月16日
会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階)



仙頭 武則 講義目録
■第21期 '98.11.16
 日本映画界のインフラ整備
■第20期 '98.5.11
 ビジネスとしての視点からの日本映画作り

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