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■岐路に立つ都市計画 東京再生を巡るもうひとつの処方箋 伊藤 滋(アーク都市塾塾長、慶應義塾大学大学院教授 |
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不良債権問題を解決するためにも、都市に重点的に公共投資を入れるべきという意見が新聞やテレビで語られ、そのひとつの手法として都市計画が利用されようとしている。伝統的な都市計画は、相隣関係を円滑にするために既存の土地利用を制限するという保守的なものだったが、従来の都市計画では語られなかった新しい課題が、今、都市計画家に突きつけられている。次世代を切り開く都市計画について伊藤滋塾長が語る。
●『大都市の生と死』 カナダ在住の経済学者、ジェーン・ジェコブソンは1960年代に『大都市の生と死』という著書の中で、反自動車社会を訴えた。人間主体の路地空間の中にコミュニティを育てる都市の形を示し、日本の都市計画家や建築家の中にも共鳴する人が多い。 この背景には、当時、米国がスリムクリアランスに莫大な投資をし、近代的で機能的な中高層住宅を建設していたことがある。しかし、この試みは完全に失敗に終わった。税金を使って地域コミュニティを破壊した、と指摘する声もある。 ●政治的、経済的な要請 そして現在の日本では「経済再生には都市基盤整備と超高層を中心とした再開発を進めるべき」という意見が出ている。伝統的な都市計画の考え方からすれば異端であるが、一概には否定できない面がある。 というのは、経済再生には、公共投資より民間の資金を使って都市開発ができる仕組みが必要だからだ。今のような調子で公共事業に頼っていたら、我々は莫大な負の遺産を子孫に残すことになる。 また、公共と民間を比べるとスピード感覚が大きく違う。従来の公共事業の欠陥は第1に時間感覚がないこと。第2に、地元が反対を続ける限り、反対者を慰撫するために調査費や保証金といった名目で無駄な税金が垂れ流しになっていることである。 ●硬直的視点からの脱皮 翻って東京を見るに、東京にもさまざまな地域特性がある。丸の内景観論争が高まっているが、景観という観点で見ると、日比谷交差点から皇居前にかけては確かに守らなければならない景観を備えている。しかし、大手町、日本橋寄りの一帯のように超高層化されても一向に問題のない地域もある。こうした地域を超高層化して新しい都市機能を付加するのならば、問題は少ないといえよう。 都市計画は、従来の地域地区制に捕らわれた硬直的な考え方から脱皮して、柔軟で多面的な視点で考える必要がある。 ●地域性と多様性を接点に 東京を分類すると、江戸時代にその基礎がつくられた西の山手と東の下町、明治政府の政策によって形作られた豊かで国際的な南と国内志向で貧しい北という構図が浮き彫りになる。この南北軸、東西軸で分割すると、東京は4つの地域性をもった都市といえるのではないか。この地域性にそって都市開発パターンを考えると、北東エリアはジェーン・ジェコフソンの主張が相応しいし、南西エリアには近代的な機能主義の超高層開発などを容認する地域がある。 北東と南西からそれぞれの思想に基づいた開発が進み、臨海副都心で両者がぶつかり合うというのが、多様性を認める東京のグランドデザインのもうひとつの姿ではないだろうか。 第20期 環境デザインスクール
テーマ/21世紀に向けた東京のグランドデザイン |
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