■空港と都市
空港は地方と世界を繋ぐ
    「グローカル」時代の核


戸沼幸市(早稲田大学理工学部教授)


戸沼 幸市
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「都市の栄枯盛衰は交通機関の発達とパラレル」と戸沼幸市氏は語る。この100年間に急速な発展を遂げた航空機とその拠点である空港が、次の1世紀に、都市をどう変えてゆくのだろうか。戸沼氏は、今、話題になっている羽田空港跡地開発計画と、日本における交通機関の発達と都市の盛衰、そして、空港と都市の新しい関係という3つのテーマに絞って「空港と都市」について講義した。


●羽田空港の跡地開発計画
1930年代に開発された羽田空港だが、航空機の発達と輸送量の急激な増加に伴う騒音問題などで沖合に移転した。羽田空港の面積は約1100ha。これは文京区と同じくらいの広さである。
羽田跡地開発の対象地は約200ha。たとえば中高層団地にした場合、居住人口約4万人クラスのニュータウンができるほどのスケールがある。昨年、一昨年と、アーク都市塾でも羽田跡地開発の研究を行った。その一部を紹介すると、「臓器移植センター」や「先端産業の研究拠点」、「公園と航空博物館」、「サラリーマン墓地」など、ユニークなアイディアが挙がっている。
世界の都市が航空網で結ばれ地球がマスクメロンの様に包み込まれる中で、羽田空港跡地は新しい臨空タウンとして発展する可能性を秘めている。


●交通の発展と都市の盛衰
江戸時代の都市は城下町として発展した。これらは江戸とは五街道で結ばれていたが、隣接する藩との交通網は閉ざされ、物流は主に藩港を通じて海路を利用していた。
明治時代には鉄道が交通の主役となり、駅が近代都市のシンボルとなる。駅前には商店街が発達し、街は駅を中心に栄えた。また、海外との貿易が始まり、函館、新潟、長崎、横浜、神戸など本格的な港湾都市が生まれた。
しかし、自動車時代の到来で、駅を核とした地方都市の構造は一変する。駐車場を持たない駅前商店街は寂れ、大資本による郊外型ショッピッグセンターが地方都市を席巻していった。効果的な駅前商店街活性化策はまだ見つからないが、新幹線駅を誘致し、新幹線駅前を中心にした新しい核を創ったり、地方空港による街の活性化に新たな期待を寄せている地方都市もある。  


●空港とコミュニティー
鉄道、自動車、船舶、航空機といった主要輸送機関において、今も右上がりの高い伸びを示しているのは航空機である。1903年にライト兄弟の初飛行以来、わずか100年足らずの間に航空機産業は急激な発展を遂げた。
当初、航空機の発着場所にすぎなかった空港は、利用者の増加とともに「人の集まる場所」として注目を集めるようになった。世界の空港の中には、レジャー、ビジネス、ショッピング、宿泊、アミューズメント、リラクゼーションなど、ひとつの都市機能を備え、半日いても飽きないような楽しい空港も出現している。
また、空港から既成市街地までのアクセスを整備して、訪れた人に好感を与える街づくりに取り組んでいるところもある。
空港はダイレクトに地方都市と世界とを繋ぐ時代の象徴であり、コミュニティーの核となる可能性を持っている。グローカル(グローバル+ローカルの造語)な時代を迎え、航空機と都市の関係を再構築するべき時が来ている。




第20期 環境デザインスクール

テーマ/「空港都市」
講師/戸沼幸市(早稲田大学理工学部教授)
日時/1998年5月23日
会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階)


戸沼 幸市 講義目録
■第22期 '99.6.10
 東京の景観づくり
■第20期 '98.5.23
 空港と都市
■第19期 '97.11.19
 地球コミュニティと空港コミュニティ
■第18期 '97.5.14
 地域活性化のキーポイント

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