■「意味づけ」から始める
     マネジメント革命

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妹尾堅一郎(慶應大学経営情報部助教授


妹尾 堅一郎
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パソコンは「コンピューティング・マシン(計算機)」か、それとも「ネットワーキ ング・メディア」か?……妹尾氏は授業の最後に塾生に問いかけた。このように、同 じモノであっても、どう意味づけるかによって全く違った世界が広がる。ある状況や モノに意味をつけるのは我々である。「混沌とした時代を切り開くためには、置かれ た状況の中でもっとも相応しい意味を模索し続けることが大切」と妹尾氏は力説する。


●組織革命とリーダー像
混沌とした時代を切り開く組織とリーダーはどうあるべきか。日本の企業の多くが従 来の統率型のリーダーに率いられたピラミッド型組織から、調整型リーダーによるフ ラット型組織へと組織改変を進めている。しかし、アーティスティックな世界では、 すでにもう一歩先の組織へと移っている。それは、プロデュース型(創発型)リーダ ーによって束ねられたネットワーク型組織である。映画の世界でいえば、S.スピル バーグ、ビジネス界ではビル・ゲイツなどがプロデュース型リーダーといえよう。こ うしたリーダーに欠かせない資質は、ビジョンを描き、状況にもっとも相応しい意味 付けを示して人材や資金、資材を集め、時代の要請するモノやコトを生み出す能力で ある。


●意味付け力とは何か
モノや活動に「意味」をつけるのは我々人間である。
たとえば「営業」とは何か?。商品の販売か、市場シェアの拡大か、市場ニーズの把 握か、それとも顧客との関係の構築か。では「採用活動」とは何か?。人材の補充か 、中高年社員への刺激か、企業イメージのPRか、人材資源のメンテナンスか、それ とも取引先への貸しづくりか。……すべての事象は人により多種多様な意味を持つ。 経営において重要なのは「どれが正しいか」ではなく、「今の状況下では何が適切か 」を的確に判断し、様々な意味に濃淡をつけることである。それには、経営に関わる 様々な「主体」の意味づけを出し合い、それらを基に皆が同居できるようなもっとも 相応しい意義や意味を紡ぎ出すプロセスが必要である。  


●日米「品質管理」の違い
意味づけの重要性を示す興味深い話がある。「品質管理」についての話だ。品質管理 という手法を編み出した米国では、これを「不良品を排除するシステム」と意味づけ たため、品質管理を徹底すればするほど歩留りが下がり、検査工程にもコストがかか って製品のコストアップを招いた。しかし、日本では「良品を作り込むシステム」と 意味づけ、歩留りをよくする工程管理を徹底させたため、安く良品を提供することが できた 。「意味づけ」の違いで大きな差が開いたのである。また、意表をつく「意 味づけ」から生まれたヒット商品としては「写るンです」がある。これは「使い捨て カメラ」ではなく、「レンズ付きフィルム」と意味づけたことによって始めて製品化 が実現した。皆さんの業務においても、常に業務の意味、意義、位置づけを意識した マネジメントを行なってほしい。




第20期 マネジメント研究科

テーマ/「“意味”とマネジメント」
講師/妹尾堅一郎(産能大学経営情報部助教授)
日時/1998年4月24日
会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階)


妹尾 堅一郎 講義目録
■第25期 '01.2.8
 ”問題学入門〜“問題解決”が陥る7つのワナ
■第20期 '98.4.24
 ”意味付け”から考えるマネジメント革命
■第19期 '97.11.14
 問題解決とマネジメント
■第17期 '96.11.8
 混沌の状況を切り開く

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