ビデオを持ったジャーナリストが
      開く可能性

小型ビデオカメラを使った取材活動を行うビデオジャーナリストの活動が注目を集めつつある。
この春、アーク都市塾にビデオジャーナリストスクールが開講した。技術的な修得よりも、ジャーナリストとしての視点が重視されるといわれるビデオジャーナリズム。既存のメディアとは違った切り口を、どれだけ見せてくれることになるのだろう?


今期の講座に集まったのは、様々なバックボーンを持つ男女。専門紙の記者、公務員、学生など17名。カリキュラムでは、表現方法のポイントの捉え方や、カメラの扱いに馴れるための実習、専門家による編集の実践に始まり、参加者が個々にテーマを決めて作品に取り組んでいる。スクールの講師を務めている猪狩章氏(朝日ニュースターキャスター)によると、「試行錯誤の中から、いいものが生まれてきている」という。まず、やってみる。場数を踏んでいくことで学びとる。ここでは、すべてがOJTであるということだ。

仕上げの作品制作に向けての取材活動の経過発表に立ち会うことが出来た。スクールから借り受けたデジタルビデオカメラで取材してきた映像テープを披露する。この段階では、完全に編集されたものではなく、取材スケッチといったところ。シナリオのポイントを絞り込むのはこれからのようだ。
「しかし書くだけならいいですよ。自分の文章で表現できちゃうけど、映像はそのまんましか撮れないからなあ。」映像表現に慣れないもどかしさを実感する参加者。
国際化、異文化コミュニケーションを考えるために、様々な国の人々による出店で賑わう麻布十番の納涼祭りを取材した関根航太郎氏は税務専門紙の記者。講師から、具体的なアドバイスが飛ぶ。「それぞれ国の出店者の様子はよくわかるが、祭り全体を俯瞰できる工夫があったほうがいいのでは?」「そのためには、主催者のコメントを流しながら別の絵を持ってきて。。。」「このインタビューはいいなあ。これにポイントを置いたら?」さて、国際化を銘打ったイベントが本当の国際化につながっているとは言えないと思う、というのが関根氏の取材後の感想。その視点を作品でうまく表現することができるだろうか?

海外協力隊で2年に渡る南米での在外経験を持つ青木祐二氏は、地方自治体の施設職員。浜松市に日系ブラジル人のホームレスが大勢居る、と聞いて取材してきた。その体験からは、取材のスタンスや同意について考えさせられることが多かったようだ。同じ時期に、やはりホームレスの日系ブラジル人をあるテレビ局が取材していたらしい。ホームレスの人達が、公園の手洗い場で身体を洗わなければならない状況にもあったのは事実だが、青木氏はそれをカメラにおさめることをためらった。しかし、強引にカメラを差し向けているテレビ局の取材に非常に憤りを感じたという。「場面そのものを撮らなくても、あとで水のしたたるその水道の蛇口を撮って、ナレーションを入れることでも状況を伝えられるのではないかな。」講師のアドバイスである。
時間がかかる。しかし、こうした実践的なやりとりで、ジャーナリズムとは何か、にそれぞれが直面し、プロのノウハウが伝わっていくようだ。