NTTの取り組むモーバイル最前線

■NTTの取り組むモーバイル最前線
〜ネットワーク元年〜

加藤邦紘
(日本電信電話株式会社 マルチメディアシステム総合研究所長 取締役)



いま携帯端末、携帯電話、PHS市場は急成長を遂げている。日本の携帯電話とPHSの加入数は98年1月には4000万に迫る勢いだ。その普及につれて、都市生活や企業活動 もまた大きな影響を受けはじめている。モーバイルというキーワードが今年どう発展するか。今回はモーバイルに対するNTTの見通しと技術開発への取り組みをNTTマルチメディアシステム総合研究所長の加藤邦紘氏に聞いた。


●NTTの目指すマルチメディア社会
「エレクトラム・サイバー・ソサイエティ」

加入電話は新規加入が毎年200万加入という成長を遂げてきたが、近年その伸びは飽和し、マルチメディアの活況へと移行しつつある。とりわけ、携帯電話(単年度1000万加入)やISDN(単年度100万 加入超)、PHSなどが著しい伸びを示している。この状況の下、NTTも従来の電話事業 だけでなくモーバイルやマルチメディア戦略を考えることが必要とされ、現在の電気 通信事業者から情報通信事業者へ、さらには情報流通事業者への変革を目指している。
実空間では同じ空間を共用しえない人々が、一度ネットワークに入ればパソコンを 通じて、ショッピングや病院、銀行などを共通に利用できるサイバー空間、バーチャ ル空間をNTTは「エレクトラム・サイバー・ソサイエティ(ECS)」と捉え、これをキ ーワードにしたマルチメディア社会の実現を目指す。この世界の実現のために、(1)ECSを実現するためのアプリケーション技術(2)ECSを支えるメガ・メディア(ネットワークサービス技術)(3)ネッ トワークを物理的に支える光波通信によるテラビットレベルのネットワーク技術の研 究開発を行っている。


●NTTのモーバイルビジネス最前線
携帯電話ではNTT DoCoMoがNTTとは別の完全に独立したネットワークを利用して事 業を行っているが、地上の移動体ネットワークの他に衛星(N−STAR)も利用していて、これにより全国津々浦々でのサービスの実現が可能になる。また電話以外のサービスの開発も求 められていて、Movaによるppp接続、デジタルカメラからのデータ転送、PDAによるモ バイル・コンピューティング、カーナビゲーションなどのサービスも開発されている。 一方、PHSのNTTパーソナルは、アンテナ1本で100〜200mの小さなエリアしかカバ ーできないというPHSの性質のために初期設備投資の重さで苦労しているが、携帯電 話にはない高速通信32Kデータ通信サービスを利用した様々なアプリケーションが今 後期待できる。


●NTTのモーバイル研究開発最前線
モーバイル・コンピューティングに求められているのは(1)小型・軽量化(2)高速 性(3)モーバイル環境を活用するアプリケーションの3点である。小型・軽量化では 世界最小・最軽量で、音声ダイヤル機能と拡声通話機能付きの腕時計型PHS電話機を開発 、高速化では、PHS 64kbps、2台使用で128kbpsを可能にする高速データ伝送プロトコ ルを97年12月に開発した。また、「一層の高速化」と「モビリティ」の追及に向けて、屋内で2Mbps、低速移動時で384kbps、 高速移動時で144kbpsの通信速度が可能なもの(=次世代移動通信システム)、ならびに静止または準静止の特定空間で10Mbpsを実現するもの(=ATM無線アクセスシステ ム)を研究開発中である。モーバイルのアプリケーションでは、PHS上でス テレオ放送並みの高品質を実現する音楽配信システムや移動環境でPHSを用いて画像 と音声を同時に通信できるシステムなどの開発を進めている。



第19期 情報デザインスクール

テーマ/ネットワーク元年 〜モバイル・コンピューティングの動向と展望
講師/加藤邦紘
  (日本電信電話株式会社 取締役 マルチメディアシステム総合研究所長)
   石井威望
  (慶應義義塾大学 政策・メディア研究科 教授)
日時/1998年1月12日
会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階)


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