| ■問題解決とマネジメント 妹尾 堅一郎(産能大学経営情報学部助教授) |
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●「問題解決症候群」というものが顕在化してきている。 (1)問題は与えられるもの だ、(2)それには唯一の正解があるものだ、(3)その正解は誰かが知っていて採 点してくれる、と思っているのが特徴的な症状である。これらは、受験勉強の発想だ 。しかしかかっているのは、学生だけではなく、高度成長期以降、取り組むべき問題 を周りから与えられていたビジネスマンにもいえる。妹尾堅一郎氏(産能大学経営情 報学部助教授)は今回の講義の中で、バブル以降の混沌とした状況の中で、所与の問 題を解決するオペレーション能力だけではやっていけないこと、そもそも問題自体を 形成することやマネジメントビジョンを描けることが重要になっていくことを指摘した。 ●ある寓話を事例に「問題解決」とは何かを検討 アメリカにあった実話をもとに、ここでは教材としてある寓話を提示した。山手線の ある駅のそばにビジネスホテルのチェーン店がある。新しい支配人が赴任してきて張 り切っているが、早々困ったことになった。いろいろやりたいことはあるが、何も手 に付かない。一等地の15階建て、200室もある大きなホテルなのだが、エレベー ターが12名定員のものが1基しかない。エレベーターのことで客から苦情が絶えな いのである 。そこで支配人はあるコンサルタントに相談に行った。さて、あなたが そのコンサルタントだったらどうするか。 これに対して参加者から様々な回答が述べられた。それらに基づき、「問題解決」と いうもの自体が「問題」であることが次々と示された。回答者達の「答え」が違うの は、実は「答え」が違うというより、そもそも状況の捉え方が違う、つまり「取り組 んでいる「問題」が違うのではなかろうか。馴れた思考方法でふだんの発想の枠組み の中で解決しようとするから、その解決法を暗黙に想定した「問題」を設定してしま うのだ。もちろんどの回答も状況の改善を起こすという意味では、正しい「問題設定 」は一つではないといえる。ここでは同じ状況をどういう問題として捉えるかが問題 なのであり、より適切な問題設定をするという思考訓練が重要となるのである。 ●問題解決の3つのレベル しかし、そもそも問題とは何か。問題解決の古典的定義では、問題とは「あるべき姿 」と現実とのギャップのことをいう。だから、問題解決とはギャップを埋めること( ギャップフィル)となる。この考え方の前提には、「あるべき姿や基準」が与えられ ているということがある。オペレーションのレベルでは確かにこれが重要である。し かし、これはマネジメントの第一レベルに過ぎない。 第二に、この基準そのものを設定するアドミニストレーション、つまり行政のレベル がある。 そして、第三に、この基準そのものを設定すること自体が適切であるかどうかを検討 するディレクションのレベルがある。欧米で役員のことを「ディレクター」というの は、方向付けをする人、ということなのだ。対して、日本で役員は「取締」役といっ て、管理の親分になっているのである。 以上のようにマネジメントには3つのレベルがある。 ところで「問題解決」について言えば、ギャップフィルの次には、「Q&A」つまり 問答によって知識を得るやり方がある。東西を問わず、昔からの知識を獲得する方法 である。産婆術というソクラテスの問答の方法は、気の利いた答えより、適切な問い かけの方が重要というマネジメントのコツに通じるものがある。さらに問い自体もあ いまいなレベルがある。そこでは、inquiry(探索)〜learning(学習)が重要とな る。目的もわからない中で探索しながら学習を続けていく探索とは、目標が所与であ る検索(オペレーション)とは対比される考え方であり、これから身につけなければ ならないスキルである。 ●自らのビジョンを描き続けることが重要 時代のフロンティアでは、既存の知識が役立たない。経済が右肩上がりの時代の年功 は、こんなとき害にしかならない。 一方、従来の問題解決のレベルで言う「あるべき姿」を創っていくことができるのだ ろうか。想像力と強烈な価値観の持ち主が、それを描くのに最適な人だ。しかし、創 業者やカリスマ性を持つ歴史上の人物がその例となるとはいえ、彼らは負の歴史を刻 んでしまうことも多い。我々ふつーの人が、これに引き回されることになるらないた めには、自分自身の想像力と価値観を日頃から鍛えておかないといけない、つまり、 何より常にビジョンを描き続けることが重要なのである。 第19期 経営デザインスクール マネジメント研究科 第3回講義 テーマ/問題解決という問題 講師/妹尾 堅一郎(産能大学経営情報学部助教授) 日時/1997年11月14日 会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階) |
| 妹尾 堅一郎 講義目録 |
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■第25期 '01.2.8 ”問題学入門〜“問題解決”が陥る7つのワナ |
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■第20期 '98.4.24 ”意味付け”から考えるマネジメント革命 |
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■第19期 '97.11.14 問題解決とマネジメント |
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■第17期 '96.11.8 混沌の状況を切り開く |
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