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■21世紀に向けた 東京のグランドデザイン 〜ローカリティを生かす時代に〜 伊藤 滋(アーク都市塾塾長、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授) |
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伊藤滋塾長は「東京のグランドデザインを描くとき、それぞれの土地の歴史の根を無 視してはならない」と説く。そして、都市形成の歴史から、東京23区を東西軸(町人 =東の下町、武家=西の山の手)と南北軸(国際的で開放的な南、国内的で閉鎖的な北 )で4分割し、それぞれのエリア固有の特性を示した。 「都市計画の権限を市区町村に委譲する都市計画法改正によって、歴史の根を生かした多様性のある都市計画が可能になるだろう」と、新しい時代の幕開けを宣言した。 ●歴史が創った東京の4つのローカリティ 東京を歴史的視点で分類する時、武家の山の手と町民の下町で「東西」に分けるのが 一般的である。 これに加えて、明治政府の庇護を受けて文明開花で栄えた「南」と、明治政府に冷遇 された東北の人々が住み着いた貧しい「北」という分類もできる。皇居を中心に、東西 の境界線を隅田川、南北の境界線を中央線とすれば、東京は4つの異なる「歴史の根」 を持った集合体の都市という性格が見えてくる。 たとえば、東京の「北西」は、大学ならば学習院に代表されるように、武家(陸軍) 的で、閉鎖的な雰囲気の残る地域であり、「北東」は上野駅に象徴されるように、東北から上京してきた人々が身を寄せ合って暮らす零細商工業地域として形作られた歴史を 持つ。それに対して「南西」は、多くのミッションスクールが集積したことからもわかるように、国際的な色彩の強い地域として発展してきた。同じ山の手でも、南と北で はイメージは違う。その性格の違いは、北が陸軍なら南は海軍といえばわかりやすいかもしれない。 また、「南東」は銀座に象徴される豊かな町人の街であり、国際的で開 放的な気風を持つ点で「北東」とは異なる。 ●東京のグランドデザインと地方分権 こうした「歴史の根」は今も残り、街づくりに影響を与えている。バブル期のように経済が強い時は、歴史の根を断ち切るような開発が起こるが、経済が弱まると歴史の根 は力を取り戻す。東京のグランドデザインを描くときは、こうした土地の歴史からくる地域特性を無視してはいけない。 都市計画法の改正で、東京23区は法が定めた都市計画審議会によって独自に方針を定めることができることになる。各区が、歴史に基づいた性格の違いを十分に生かした都市計画を実行する時が来たわけだ。 各区がこの法改正を生かすことができるならば、今後の東京の姿は大きく変わるだろう。多様性と自己決定権こそ、地方分権時代の都市計画の最大の特徴である。 ●容積規制の根拠とそれに代わるもの 容積論議が巻き起こっているが、容積率なども今後は区が主体となって都と相談しながら決めることができるようになろう。それぞれの区が、住民の意見を聞きながら自らの区に相応しい将来像を描けばいい。国が口出しをする問題ではない。ましてや、日本経済浮揚という国家的目的のために都 市計画を利用するのは、都市計画本来の主旨から外れている。 都市計画の重要な目的のひとつは、円滑な相隣関係を保つことにある。容積率を抑制するにしても緩和するにしても、今後は地域住民の意向を受けた区が責任をもって行え ばよい。極論するならば、容積規制を撤廃する区があってもいいのではないか。 そもそも、容積規制の根拠自体が薄れている。容積規制論者は、交通インフラへの負担増大や日照権問題を挙げるが、地下鉄などの多様な交通インフラの出現や物流の合理化、ライフスタイルや価値観の変化、一人当たり居住面積や執務面積等の拡大志向といった変化の中で、「高層化=都市インフラの負担増大」という従来の図式は崩れている 。 過去の先入観に捕らわれることなく、歴史の慣性モーメントを上手に利用し、住民が納得するようなマスタープランを描くことを期待する。 第19期 環境デザインスクール
テーマ/「21世紀に向けた東京のグランドデザイン 」 |
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