|
■流通商社の革命児・ ミスミの企業理念 猪熊 洋文(株式会社ミスミ 取締役) |
![]() |
|
|
|
1963年創業の(株)ミスミはプレス金型用部品、FA用部品、切削工具の販売を中心と する流通商社である。94年には東証2部上場を果たし、わずか200人弱の社員で年商318 億円をあげる企業にまで成長したミスミの強さの秘密をその企業理念と戦略にみた。
●「購買代理商社」のあり方を追及 ミスミの経営の根幹となっているのが「購買代理商社」の発想である。購買代理商社とは、顧客の購買機能を代理するもの、すなわち基本的な視点を客側に捉え、客のニーズを掴むところからメーカーへのアプローチがなされるシステムである。それゆえ、従来の流通商社に多いメーカー依りの発想、すなわち生産したものを販売する「販売代理 商社」とは性格を大きく異にする。現在、商品の仕入れは約360社から行なわれているが、短納期、価格保証、品質保証などのメーカー側には厳しい条件を実現するためのその関係はパートナーシップあるいはネットワークと呼べるものである。 ●社会のリソースを共有する「持たざる経営」思想 ミスミの経営の根幹を担うもう一つの思想が「持たざる経営」である。77年、ミスミ は業界に先駆けてカタログ通信販売を開始した。カタログ通販の導入により、商品やサ ービスの徹底した標準化や合理化と定価販売、営業マンを一切持たない経営が実現した 。商品開発においては、社内に開発部門は全くなく、顧客からのリクエストカードをもとにメーカーが開発を担う。また、製造、物流、情報システムの徹底的なアウトソーシングも行い、商品点数28万、月間60万件の受注処理を担う基幹システムの運営もすべて外部シンクタンクに委託、流通センターも4つのうち3つを外部委託している。 「持たざる経営」とは社会にすでにあるリソースを共有することである。そこでは情報を徹底的にオープンにするオープンポリシーとパートナーとの情報共有が重要なファクターとなる。 ●イントラプレナー型組織を目指して 「購買代理商社」「持たざる経営」を目指し、94年、ミスミは社内組織の大改革も行 った。管理機能中心で垂直部門・部課組織のハコ型組織から水平組織で先ずタスクあり きのチーム型組織への変革である。まず経営会議で役員クラスがプロジェクトをプレゼ ンテーションし、チームを持つユニットと呼ばれる座を争う。ユニットを得てユニットリーダーとなった人は社員を前にプレゼンテーションを行いチームリーダーを募り、選出。他の社員は希望チームへの参加を申し出るというシステムだ。 さらに、プレゼンテーションには社外からの参加を積極的に認めているので、社外の者がチームリーダーになることもできる。チームは一年単位で再編成され、人事異動は自由と自己責任において自分で決めることになる。給与は個人の能力や実績をもとにした、その人の“市場価値”で決まる年俸制とチーム実績に応じて支給される利益配分による。 自由と自己責任という必要最小限のルールの中で、ミスミというリソースを使って自ら仕事を開拓していく人材(=イントラプレナー/企業内事業家)の組織をミスミは目指す。 ●これからのビジネスマインド チーム制の導入から、ここ3、4年で新しい事業が生まれている。開業医向け医療材料や飲食店向け食材、DTP関連商品の販売がそれである。 ビジネスは市場の特化から始まり、一般ディーラーが取りこぼしがちな市場を狙い、 かつ共通的なものを商材として提供していくことが重要。また、これからのデジタル時 代は=ソフト時代であり、Speed(速さ)、Open(開放性)、Flexibility(柔軟さ)、Transparency(透明性)がビジネスの重要な基準になる。 第19期情報デザインスクール
テーマ/企業の経営理念・戦略 |
![]() |