■ハイブリッド化する
 インターネットと既存メディア

サイバースペースがもたらす社会変革

波多江孝文(株式会社ニッポン放送編成局制作部特別職)


ハイブリッド化するインターネットと既存メディア
 目覚ましい拡大を続け、日常生活の中で着実に浸透をはじめたインターネット。講 義ではニッポン放送の波多江孝文氏をゲストに、インターネットと既存メディアのこ れからの関係をラジオの試みから捉えた。以下はその要録。



●拡大するインターネット
 もともと核攻撃時の軍事通信手段として開発され、災害に強いという特徴を持つイ ンターネットは、日本では1995年1月の阪神大震災で初めて広く知られ、ライフライ ンとしての重要性が認知された。日本のパソコン普及はかなり遅れていたが、1980年 代中頃のメインフレーム全盛期から、ホームユース、パーソナルユースのパソコンの 登場で質的な大変化を経て、今、その動きはより肌身に近いモーバイル、携帯端末の 方向へと進んでいる。インターネット利用者数は日本国内で97年1月には700万人超、 97年中には2000万人を超すと予想されている。また、マスメディアを人口の20%が使うメディアと定義すると、米ではラジオで38年、テレビで13年、CATVで10年かかったところを、インターネットはわずか5年で5000万人をクリアするという爆発的な成長を 遂げている。さらに1日5000万ページビューもの利用があるサイトも登場し、既存マ スメディアを脅かす存在にさえなりつつある。

 インターネットコンテンツの魅力は即時性、内容がよく更新されることである。最 新のニュースを提供する新聞社のホームページや、火星探査の画像を刻々と提供し、 1カ月で5億6000万という驚異的なアクセス数を記録したNASAのホームページ
http://www.jpl.nasa.gov/)などはその良い例である。また学術分野でも紙による出版の形態を待たずして、インターネットで最新の研究成果が発表されたり、大学の講義も公開されるなど、インターネットは大きな広がりを持つメディアとして成長している。


●インターネットとラジオの共栄
 インターネットとラジオは、パーソナルなメディアであること、情報発信の対象が ターゲティングされていること、リアルタイム、双方向性を指向するメディアである ことなど多くの共通点があるが、大きな違いはラジオは一過性で、リアルタイムでコ ンテンツが消滅していくメディアであるという点である。インターネットは文字と音 声を用いたリアルタイムのコンテンツ提供によって、ラジオを補完すると同時に、音 声情報を記録・保存することによっていつでも利用可能な閲覧性を提供することがで きるメディアである。

 波多江氏の番組では実際のラジオ放送と合わせて、インターネットのホームページ (http://www.jolf.co.jp/)でRealaudioとライブカメラを使い音声とスタジオの画 像を同時中継する。さらに過去の放送もホームページ上にアーカイブされていて、い つでも閲覧することができるようになっている。


●既存メディアとインターネットのハイブリッド化
 ラジオのような既存のメディアとインターネットのハイブリッド化は次々とおきて いる。インターネットと出版の混成(=Weblication)やインターネットとテレビの 混成もその事例である。今年9月にサービスを開始したハイブリッドメールは郵便と インターネットの混成である。これは、発送人が自宅のパソコンから出した電子メー ルを、受取人が封書(紙)の形の郵便として受け取ることができるというサービスだ。  ハイブリッド化によって、様々なメディアはインターネットに吸収され、そこに新 しい産業やビジネスが誕生する可能性がある。



第19期 情報デザインスクール 第1回講義

テーマ/インターネットとラジオの共栄
講師/波多江孝文(株式会社ニッポン放送編成局制作部特別職)
   石井威望(慶應義塾大学 政策・メディア研究科教授)
日時/1997年10月27日
会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階)


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