インターネットビジネスへの挑戦

学生ベンチャー「電脳隊」を追う
メディアヒルズのブースが
       僕らの情報システム部

情報環境さえあれば、場所も時間もフレックスなワークスタイルが可能な時代。高度な情報環境を備えたSOHOを拠点に、インターネットコンテンツビジネスなどのベンチャー企業が誕生している。アークヒルズに隣接する21森ビルにオープンした「メディアヒルズ」もそのひとつ。ここを拠点に、インターネット情報システム事業を立ち上げた学生ベンチャー「電脳隊」を追う。

田中祐介君は現役の大学院生であり、(有)電脳隊の代表取締役でもある。
田中君の朝は早い。午前8時30分には東京・恵比寿のオフィスでパソコンに向かう 。授業がある日はそこから慶應湘南藤沢キャンパスへ、ビジネスの打ち合わせが入れば クライアントのオフィスへ出向く。終われば、その足で港区六本木の「メディアヒルズ 」のブースに籠る。午後10時頃に遅い夕食をとって、真夜中の1時〜2時までパソコンに向かうことも珍しくない。
大概のサラリーマンよりハードな毎日だが、「土日は休めるし、好きなことだから」と苦にはならない様子。

電脳隊は、学生のサークル活動から生まれたベンチャー企業だ。東大、慶應、青山学院などの学生5人が 中心となって、15人の契約社員と50人前後のアルバイトによって組織されている。オフィスは、恵比寿に借りたアパート数室と、インキュベーションオフィスの「メディアヒルズ」のワンブース。
インターネットを使えば、広く、安く、鮮度の高い情報を発信できることを活用して 、個人情報を世の中に発信するサポートビジネスをスタートさせた。
1996年12月、会社を設立。昨年度の売り上げは約3000万円。今年度は7000万円を上回る予定。大手企業からの仕事も受注している。「来年度は1億5000万円の売り上げを見込んでいる」と田中君。企業の代表取締役を「君」呼ばわりするのは失礼だが、その若々しさと礼儀正しい態度に、つい……ということで勘弁してもらおう。

順調な業績の背景には彼らのビジネスの原点であり、インターネットの原点である「 速く、安く、広く」情報を発信するというポイントを押さえたビジネスを展開しているからだ。
一例を挙げると、インターネットサーバーとデータベースを組み合わせ、情報を一元管理し、ホームページの更新も企業内で簡単にできるシステムを構築、販売している。「ホームページ」の命は更新性にあるが、これならば、常に鮮度の高い情報を提供できる。
「情報受発信のツールとして、今後、非常に有望なのは携帯電話。普及率が高く、常 に持ち歩いているモバイル端末へ、インターネットからダイレクトに情報を提供するビジネスが次のステップです」(田中君)。

電脳隊のさまざまな戦略展開を可能にしたのが、メディアヒルズの1.5Mbpsの情報回線である。このブースが電脳隊のサーバールームであり、情報システム部だ。六本木という立地や、共同で利用できる空間はクライアントとの打ち合わせにも重宝している 。
「僕らの契約しているブースは空間と情報回線使用料、諸経費込みで月35万円ですが、個別に1.5Mbpsの回線を引けば、回線だけでそれ以上の経費がかかったでしょう」と入居の動機を話す。

「学生ベンチャー」として注目されることにはいささか抵抗はある。「僕らは起業が目的ではない。(企業を興したのは)初めてインターネットに出合った時の感激を共有した仲間が、その中でやりたいことを実現するためのひとつの手段にすぎないのです」と語る学生社長に気負いはない。
新しい器から、新しいビジネス感覚とワークスタイルが孵化した。