コンテンツビジネス成功の秘訣
「アトム社長の末松亜斗夢氏が語る」

末松亜斗夢氏(アトム社長)

変化の激しいコンテンツビジネスの世界で成功する秘訣を、アトムの若き経営者、末松亜斗夢氏から聞き出そうというのが今回のゼミの眼目。末松氏はアスキーを飛び出して独立、同氏の設立したアトムは浮き沈みの大きいこの世界で安定した成長を遂げている。末松氏が最後に明らかにした「秘訣」を中心に内容をまとめた。

経営の「道路マップ」を描け
コンテンツビジネスで成功するためには、「いつ、どんなタイミングで何をしたらよいか」という道路マップを頭に描けるかどうかが大きい。タイミングは早すぎても遅くてもいけない。それを掴むには、たとえば部品単位のディバイス情報に敏感になることである。そうすれば、次にやるべきことが見えてくるはずだ。日常の制作の中でスタッフのスキルアップや技術リサーチをしながら準備を整え、次に備えよ。

リスクが少ないプロダクション
コンテンツビジネスと呼ばれる中にも、大別するとディベロッパー、パブリッシャー、プロダクションがある。その中で、ハイリスク・ハイリターンの代表格がディベロッパーだが、ヒットを続けることは大変難しい。我々はローリスク・ローリターンのプロダクションを選択したが、在庫を持たない身軽さ以外にもメリットがある。コンテンツビジネスの世界は技術革新のスピードが早く、技術リサーチを怠らないことが非常に重要だが、比較的短期間に新しいものを盛り込んで制作していくプロダクションの仕事は、その点で技術リサーチをしながら仕事をしていけるというメリットがある。


人材を育成することが重要
コンテンツビジネスにとってもっとも重要な経営資源は人材である。基本的に我々のような企業では人材の育成も自ら行わなくてはならないが、優秀な技術者がひとりいれば、日常業務の中でスタッフのスキルアップができる。上記のように、プロダクションとして様々な分野の業務を技術リサーチをしながら比較的短期に仕上げていくという仕事の性格が人材育成にプラスに働いている。設備機器自体は安くなっているので、機材は十分に用意して快適な仕事ができるような環境を整えている。また、バーチャルカンパニーのような横との連携も現実的に可能な世界である。

クライアントの要望を「絶対外さないこと」
プロダクションとして成功するには、クライアントの望むラインの延長線上を外さずにプラスアルファしたものを創りだすことであって、自己満足的な作品志向を持つことはマイナスになることが多い。プロダクションは「影武者」である。あくまでもクライアントの要望を「絶対外さないための」マーケティング力が成功の重要な要素であり、そのためにはあらゆる業種のあらゆるテイストを知っていることが求められる。その上で、企画力、デザイン力、技術力、演出力を磨くことが必要である。



第17期 情報デザインスクール 第5回講義

テーマ/「インターネットコンテンツビジネス」
講師/末松亜斗夢氏(アトム社長)、月尾嘉男(東京大学工学部教授)

日時/1996年12月16日
会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階)