| 「規制社会は自由な発想を奪う」 「世界のアンドウ」、アカデミーヒルズで講演 安藤忠雄(建築家) 「世界のアンドウ」がアカデミーヒルズにやってきた。 これは「ビットウィーン・ザ・センチュリーズ」をテーマに、建築・アート・デザインから21世紀のまちづくりを考える活動の第一弾。 壇上に立った建築家・安藤忠雄氏は、スライドとざっくばらんな語り口で、新鮮な発想で世界を仰天させた「安藤建築」の原点と、阪神間で進めている「グリーンネットワーク」運動など震災復興を支援する活動について語った。 冒頭、阪神間に25万本の木を植える「グリーンネットワーク」運動に絡め、「建築は表現であり自己主張であるが、まちや社会に対する責任も忘れてはいけない。社会的な問題と自由な表現の狭間に立って、緊張感のある仕事をしたい」と語った。また、「建築自体も合理性の非合理性、創造性と客観性、モニュメンタリィと非モニュメンタリィという対立する要素があり、その狭間で創造する作業」と話す。 「グリーンネットワーク」運動は25万本の木を植えるというものだが、そのうちの5万本はコブシやモクレン、ハナミズキにして、阪神間を白い花の咲く街にすると言う。 「白い花を見て、大震災で亡くなった人々の冥福を祈るとともに、生きている人々が勇気を持って頑張れるように」が運動の趣旨。全国の市町村や団体、企業から寄贈された木々が阪神大震災の爪痕を覆い隠す日を目指して、10年間は頑張るそうだ。 「こうした市民運動はしんどいが、この街で暮らすことが楽しい、と思わせるまちづくりを目指すのも建築家の役目。建築は夢のある仕事であり、人にも夢を与える仕事だ。若い人達には自由な発想で考え、勇気を持って発言し、夢と現実の間で、社会に対する責任も忘れずに仕事をしていっていただきたい」と集まった社会人や学生に語りかけた。 スライドで紹介された作品は、伝統的な町家を現代によみがえらせた「住吉の長屋」や、急傾斜の山肌に埋め込むように建てられた「TOTOセミナーハウス」、蓮池の下にお堂のある「真言宗本福寺」、階段状の護岸と一体的に造られた「サントリー美術館」など、設計も開発までの流れも既成概念を破る発想がいっぱい。 「常になにか新しいもの、面白いものを造りたいと考えて仕事をしてきた」と語る安藤氏は、規制の多い日本社会を憂いて「規制でがんじがらめになっている社会の真の怖さは、人間から自由に考える力を奪ってしまうことだ」と話す。 自由な発想を失い、偉い人の意見に全員右にならえになってしまう日本社会の問題点を仕事でのエピソードをもとにユーモアを交えて指摘した。1時間の講演を通じて、安藤建築の原点が自由を求める強い思いにあることが伝わる内容だった。 Between the Centuries 第1回講演 日時/1997年2月13日 会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階) テーマ/「まちづくりの可能性を探る」 講師/安藤忠雄(建築家) ウィリアム・カーチス(建築史家) |