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印刷産業からみた メディアビジネスの可能性 加藤恒夫(大日本印刷(株)ICC本部本部長) |
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9兆円規模の産業で国内の製造業の3%のシェアでありながら、98.5%は中小の 零細企業中心(9兆円の75%を出荷)といわれる印刷業界は、会社規模の大小はあっ てもその関係は重層的ではなく分野の住み分けによるイーブンな業界である。 なかでも大企業として突出している大日本印刷(株)において、入社以来広報や情報 文化事業に携わって来られ、1991年に発足したICC(インフォメーション・コミュ ニケーション・センター)本部の本部長を務める加藤恒夫氏に、昨今のメディアビジネ スについて概観を伺った。 印刷産業の今 欧米の印刷産業は商業印刷と情報・出版印刷を中心としているが、日本においては出 版と印刷がそれぞれ独自の発展をみせ、印刷の技術応用の拡がりが産業の裾野を拡げて きた。例えば、大日本印刷(株)の取り扱う製品内容からも応用技術の幅広さをおわか りいただけると思う。 書籍・雑誌等の印刷、カタログ・チラシ・アニュアルレポート・ポスターなどの商業 印刷と呼ばれる分野に始まり、プリクラ(デジタルデータを染料で)・ファッション関 係のコピュータデータの出力、床材・壁材、建具・家電製品・車や楽器などの立体物へ の印刷、CRTやICチップス、液晶ディスプレイ用カラーフィルター等のエレクトロニク ス関連商品、株券・証券・手形・通帳、ビジネス帳票、磁気・ICカードにいたるまで、 様々な分野に進出している。さらに関連機器や資材の開発、システム構築にも携わって いる。 いろいろなメディアでデジタライズされたコンテンツのデリバリーが可能になるマル チメディア時代を迎えたが、美術全集を手にしたときのたたずまいや、コミック雑誌を 手にしたときのザラザラとした手触りといったインターフェイスをどう表現できるかが 、マルチメディアの課題となろう。 メディアの変遷と印刷産業の可能性 グーテンベルグによる印刷術の発明が1450年。その後、印刷術は知識や技術を人 々に伝えるために普及してきたが、人が何かを伝えたいという欲求と重ね合わせて世に 出てきた電話やレコードなどのそれぞれのメディアが、パソコンの登場により複合化し ていく時代が訪れた。 これからも技術の可能性を追求しつつ、いろいろなメディアのプレイステーションに 関与していきたい。ICCの銀座センターでは、銀座の学校と称して「馬とのコミュニケ ーション」「星とのコミュニケーション」「植物とのコミュニケーション」といった目 先を変えたテーマによるアプローチを試みている。この7月には「本とコンピュータ」 という季刊本を創刊し、西暦2000年までに16冊出版する予定。これは、コンテン ツの表現のために出版と印刷の両側面を担う試みであり、ノンリスク・受注生産中心で あった印刷産業から、わが社が新しい形の出版流通にプラットフォームを提供できるの ではないかという期待もある。 また、DTPの発展やペーパーレス時代になれば、プリプレスは印刷業界の独占から オープンな市場に変わっていくであろう。しかし、印刷のノウハウや品質の点ではまだ まだ専門性が確保されており、出版関係の主流は印刷文化である。 企業の社内業務におけるペーパーレス化は進むであろうが、新しいメディアのPR誌 やマニュアルの印刷物は増えつつあるなど、プリンテッドマターのメディアが廃れるこ とはないと考えている。 第18期 経営デザインスクール マネジメント研究科 第4回講義 テーマ/「メディアビジネスにおけるマネジメント 〜人を中心としたコンベンショナルメディアからマルチメディア」 講師/加藤恒夫(大日本印刷(株)ICC本部本部長) 二瓶恭光(慶應義塾大学産業研究所教授) 日時/1997年6月20日 会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階) |