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サイバーショップの威力 『農家から自慢の品を直送、バーチャル八百屋大繁盛』 亀井秀郎(有・フォーハーフ取締役) インターネット上で展開するサイバービジネス。国内では約2000件のバーチャルショップが出来ていると言われる。大手商社や総研、プロバイダー等が技術力を駆使した様々な仕掛けを始めたが苦戦を強いられている中で、着実な実績をあげているショップがある。そのショップ、「バーチャル八百屋」をデジタルネットワーク上で経営している(有)フォーハーフ取締役の亀井秀郎氏を講師に迎えた。 「バーチャル八百屋」は、日本各地のこだわりの農家の自慢の特産物を産直することをショップのコンセプトとしている。参加する各農家は独自のホームページを作ることが前提で、亀井氏は、ホームページ作成のアドバイスや電子メールの管理、共同広告の制作を手掛けている。 丹精された農作物。注文を受けてから木から果物をもぎ、注文を受けてから米を精米にかける。このような付加価値情報を持つ商品は、規格化された商品を扱う既存の流通システムでは入手が困難である。インターネットの利点を活かすことにより、流通が可能になる商品と言って良いかも知れないという。付加価値の高い商品のみならず、傷ついて形に見劣りはするが味の保証は確実、というアウトレット商品の情報にもニーズを見いだしている。 インターネットをはじめて1年半、サイバーショップには時間・空間・立場(消費者と生産者)の制約を克服できるというメリットがあることを実感する亀井氏は、電子メールの活用によって、man to manマーケティングを実現できると確信している。当初、マスコミに広く取り上げられたこともあり、「yaoya.com.」の覚えやすいアドレスへのアクセスは月10万件に及んだこともあり、現在も約1500名のリピーターからのアクセスがあり、全国から月に300〜400件の注文が寄せられている。運営コストをのぞいても黒字経営になっている。 講義では質問が相次ぎ、出席者の関心の高さを伺わせた。事業の本質に迫る鋭い質問も多く、そのノウハウを控えめに語る亀井氏の発言の裏には、経歴に裏打ちされた自信とこれからの夢が見て取れた。 東京の下町でセブンイレブンの店長を3年半にわたり務めていた亀井氏は、24時間営業の激務であったが、このとき客が何を不安に思い、何を求めているのかを肌身で感じることが出来る貴重な経験を積むことが出来たという。例えば、インターネットユーザーが爆発的に増加しつつあるといっても、現実のユーザーは細い回線を使ってのんびりアクセスしているのが実態であることを熟知したうえ、画像は少なくし色は圧縮をかけるなど、実態のニーズをホームページの作成にも反映させている。 さて、2年前郷里の兵庫県でセブンイレブンを開業しようと準備を進めていたところ、阪神大震災が起こり出店どころではなくなってしまった。しかし、郷里に役立つことができないかと、東京にいながらインターネットを通じて救援情報のボランティアを始めた。この情報ボランティアの経験で、亀井氏は情報が情報を呼び集めることを実感した。また、資金に充てて欲しいと口座を打診する電子メールに半信半疑で返事を打ったところ、翌日入金が寄せられたこともある。こうして会ったことのない人々と信頼関係を築いた経験が、バーチャルな世界に信頼を置くことのできるゆるぎない自信につながったようである。その後亀井氏は、これらの経験を基に防災システムの研究開発を事業とするべく帰郷したが、コンピューターで仕事、というイメージがわかない農家の父親を納得させるために、「おやじの畑」というホームページを作ったのがそもそも「バーチャル八百屋」のきっかけであったということである。これが、NTTのCMで扱われたことから多くのマスコミに取り上げられ・・・「デジタルネットワーク界のセブンイレブン」を目指す今の亀井氏がある。 第17期 情報デザインスクール 第6回講義 テーマ/「サイバーショップの威力」 講師/亀井秀郎((有)フォーハーフ取締役) 月尾嘉男(東京大学工学部教授) 日時/1997年1月27日 会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階) |