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おまわりさんと都市計画 〜安全と安心をつくる街づくり 〜 アーク都市塾塾長 伊藤滋(慶応義塾大学大学院教授) |
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都市犯罪と都市計画 20年程前、私の研究室に警視庁の若手が訪れ、都市と犯罪の関係を研究をしてくれないかと相談があった。当時は県庁所在地以上の都市で区画整理事業などによる住宅地の郊外化が進み、空き巣が急激に増加し、検挙率も低下するという現象が起こっていた 。都心と郊外では、警察官の人口当たりの比率がアンバランスになっていた。 しかし、警察官の増員は、予算面からも世論の反対という面からもなかなか難しい。 大幅な配置換えと増員を周囲に納得させる多元一次の方程式をつくってほしいというのが、彼らの希望だった。この調査研究を通じていろいろなことがわかった。 都市計画上の常識が逆転 当時、都内で人口当たりの犯罪発生率(空き巣等)の高い場所は、吉祥寺の東急デパ ート裏手の住宅街と新宿の十二社側のマンション地帯だった。吉祥寺の住宅街は裕福な 少人数家族で留守がちな家庭が多いため、空き巣にとっては好都合だったわけだ。一方 、十二社は外廊下式のマンションが多く、泥棒にとっては逃げるのに都合がいい。道路が複雑なことも犯罪には有利だった。住民は水商売が多くて帰りは遅い、と狙われる条 件が揃っていた。 逆に、泥棒にとってもっとも入りにくい住宅地といえば、建築基準法すれすれのミニ 建売団地であり、区画整理された住宅団地は家が散在しているため泥棒にとって好都合 であることがわかった。人目に晒される時間と逃げやすさの違いが犯罪発生率を左右する。 都市計画上でみれば、ミニ建売より区画整理された住宅地がよいが、犯罪発生率という視点では逆転してしまったわけだ。視点を変えると意外なことがわかる。 英国のニュータウンで 英国のあるクラスター型ニュータウンでは、地区内道路を囲むコミュニティーの入り 口に高齢者を入居させている。通勤、通学する近所の人が必ず毎日、その家の前を通るので異常があれば誰かが気づく。安心と安全の街づくりはこんなところからもできる。 反対に、日本の都営住宅で少女が殺害された事件では、建物で囲まれた団地内公園の危険性が問題になった。団地内公園は低木と中木に囲まれ、犯罪者が容易に身を隠す茂みが多い。防犯の視点から街を眺めることも都市計画に欠かせない視点である。 たとえば、パトロールカーでの巡回速度では建物の2〜3階までの異常は察知できるが、それ以上は難しい。しかし、自転車や徒歩巡回ならばもっと細かくチェックできる。これを可能にするには、集約されたコンパクトな街でなければならない。 コンパクトシティは安全と安心の街づくりにも通ずる。 第18期 環境デザインスクール 第8回講義 テーマ/安全と安心をつくる街づくり 講師/伊藤 滋 (アーク都市塾塾長・慶応義塾大学大学院政策メディア研究科教授) 日時/1997年8月27日 会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階) |