ネクストジェネレーションインターネット
次世代インターネットを考える「ヒント」

石井威望(慶應義塾大学大学院政策メディア研究科教授)

急速な変化を遂げるインターネットの世界。慶応大学の石井教授は、現代の社会現象と人間行動から、次世代インターネットを予測。これからのライフスタイルやビジネスを考える多くの「ヒント」をこの講義で示した。以下はその「ヒント」を中心にまとめた。

インターネットは分散システム
次世代インターネットを考える前提として、インターネットは雲散した各人のパソコンから発信される分散システムであることを考慮する必要がある。命令一下で行動が規範される従来の集中システムに対して、ネットに参加する何千万という人の各々の意思により、予期せぬ自由な動きがおこるのがインターネットの世界なのである。

ホームページの本命はプロセス
ホームページではテレビや印刷媒体に比べ、低コストで時間と空間に縛られない情報発信ができるが、インターネットは単なる印刷物の写しではなく、インタラクティブな更新、すなわちプロセスがその本命である。建設過程やリハーサル場面を見せていくような使い方がインターネットの重要な性質であり、次世代インターネットにおいても残され、補強していく必要のある部分である。

子供達は次世代の確実なユーザー
「ポケットモンスター」(通信型の携帯ゲーム)や「プリントクラブ」などの遊びを通して、通信や新技術に日常的に接し、トレーニングされている子供達が、次世代のインターネットユーザーであり、彼らの嗜好、行動、マーケット規模を調査することが次世代インターネットを予測するヒントとなる。

モバイルと映像が次世代の鍵
「たまごっち」獲得競争に見るインターネットと携帯電話の利用方法や子供達の遊びや消費行動が示すように、モバイルな(移動性のあるアクション)が次世代インターネットの一つの鍵であることは確かである。
ポケベルからPHSや携帯電話、さらにPDA(通信機能を備えた携帯情報端末)へと続く普及の過程で、現在はモバイルを遊びながら体験し、コンセプトや習慣、発想の原型が形成されていく準備期間と言える。
現在、移動体通信の年間売り上げ約4兆円に対する設備投資額は約1兆4千億円。情報インフラの整備はその需要に応じて促進されるものであり、本格的な需要期を迎えるこの分野は、かなりの伸びが予想される。それに伴い、電波環境の問題など新たな社会問題も発生している。
どこでも使えるモバイルは、従来の社会発展プロセスとは異なるプロセスを可能にする。情報インフラさえ先行すれば、アジアでも相当なパワーを持つ可能性がある。
もう一つの鍵は映像技術。その進歩の速度はさまざまな情報技術の中でも目覚ましい。映像の導入により情報量は飛躍的に増え、人間は本来持つ潜在能力を素直に表現できる時代がやってくる。それは新しい情報技術がもたらす次世代人類への贈り物と言えよう。
鍵となるモバイルや映像が、実社会のフィールドで、どんな形のライフスタイルを実現し、どんなビジネスを成功させるのかが、これからの課題である。


第18期 情報デザインスクール 第1回講義

テーマ/「ネクストジェネレーションインターネット」
講師/石井威望(慶應義塾大学大学院政策メディア研究科教授)

日時/1997年4月21日
会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階)