| ■ベンチャー企業の経営理念 〜人の尊厳を大切にする環境づくり〜 川原 暢((株)ハウスオブローゼ社長) |
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青山ベルコモンズの地下3階、わずか4坪の第1号店を開店した1978年11月、 初日の売上げは4800円だった(株)ハウスオブローゼは、現在、全国の駅ビルやデ パートに250店舗を出店しており、1994年度の売上げは100億円を超えた。1 兆5千億円規模あるといわれる化粧品小売市場において、新市場として注目される自然 志向の化粧品を当初より扱い、独自の市場を開拓してきた。接客にあたっている店頭ス タッフから上がってくる提案によって、開発されたプライベートブランドが全売上げに 占める割合は9割になっている。創業当初より固定費の合理化からファームレスでの製 造委託(OEM)方式をとっているが、品質管理と自社センターによる物流の確保により 付加価値の高い物を手に入れ易く設定している。 また、販売にあたるスタッフにホスピタリティのあるコンサルティングセールスを徹 底するために、人材教育にも力を入れている。 この会社の社長である川原暢氏の経営者像に惚れ込んだ嶋口充輝教授(慶應義塾大学 経営管理研究科)の依頼により、今回の講義となった。以下は、川原社長の経営ビジョ ンをまとめたものである。 接客業の目指すもの 「数坪の小さな店で、26才位の遊びたい盛りの店長と、23才位のサボりたい盛り のスタッフと、0.5人のパートで月に350万円の売上げを持つ店舗が全国で120 億売り上げてくれるといい」。……600人の全社員の90%を女性が占めるこの会社 のビジョンはいたって明快である。 企画や販売にあたる部門を女性が主に担当し、残りの支援部門(経理・物流など)に男性を起用しており、女性を「活用する」のではなく、女性に「活用してもらえる」会 社であることを目指している。苦労して働いた女性が報われる会社を作りたい、というのがもともとの経営の志であった。 販売業はすなわち1対1で物を売る接客業であり、人の心に接する仕事をしている。 販売にあたるスタッフには、人の心に触れたことを一番のよろこびとしてほしい。「人 材」というのは、実は使う側の都合で人間の一部を機能として捉えているに過ぎない言 葉である。存在だけで値打ちのあるのが人間。人間の尊厳を大切にするという考え方は 、接客に際してだけでなくスタッフの人事異動にあたっても重視している。社命で人事を動かしても本人がその気にならないとあとでうまくいかない。だから、相手に十分に 状況や背景を説明し、本人が納得したうえでやる気になってもらうまで待つ。 人間は自らの意思でやろうと思ったとき、すべての仕事は労働ではなく遊びになる。 小さな店舗の積み重ねの中では、仕事にあたる意欲が売上げを大きく左右することにもなる。 「顧客づくり」とは 最近、スタッフが笑わなくなっている。以前高いコンサル料を払ってなんとかうちの 社員を笑わせて欲しいと依頼したこともあるが、どうやらスタッフが笑顔になっている ときというのは、自分にとっていいお客が来たときだということがわかった。それなら そういう顧客を集めようと、スタッフための「にこにこ貯客通帳」というのを作った。 これが顧客リストとして活用するためではなく、スタッフ自身の意欲のためだというこ とを、最近になってようやく3割位が理解してつけてくれるようになった。 しかし、大きな努力で小さな成果を求めていく顧客づくりが不況に強いことも事実で あると考えている。 老舗の和菓子屋やデパート等でスタッフの優れた接客態度を自ら経験しているが、学ぶところが多い。接客とはお客をサービスの相手(つまり機能)ではなく、相手を人間 として見ているかどうかで全く違う。これは、ノウハウを教育しても出来ることではな く、実際の行動とできるかどうかは店の空気のようなもの、つまり環境が大きく左右すると考える。「人間として相手を認めること」、これに尽きる。 第18期 経営デザインスクール マネジメント研究科 第5回講義 テーマ/「ベンチャー企業の経営理念・哲学」 講師/川原 暢((株)ハウスオブローゼ社長) 嶋口充輝(慶應義塾大学経営管理研究科教授) 日時/1997年6月27日 会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階) |
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