■コンテンツビジネスの成功の秘訣
アンテナを張り、タイミングを図る

末松亜斗夢(株式会社アトム 代表取締役)

変化の激しいコンテンツビジネスの世界で成功する秘訣を、アトムの若き経営者末松亜斗夢から聞き出そうというのが今回のゼミの眼目。 末松氏はアスキーを飛び出して独立、同氏の設立したアトムは浮き沈みの大きいこの世界で安定した成長を遂げている。末松氏が最後に明らかにした「秘訣」を中心に内容をまとめた。

●経営の「道路マップ」を描け
コンテンツビジネスで成功するためには、「いつ、どんなタイミングでなにをしたらよいか」というロードマップを頭に描けるかどうかが大きい。タイミングは早すぎても遅くてもいけない。それをつかむには、たとえば部品単位のディバイス情報に至まで新しい技術に敏感になることである。そうすれば、次にやるべきことが見えてくるはずだ。
日常の制作の中でスタッフのスキルアップや技術リサーチをしながら準備を整え、次に備えよ。

●リスクが少ないプロダクション
コンテンツビジネスと呼ばれる中にも大別するとディベロッパー、パブリッシャー、プロダクションがある。その中で、ハイリスク・ハイリターンの代表格がディベロッパーやパブリッシャーだが、ヒットを続けることは大変むずかしい。我々はローリスク・ローリターンのプロダクションを選択したが、在庫を持たない身軽さ以外にもメリットがある。
コンテンツビジネスの世界は技術革新のスピードが早く、技術リサーチを怠らないことが非常に重要だが、比較的短期間に新しいものを盛り込んで製作していくプロダクションの仕事は、その点で技術リサーチをしながら仕事をしていけるというメリットがある。

●人材を育成することが重要
コンテンツビジネスにとってもっとも重要な経営資源は人材である。
基本的に我々のような企業では人材の育成も自ら行わなくてはならないが、優秀な技術者がひとりいれば、日常業務の中でスタッフもスキルアップができる。上記のように、プロダクションとして様々な分野の業務を技術リサーチをしながら比較的短期に仕上げていくという仕事の性格が人材育成にプラスに働いている。設備機器自体は安くなっているので、機材は十分に用意して快適な仕事ができるような環境を整えている。
また、バーチャルカンパニーのような横との連携も現実的に可能な世界である。

●クライアントの要望を「絶対外さない」
プロダクションとして成功するには、クライアントの望むラインの延長線上を外さずに、プラスアルファしたものを創りだすことであって、自己満足的な作品志向を持つことはマイナスになることが多い。
プロダクションは「影武者」である。あくまでもクライアントの要望を「絶対外さないため」マーケティング力が成功の重要な要素であり、そのためにはあらゆる業種のあらゆるテイストを知っていることが求められる。 その上、企画力、デザイン力、技術力、演出力を磨くことが必要である。



情報デザインスクール

テーマ/「インターネットコンテンツビジネス」
ゲスト/末松亜斗夢(株式会社アトム 代表取締役)
アドバイザー/月尾 嘉男(東京大学工学部教授)
日時/1996年12月16日
会場/アカデミーヒルズ(アーク森ビル36階)


academyhills.com